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×ジョンデの11題

照れ隠しと思ってもいいですか

●クリチェン




少しの緊張をしながら、久しぶりに電話をしたのはかつて俺の弟だった人間だ。
トゥルルル……なんて音を響かせて、隣の国へと繋がる電波。


『もしもーし』


こちらの緊張なんて何のその。いつも通りの間延びした口調で通話に出たジョンデにホッと胸を撫で下ろした。


「おう、元気か?」
『変わらずですよー。ヒョンは?』
「あぁ同じく」
『急にどうしたんですか?』
「いや、なんとなく声が聞きたくなって」
『あはは!そういうのは女の子に言わなくちゃ!』


久しぶりに聞く韓国語に、それでも瞬時にスイッチが入れ替わる。


「元気そうでよかった」
『当たり前でしょ?隊長がいなくたって、僕らは何も変わらないですよ』
「はは!久しぶりだな、その呼び名」
『ですねー。僕も久しぶりに口にしました!』


くくく、と笑ってるだろう表情が目に浮かぶ。


『てゆーか、隊長がいなくたって隊員が半分に減っちゃったって、船は沈みませんから安心してください』
「随分淋しいこと言うなぁ」
『はは!だって勝手にいなくなったのそっちでしょ?』
「まぁ、そうか……」
『裏切者っ!とかもう思ってないですから安心してください』
「もう……?」
『はい、もう』
「てことは……?」
『ははは!ご自由にどうぞ』
「まったく……」


いつまでたっても俺はジョンデには勝てないのか、なんて。目に浮かぶのはやっぱり懐っこいあの笑顔。いつでも笑ってずけずけとモノを言う、しっかり者で怖いもの知らずのキムジョンデだ。


『ヒョン、こないだの写真格好よかったです』
「ん?あぁ、サンキュー。見てるんだな」
『みんなはどうか知りませんけど、僕は見てますよ。ムカつくから』
「ムカつく?」
『はい、相変わらずデカくてイケメンでムカつきます。あと充実してるみたいで』
「ははは、ありがとう」


意外と素直じゃないところも、意外と言動が荒いところも、お前らみんな知ってるか?って。素直じゃないのは俺の前でだけだったらいいな、なんてあの頃思っていたことを思い出す。


こんなこと言ったら、どうせルハンあたりに笑われるんだろけど。


なぁ、ジョンデ。
そんなの全部、照れ隠しって思ってるけど違ったか?


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