その他
オレンジくんとピンクくん(ニョルチェン)
俺の好きな色はオレンジだ。オレンジのものを身につければ忽ちに元気になる。そんなパワーを感じるビタミンカラーが好きで、色を選ぶときなんかは自然とオレンジを選ぶようになっていた。そうしたら周りの奴等もそういう認識になったのか、オレンジといえば俺"チャニョル"と言われるようになっていた。
そんな俺の目の前に現れたのは、俺みたいに、けれどオレンジではなくピンクを纏うやつだった。
そいつ、ジョンデはいつもピンクのものを持っていた。例えばポケットからはみ出る定期入れや、ペンケースの横に並べられた眼鏡ケースや、お弁当を包むハンカチや学ランの下のTシャツまで。俺がオレンジを選ぶとしたら、ジョンデはピンクを選んでいた。
そんな風に気になって声を掛けたのは、二学期の始まりの頃で。
ジリジリと蝉の声が聞こえて、それだけで体感気温が上がりそうな夏の終わりだった。
『ピンク好きなの?』と何の前触れもなく聞いたのに、ジョンデは笑顔で『そうだよ』と頷いた。
『俺、オレンジが好き』
『おれおれんじ……?』
『……え、あ、ちょっと!俺狙ってないから!』
『ははは!ごめん、面白かったから』
そうやって笑って、俺たちは一気に仲良くなった。ジョンデはケタケタとよく笑うし、コロコロと表情を変える。
二人でいることが多くなった秋の入り口。徐々に日が短くなってきた頃。いつものように校庭の裏の河川敷へ繋がる階段に腰掛けて、何となくその辺の石ころなんかを手で弄んで、トンボ増えてきたなぁなんて考えていると、隣に座ったジョンデがぽつりと呟いたんだ。
「チャニョリの時間だー」
遠くをぼんやりと見つめながらそう言うジョンデに俺は意味がわからなくて。「なんだよそれ」なんて問うと、「夕焼けのオレンジはチャニョリの色でしょ?」って。
振り向いてこちらを見たジョンデは満面の笑みで。
そんなオレンジ色に染められたジョンデがとても、とても綺麗だと思った。
俺の頬はきっとピンク色になったんじゃないかと思う。
おわり
俺の好きな色はオレンジだ。オレンジのものを身につければ忽ちに元気になる。そんなパワーを感じるビタミンカラーが好きで、色を選ぶときなんかは自然とオレンジを選ぶようになっていた。そうしたら周りの奴等もそういう認識になったのか、オレンジといえば俺"チャニョル"と言われるようになっていた。
そんな俺の目の前に現れたのは、俺みたいに、けれどオレンジではなくピンクを纏うやつだった。
そいつ、ジョンデはいつもピンクのものを持っていた。例えばポケットからはみ出る定期入れや、ペンケースの横に並べられた眼鏡ケースや、お弁当を包むハンカチや学ランの下のTシャツまで。俺がオレンジを選ぶとしたら、ジョンデはピンクを選んでいた。
そんな風に気になって声を掛けたのは、二学期の始まりの頃で。
ジリジリと蝉の声が聞こえて、それだけで体感気温が上がりそうな夏の終わりだった。
『ピンク好きなの?』と何の前触れもなく聞いたのに、ジョンデは笑顔で『そうだよ』と頷いた。
『俺、オレンジが好き』
『おれおれんじ……?』
『……え、あ、ちょっと!俺狙ってないから!』
『ははは!ごめん、面白かったから』
そうやって笑って、俺たちは一気に仲良くなった。ジョンデはケタケタとよく笑うし、コロコロと表情を変える。
二人でいることが多くなった秋の入り口。徐々に日が短くなってきた頃。いつものように校庭の裏の河川敷へ繋がる階段に腰掛けて、何となくその辺の石ころなんかを手で弄んで、トンボ増えてきたなぁなんて考えていると、隣に座ったジョンデがぽつりと呟いたんだ。
「チャニョリの時間だー」
遠くをぼんやりと見つめながらそう言うジョンデに俺は意味がわからなくて。「なんだよそれ」なんて問うと、「夕焼けのオレンジはチャニョリの色でしょ?」って。
振り向いてこちらを見たジョンデは満面の笑みで。
そんなオレンジ色に染められたジョンデがとても、とても綺麗だと思った。
俺の頬はきっとピンク色になったんじゃないかと思う。
おわり