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×ジョンデの11題

不機嫌な理由は教えられません

●フンチェン





「セフナ」って呼んで、あのヒョンはいつだって僕にキスをする。
僕のはじめてのキスを奪ったのだって、二番目のキスを奪ったのだって、実はあのヒョンなのだ。
他のヒョンには言ってないけど、僕はあのヒョンに呼ばれると断ることが出来ない。



「セフナ!」


今だってほら。
なんでもない風にみんながいる前で堂々と僕を呼んで、僕らは無言の会話をする。
そうしてこれから二人きりで誰にも言えないようなことをするんだ。

コンコン、とノックしてヒョンが待つドアを開けると「遅いよー!」と笑顔で文句を言われた。


「そうですか?」
「うん、待ちくたびれた」


早く!とそのまま手招きされて近づけば、慣れた風にヒョンの手が僕の頬を掴んで、少しだけ背伸びしたヒョンに唇を奪われた。
清純だった僕の唇なんて、とっくにこのヒョンに汚されて、すでに無きもので。
だけどそういう僕も慣れた仕草でヒョンの腰を支えて引き寄せた。


「ヒョン、僕気づいたんですけど」
「何?」
「僕のファーストキスって、ジョンデヒョンなんですよ」
「あはは!そうなの?よかったじゃん」
「よかったって……」
「なんで?ダメ?」
「ダメっていうか……純情な少年を弄んだんですよ?」
「えー!なにそれ!」


人聞き悪いなぁ、ってジョンデヒョンは僕をパシンと叩く。


「ヒョンってホントキス好きですよね」
「うん、だって気持ちいいし」


お前は嫌いなの?って上目使いで言うから、そんなの通用するのチャニョリヒョンだけなのにって思いながらも「別に好きも嫌いもないです」って答えたら、「生意気!」って頬をつねられた。


「もー!なんでいっつもそんな不機嫌なんだよー!」
「別に、不機嫌って訳じゃないですけど……」
「けど……?」
「秘密です」
「やー!」


僕は強いて言うなら"ジョンデヒョンとキスするのが好き"が正解だけど、そんなこと言ったところで笑われるだけだって分かってるから、頬をつねる手を掴んで今度は僕からキスをした。



僕が不機嫌な理由なんて、絶対に教えません!



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