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クリスとスホ

ご注意!!!

この話は、リアルのことを書いてます。
短いですが結構ガッツリ書いてます。
スホさんのほぼ独白です。
しかし、私midoによる完全なる妄想であり、主観です。

そして、クリスの歌った映画の曲「There is a place」が関連しています。


以上、ご理解があって現実との判別がつく方のみ進んでください。

うっかり読んでしまった後にガッツリ凹んでしまでしまったり、こんなんじゃねぇーし!と半ギレされても対処しかねます。


どうか自己判断でお願い致します。


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それは一通のラブレターのようだった


異国の地で頑張っているであろう、あいつからの

僅かな後悔とたくさんの優しさにに溢れたラブレター



・・・




許せているかと聞かれれば、それはおそらく微妙だろう。
あいつが、クリスが。俺たちを捨てて出ていったこと。こうして時間が経って日々の喧騒の中で紛れてきてはいるけど、割りきれていない部分は大いにある。



だって俺は、あいつの……恋人だったはずだから。



何も知らされなかったことへの怒り。
何も知らなかったことへの苛立ち。
突然いなくなってたくさんの人たちへ迷惑をかけたこと。自分勝手すぎる、と罵ってやることも今ではもうできない。
沸々と溜まりゆく何か。
一番に信頼していたやつから裏切られたこと。
どうしてそんなことができるんだ!ってあいつの写真が上がる度に、あいつの顔を見る度に、怒りが沸いた。
俺は、俺たちは、あいつには必要なかったのか、って。




「怒りを持続させるのは、案外大変なことですよ」


そう言ったのは、意外にも末っ子のセフンだった。
そしてそれはとても無益な労力なんだと。


言葉にならない怒りが込み上げていく感覚。
限界だったのかもしれない。末っ子に言い当てられてしまうくらいには。
怒ることも、ましてや信じることもできなくて。確かにあったものが、ぼろぼろとこぼれ落ちていく。



残ったのは、諦め……



それは怒ることよりも虚しかった。


俺は、あんなに愛したクリスを、諦めた。










ふと見上げると欠けた月が陰っていて、吐く息が仄かに白い。

また冬が来た。
一年前はあんなに幸せだったのに……

俺の好きな大きな手も、柔らかな笑みも、低い声も。確かにそばにあったはずのそれらは、プラスチックのように価値のない作り物で、簡単に壊れた。



そんなことを今さらに思い出したのは、数日前があいつの誕生日だったからだろうか。

季節はもう、ふたつ過ぎた。

酷く長い季節だったように思う。




偶然、本当に偶然。
耳にしたのはあいつの柔らかな歌声で。
優しく、けれど心細そうな声。

かつて、「好きだ」と囁いたあの甘い声。



動画なんて開くんじゃなかった。


どれだけ悔いても、流れ出したあいつの声を断ち切ることなんてできなくて。
愛して止まなかった、暖かな温もり。
目頭がじわりと熱くなるのが分かった。
込み上げるものを必死にこらえる。



なのに、あいつが作詞したと知って、気づけば必死に翻訳を探している自分がいて。
頭は真っ白に近かった。
あいつが、今のあいつが何を綴るのか。何を伝えるのか。気になって仕方なかった。

俺はただ、クリスの言葉に飢えていたんだ。





見つけた文章を読んで、紡がれた文字を追って。ついにはあふれ出た涙を止めることはできなかった。


後悔と自責の念。淋しさ。孤独。
切々と綴られる深い愛情。
それは、とてもあいつらしかった。



俺が愛したウーイーファンという男。



夜空の向こうに見える、暗闇を照らす月のように、俺の中で欠けてしまった何か。
そしてそれが、じわりと埋まる感覚。

心が、身体が、悲鳴をあげる。
やっぱり悔しい。だから。




愛してるも、逢いたいも、
言ってなんかやらない。




でも、おめでとうくらいは、



言ってやっても。






おわり
141106 #HappyKrisday
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