ルハンとシウミン
131019 コーヒールンバ
「ミンソクの入れるコーヒーは美味しいね」
そう言ってお前が笑うから。
今の仕事やり尽くして、一段落した頃には小さなカフェを持つのもいいな、なんて思ったんだ。
それで、隣には今みたいにルハンがいればもっといいな、とか柄じゃないことまで考えて。
どうかしてるな。
「ミンソギヒョンは案外分かりやすいね」
そんな俺の想いを知ってか知らずか、タオに笑われた。
悪いか!俺だって、これでもルハンが好きなんだ。
コーヒーなんてろくに味も知らないくせに、「ミンソクのコーヒーが一番好き」なんて笑って。その笑顔に弱いことを知ってるんだろって確信犯で。
俺はいつだってあいつに勝てたためしがない。結局最後はいつも言いくるめられる。だからルハンが俺の作る飯を「美味いね」って言えばきっとシェフになりたいって思っただろうし、「洗濯するの上手だね」って言えばクリーニング屋にでもなってたかもしれない。
つまりはそういうことだ。
あいつに甘い俺は、ルハンが喜んでくれればなんだってしたいと思うんだ。
「コーヒーいれるけど、飲む?」
そう聞けば「うん!」と笑う君。
「なんでミンソクのいれるコーヒーは美味いんだろう……」
そんなの愛情が入ってるからだろ、なんて恥ずかしいことは教えてやらない。
----------------
ミンソクの淹れるコーヒーはとても美味しい。
コーヒーの味の違いがわかるほど詳しくなんてないけど。それでも、彼が淹れてくれたコーヒーが美味しいのは分かる。
とてもとても丁寧に淹れられたそれは、ミンソクのように優しくて温かい味。ひとくち飲めば身体中へと広がって、優しい気持ちになるんだ。ホッと一息ついて、張詰めていたものがほぐれる感じ。
他の人がどう思ってるかは知らないけど、僕にとってミンソクのコーヒーはそういうもの。
部屋でイーシンと恒例の夜のティータイムをしていた時不意にそんな話をしたら、「ルーハンって結構分かりやすいよね」って笑われた。
え?なんで?そう思ったからそう言っただけじゃん!
「それって好きだからでしょ?」って。
そうだよ。好きだよ、好きだから。好きな人の淹れてくれたコーヒーだから特別美味しいのなんて当たり前じゃん。
それでも、それを差し引いたとしてもミンソクのコーヒーは美味しいと思うんだけどな。
楽しそうにドリッパーをセットして、香りを楽しむように抽出していく姿は、幼い子供のようで。彼の小さな手には、僕が誕生日にプレゼントしたブタの絵がついたミトンがはめられて、これまた僕が誕生日にプレゼントした水色のホーローのコーヒーポットを握っている。我ながらミンソクにぴったりのチョイスだったと思う。
そんな彼を見ていたら不意に後ろから抱き締めたくなった。
「なんだよ、にやにやして……」
「べーつにー」
でも危ないし怒られたら嫌だから、僕は黙って大人しくダイニングから彼を見つめる。
「なに、そんなにコーヒー飲みたいの?」
「うん、ミンソクの淹れたコーヒーだからね!」
終わり
「ミンソクの入れるコーヒーは美味しいね」
そう言ってお前が笑うから。
今の仕事やり尽くして、一段落した頃には小さなカフェを持つのもいいな、なんて思ったんだ。
それで、隣には今みたいにルハンがいればもっといいな、とか柄じゃないことまで考えて。
どうかしてるな。
「ミンソギヒョンは案外分かりやすいね」
そんな俺の想いを知ってか知らずか、タオに笑われた。
悪いか!俺だって、これでもルハンが好きなんだ。
コーヒーなんてろくに味も知らないくせに、「ミンソクのコーヒーが一番好き」なんて笑って。その笑顔に弱いことを知ってるんだろって確信犯で。
俺はいつだってあいつに勝てたためしがない。結局最後はいつも言いくるめられる。だからルハンが俺の作る飯を「美味いね」って言えばきっとシェフになりたいって思っただろうし、「洗濯するの上手だね」って言えばクリーニング屋にでもなってたかもしれない。
つまりはそういうことだ。
あいつに甘い俺は、ルハンが喜んでくれればなんだってしたいと思うんだ。
「コーヒーいれるけど、飲む?」
そう聞けば「うん!」と笑う君。
「なんでミンソクのいれるコーヒーは美味いんだろう……」
そんなの愛情が入ってるからだろ、なんて恥ずかしいことは教えてやらない。
----------------
ミンソクの淹れるコーヒーはとても美味しい。
コーヒーの味の違いがわかるほど詳しくなんてないけど。それでも、彼が淹れてくれたコーヒーが美味しいのは分かる。
とてもとても丁寧に淹れられたそれは、ミンソクのように優しくて温かい味。ひとくち飲めば身体中へと広がって、優しい気持ちになるんだ。ホッと一息ついて、張詰めていたものがほぐれる感じ。
他の人がどう思ってるかは知らないけど、僕にとってミンソクのコーヒーはそういうもの。
部屋でイーシンと恒例の夜のティータイムをしていた時不意にそんな話をしたら、「ルーハンって結構分かりやすいよね」って笑われた。
え?なんで?そう思ったからそう言っただけじゃん!
「それって好きだからでしょ?」って。
そうだよ。好きだよ、好きだから。好きな人の淹れてくれたコーヒーだから特別美味しいのなんて当たり前じゃん。
それでも、それを差し引いたとしてもミンソクのコーヒーは美味しいと思うんだけどな。
楽しそうにドリッパーをセットして、香りを楽しむように抽出していく姿は、幼い子供のようで。彼の小さな手には、僕が誕生日にプレゼントしたブタの絵がついたミトンがはめられて、これまた僕が誕生日にプレゼントした水色のホーローのコーヒーポットを握っている。我ながらミンソクにぴったりのチョイスだったと思う。
そんな彼を見ていたら不意に後ろから抱き締めたくなった。
「なんだよ、にやにやして……」
「べーつにー」
でも危ないし怒られたら嫌だから、僕は黙って大人しくダイニングから彼を見つめる。
「なに、そんなにコーヒー飲みたいの?」
「うん、ミンソクの淹れたコーヒーだからね!」
終わり