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その他

僕の好きなタイプは、僕の手料理を美味しそうにたくさん食べてくれる人だ。
それから笑顔が素敵で、笑うと魅力的な人。歳は離れすぎていなければ気にしない。一目惚れのようなものはあまり無く、相手を知っていく中でゆっくりと惹かれていくタイプだ。ちなみに外見はあまり気にしないけれど、美人よりは可愛い方が好みだと思う。
とにかく総じて言えることは、笑顔のチャーミングな人だということだ。

それから、理想のデートは?と聞かれるなら、『家でゆっくりとくつろぎながら好きな手料理を振る舞う』というのはどうだろう。
この季節なら暖かな鍋を囲むのもいいかもしれない。


そんな話をしたら、「それって僕じゃない?」とキムジョンデは目の前の鍋をつつきながら笑った。

「まんま、僕のことを言ってるよ?」
「……そんなわけないだろ」
「えー!だってほら、今もギョンスが作った鍋、一緒に鍋囲んでるし」
「それはお前が、大晦日なのに腹へったって家に押し掛けてきたからだろ」
「だって腹へったら一番に思い浮かぶのギョンスなんだもん」

イヒヒ、と笑ってジョンデは大きな口で白菜を吸い込む。痩せの大食いとはこいつのことだ、と皆が口を揃えて言うとおり、ジョンデは平均して他人の2倍は食べる。そのわりに太らない。体質だ、と口癖のように言っているし、コンプレックスだとも聞いたことがある。

「やっぱりギョンスの作る鍋は最高だねー!出汁が美味しい!うちの母さんの次に美味しいよ!」
「そりゃどーも」

嵩の減った鍋に具材を継ぎ足して、また煮えるまで一休み。この前野菜を買い込んでおいて正解だった。年末のごった返すスーパーに行くなんて最悪だった。

「ねぇギョンス。年明けたらさぁ、初詣行く?」
「いや」
「えー!後で一緒に行こうよ。それでたこ焼きとチョコバナナ買って、おみくじを引くんだ。甘酒もあるかなぁ」

楽しみだな、と笑いながらジョンデはスマートフォンを手に取った。

「あ、ベッキョンとチャニョリも誘っていい?何時ごろがいいかなぁ……あ、カウントダウン!」

そう言ってジョンデが忙しなく指したテレビからは、そろそろ年越しのカウントダウンだ!と芸能人たちが集まって騒いでいる。
賑やかに、きらびやかに。
僕の隣にはジョンデがいて、美味しいと言いながらまた僕のご飯を頬張っていた。


───30秒前


「あ、ちょっと待って!飲み込まなきゃ!」
「はいお茶」
「ありがとう」


───20秒前


「はぁ、間に合った!」


───10秒前


「ドキドキするね」
「なんで?」
「何となく」


───5秒前


4


3


2


1



─────その瞬間、僕はジョンデに口付けていた。



「え……?」
「明けましておめでとう」
「な……っ!」

目を見開いて固まるジョンデが可笑しくて思わず笑いがこぼれる。

「お前は僕のタイプなんだろ?」
「え……!?」
「自分で言ってたじゃん」
「そ、そうだけど……!」

だからって何で!とか、そういう意味じゃないじゃん!とか、ギョンス頭イカれちゃったんじゃないの!?とか。あぁだこうだと喋る唇を、俺はもう一度塞いだ。
手首を掴むとカチンと固まったジョンデ。
面倒くさいな。
そのまま体を抑え込むように押し倒して、結局僕はその口内にぐるりと舌を這わした。


「初詣は夕方にしよう」


だってこの後僕たちは、一晩中やることがあるんだから。
押し倒したまま見下ろすように言うと、ジョンデは頬を赤くして、小さくこくりと頷いた。



おわり


ハッピーバースデー!ギョンス!
2018.1.12
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