ルハンとシウミン
「ヒョン、僕ルハニヒョンが好きなんです」
デビューしてまもなくの頃、セフンに打ち明けられたそれは、とてもとても衝撃が大きかった。
ルハンに懐いていたのは知っている。だけどそれが、その手の感情から来るものだとは知らなかった。
真っ当じゃない、と言ったのは自分だ。
そんなのは真っ当じゃない、と。
セフンが言ったその告白めいたものは、自分自身にも大いに思い当たる節がありそうで、必死に脳みそから追い出したのを覚えている。
「ルハナ、コーヒー飲む?」
「うん」
俺自身、そんなにまでコーヒーが好きだったかと聞かれれば、きっと首を傾げてしまうだろう。じゃあ何でそんなにコーヒーを飲みたがるのか。それはきっと、それがルハンと一緒に飲むものだから。
コーヒーが好き。サッカーが好き。
まるで共通項を探すみたいに並べられたそれは、自分自身を少しだけ楽にする。それで勝った気にでもなってるんだろうか。あの純真無垢な瞳から遠ざけようとでもするかのように言葉を並べる狡い自分に、酷く嫌気がさす。
「ヒョン、バブルティー飲みに行きましょうよ!」
「あー、ごめん。今ミンソクとコーヒー飲んだとこだから」
「……そうですか」
二人の会話を横から耳にする。
ルハンの言葉にがっくりと肩を落としたセフンを見て、僅かに胸が痛んだ。それはほんの少しだけ嬉しく思った自分がいたから。
真っ当じゃない。
あの日セフンに言った言葉はあれからずっと、呪縛のように絡み付いている。
自分自身に言い聞かせるように。
セフナ、ごめんな。って。
彼の想いを応援してやれないことがごめんなのか。
大人ぶってることがごめんなのか。
彼に当て付けのようなことをしてることがごめんなのか。
俺が、ルハンに抱こうとしてる気持ちがごめんなのか。
結局いつも、面倒くさくなると思考を放棄するんだ。何ひとつ先へは進めない。
いや、進めなくていいのかもしれない。
何せ、真っ当じゃない、のだから。
おわり
デビューしてまもなくの頃、セフンに打ち明けられたそれは、とてもとても衝撃が大きかった。
ルハンに懐いていたのは知っている。だけどそれが、その手の感情から来るものだとは知らなかった。
真っ当じゃない、と言ったのは自分だ。
そんなのは真っ当じゃない、と。
セフンが言ったその告白めいたものは、自分自身にも大いに思い当たる節がありそうで、必死に脳みそから追い出したのを覚えている。
「ルハナ、コーヒー飲む?」
「うん」
俺自身、そんなにまでコーヒーが好きだったかと聞かれれば、きっと首を傾げてしまうだろう。じゃあ何でそんなにコーヒーを飲みたがるのか。それはきっと、それがルハンと一緒に飲むものだから。
コーヒーが好き。サッカーが好き。
まるで共通項を探すみたいに並べられたそれは、自分自身を少しだけ楽にする。それで勝った気にでもなってるんだろうか。あの純真無垢な瞳から遠ざけようとでもするかのように言葉を並べる狡い自分に、酷く嫌気がさす。
「ヒョン、バブルティー飲みに行きましょうよ!」
「あー、ごめん。今ミンソクとコーヒー飲んだとこだから」
「……そうですか」
二人の会話を横から耳にする。
ルハンの言葉にがっくりと肩を落としたセフンを見て、僅かに胸が痛んだ。それはほんの少しだけ嬉しく思った自分がいたから。
真っ当じゃない。
あの日セフンに言った言葉はあれからずっと、呪縛のように絡み付いている。
自分自身に言い聞かせるように。
セフナ、ごめんな。って。
彼の想いを応援してやれないことがごめんなのか。
大人ぶってることがごめんなのか。
彼に当て付けのようなことをしてることがごめんなのか。
俺が、ルハンに抱こうとしてる気持ちがごめんなのか。
結局いつも、面倒くさくなると思考を放棄するんだ。何ひとつ先へは進めない。
いや、進めなくていいのかもしれない。
何せ、真っ当じゃない、のだから。
おわり