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学パロシリーズ

レイの場合



「驚いたなぁ」
「……」


たまたま会ったミンソクとCDの話になって、あぁそれ最近買ったよって言うから貸してもらおうと放課後くっついて来たら、まかさの彼に会った。
そういえば、ミンソクには弟が二人いたなって。下の弟は同じダンス部だからもちろん面識もあったし、なんなら入部の時にミンソクからよろしく頼むなってお願いされたくらいなんだけど、真ん中の弟のことは盲点だった。

結局CDは借りられなくて無駄足になってしまったけど、彼に出会えたのだから全くもって無駄なんかではなかったんだ。


「君だよね?音楽室の窓の下にいたの」
「……あの……、はい……」

消え入りそうな声で頷く彼を見て僕は思わず笑ってしまった。

「ねぇ、そうだ」

僕はここ最近ずっと考えていたことを口にする。

「そろそろ寒くなってきたから窓閉めようかと思ってるんだけど」
「あ……すみません!」
「ふふ、そうじゃなくて。よかったら明日からは音楽室に来ないかなぁって」
「え……」

思ってもいなかった言葉だったのか固まる彼に「よかったらだけど」と念を押すと、少し考えて「はい」と呟いた。


「こうやって話すの初めてだね」
「はい、あの……すみません」
「なにが?」
「いつも黙って盗み聞きしてて」
「盗み聞きって。君は僕のお客さんなんだから」
「お客さん……?」
「そう。僕の可愛いお客さん」

にこりと笑い掛けると、彼──ジョンデくんも照れくさそうに笑みをこぼした。



あぁ、明日から何を弾こうか。
考えただけでもふわふわと心臓が暖かくなる。
僕をピアノに向かわせる君。
たったひとりの、僕の可愛いお客さん。



「あ、そうだ!今度こそリクエスト、考えておいて?」

「ふふふ……はい、わかりました」


二人して染めた頬は季節外れの桜色だった。



終わり
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