その他
ショートショート青春の中間地点(セカイ)
夕日が沈む河川敷をふらり歩いていると、前方に見知った背中を見つけて駆け寄った。
「……ヒョン!」
「あぁセフナか。今帰り?」
「うん、ヒョンも?」
「あぁ」
「ギョンスヒョン送ってきたの?」
「うん。お前は?」
「委員会で」
他愛もないいつもの会話。
特別なことはなにひとつない。
近所に住む1つ上のジョンイニヒョンと同じ高校に通うようになって半年が過ぎた。
別に追いかけたわけでもなく、ただ近かったからという理由で選んだだけの学校。きっとヒョンも同じような理由だったんだと思う。
「ねぇ、ヒョン」
「んー?」
「高校生ってさ、思ってたのより面倒くさいね」
「はは、そう?」
「なんかー、もっと自由だと思ってた。なのになってみたら全然自由じゃないし大人じゃない」
もっと明確な、線みたいな境みたいなものがあると思ってた。高校生にしか見えない景色とか。でも実際に高校生になってみたら意外と何も変わらなくて。高校生という括りに入ったはずなのに気持ちだけは未だに追い付かない。そう考えると自分が年相応に年を重ねれていないような気がして、急に自分自身に居心地が悪くなる。
「制服が変わって、行動範囲も広がったんじゃないの?」
「それはそうだけどさ……」
「自由なんてさ、制約の中で楽しむから自由なんじゃん。何も制約がなかったら自由かどうかも分かんないよ、きっと」
俯いて猫背ぎみに歩くヒョンに「難しくて意味わかんない」と呟くとヒョンは、はは、と小さく笑った。
ジョンイニヒョンの話はいつだってちょっと難しい。でも綺麗で格好いい。そんな言葉をさらりと並べるんだ。しかもそれは知的ぶった言葉なんかじゃなくて、ヒョンの中から自然と生まれてくる言葉で。そんなとても綺麗で真っ直ぐな言葉が、ヒョンみたいで僕は好きだ。
もしかすると、ヒョンの中に流れる芯のようなものを、僕はずっと追いかけているのかもしれない。
おわり
夕日が沈む河川敷をふらり歩いていると、前方に見知った背中を見つけて駆け寄った。
「……ヒョン!」
「あぁセフナか。今帰り?」
「うん、ヒョンも?」
「あぁ」
「ギョンスヒョン送ってきたの?」
「うん。お前は?」
「委員会で」
他愛もないいつもの会話。
特別なことはなにひとつない。
近所に住む1つ上のジョンイニヒョンと同じ高校に通うようになって半年が過ぎた。
別に追いかけたわけでもなく、ただ近かったからという理由で選んだだけの学校。きっとヒョンも同じような理由だったんだと思う。
「ねぇ、ヒョン」
「んー?」
「高校生ってさ、思ってたのより面倒くさいね」
「はは、そう?」
「なんかー、もっと自由だと思ってた。なのになってみたら全然自由じゃないし大人じゃない」
もっと明確な、線みたいな境みたいなものがあると思ってた。高校生にしか見えない景色とか。でも実際に高校生になってみたら意外と何も変わらなくて。高校生という括りに入ったはずなのに気持ちだけは未だに追い付かない。そう考えると自分が年相応に年を重ねれていないような気がして、急に自分自身に居心地が悪くなる。
「制服が変わって、行動範囲も広がったんじゃないの?」
「それはそうだけどさ……」
「自由なんてさ、制約の中で楽しむから自由なんじゃん。何も制約がなかったら自由かどうかも分かんないよ、きっと」
俯いて猫背ぎみに歩くヒョンに「難しくて意味わかんない」と呟くとヒョンは、はは、と小さく笑った。
ジョンイニヒョンの話はいつだってちょっと難しい。でも綺麗で格好いい。そんな言葉をさらりと並べるんだ。しかもそれは知的ぶった言葉なんかじゃなくて、ヒョンの中から自然と生まれてくる言葉で。そんなとても綺麗で真っ直ぐな言葉が、ヒョンみたいで僕は好きだ。
もしかすると、ヒョンの中に流れる芯のようなものを、僕はずっと追いかけているのかもしれない。
おわり