このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

One-week Story


全員×休日


--------------------------------------
チャニョル×ベッキョン




「ん~ん……うぅあ~っ!!」
「おはよ」



狭いベッドの隣で、チャニョルが大きく伸びをしながら目を覚ました。
狭いベッドなので密着はしてるけど、幸いと言うべきか、二人ともシャツとパンツは履いている。響く頭と怠い体にやるせない心の内が加わって気分は絶不調だ。


「おはよ~って、あれ?みんなは?」


きょろきょろと辺りを見回して、誰もいないことに気づいたのか、チャニョルは不思議そうに口を開いた。


「ジョンデは仕事残ってるからって着替えて会社行った。ギョンスは会社の人と約束あるって帰った。で、暇なのは俺とお前だけ」
「ふ~ん」


昨夜、同期のメンバー四人で飲みに行って二軒ほど梯子したあと雪崩れるように全員がうちに泊まったけど、昼を迎える現在、残っているのは家主の俺と、このチャニョルだけだ。


「総務は相変わらず仲良いね」
「ほんと。よく休みの日まで会社のやつと居れるよな。俺だったら絶対ご遠慮願いたいわ」


俺もー、とチャニョルはボサボサの重たい頭を抱えて頷く。ギョンスは今日ジュンミョンさんと最近営業に移ったジョンインとでランチの予定らしい。
相変わらずというかなんというか……

ま、相変わらずなのは俺たちの関係か、なんて。まったく笑えないけど、この関係はまだもう少し壊せそうにないなとため息をひとつ。


「ベッキョナー!朝から溜め息なんて、幸せ逃げるよ~!」
「そんなの……お前のせいだぁ~!!」


とはいえ、こうして笑いあえる関係も悪くはないなと思うんだ。




----------------------------
ジョンデ×ルハン



「おはようございまーす」


なんて小さく声を掛けたところで、一斉にどんよりとした笑顔を向けられる。
私服姿はやっぱりどこか見慣れないが顔はいつもの見慣れた顔で。休日出勤なんてものはそんなもんだ。僕の笑顔もどんよりと曇っている。それでも昨日同期のメンバーと飲んだお陰で幾分か気分は優れていた。


「あ、おはようございます」


くるりと椅子を回して後ろの席のルハンさんに挨拶をすれば、微妙に視線を反らしながら返事をされた。あれ以来ちょっと気まずい空気を出されている。
あれは僕も想定外だった。


「あ、ルハンさん!今日ご飯おごってくださいよ!」
「え……?」
「頑張ってる後輩に、たまにはいいでしょ?先輩なんですから」


後輩然として言えばこの人は断らないことを知っている。僕は狡い後輩なんだ。


「あ……あぁ!もちろん!」
「やった!じゃあ早く片付けるように頑張りますね!」
「あぁ、うん!早く終わらせろよ!」


ぎこちなく笑うルハンさんに盛大な笑顔を向けて、また椅子をくるりと回し元に戻った。


今夜この先輩とどうしようか、なんて考えて、僕は小さくほくそ笑みながらパソコンを立ち上げる。


日が沈むのが酷く待ち遠しく思えた。




--------------------------------------------
レイ×クリス(+タオ×セフン)



「「あ……」」


休日、仕事で使う本を探しに大きな書店に出向いていた。法律関係の本はここが一番品揃えがいいのだ。ぐるりとまわってお目当ての本を見つけて、上階の喫茶店に立ち寄る。いつものコース。

そして喫煙ブースのドアを開けると、見慣れた顔を見つけて思わずお互いに声を漏らした。


「休みの日まで会うなんてね」
「だな」
「暫く出張はないの?」
「あぁ、暫くは」
「羨ましいと思ってたけど、出張だらけも落ち着かないね」
「はは、確かに!」


海外戦略部のクリスはちょっと見ないと思えばひと月以上海外にいることもあるくらいあまり社内でも見かけない。一方僕のいる法務部は出張なんてほとんどないに等しいから、たまにはやっぱり羨ましい気もする。

ポケットから煙草を取り出して、トントンとテーブルで叩いた。


「あ、火ちょうだい」


こないだの逆みたいに今回は僕が火の点いてない煙草をくわえて突き出せば、クリスは嫌そうに眉間にシワを寄せてライターの火を差し出した。
仕方がないので、ジリッと音を立てて引火した煙草を吸い込んだあと、ふぅと吐き出すと、今度は僕が眉間にシワを寄せる。


「……なんだよ」
「なんでこないだのやってくれないの?」
「ライターあるんだからいいだろ」
「それは君の主観であって、僕の考えとは違うなぁ」
「そんなことに主観なんてないだろうが」
「じゃあキスは?そっちはしてもいいの!?」
「おい!声デカいって!!場所考えろ」
「あぁーもー苛々する!クリスのこと思いっきり鳴かしたい気分!」
「ちょ!!!!!」


僕はドンっとテーブルの脚を蹴って、目一杯ニコチンを吸い込んだ。ちっとも気分は晴れない。

はぁ、と溜め息をついたクリスが苦笑まじりに「飯でも行くか」と言うので時刻を確認すると、そろそろてっぺんを指そうとする頃だった。僕は黙って頷いて、半分ほどに長さを縮めた煙草を灰皿に揉み消して珈琲を一口啜った。その時。



ガタンと音がして、反射的に喫煙ブースの入口ドアに視線を向けた。するとそこにいたのは……部の後輩だった。



「あ……」



今日は自棄に会社の人間に会うなぁ。



-----------------------


「イシン先輩……!」
「セフナー、どうしたの?」


見れば一緒にいるのは確か彼の同期の……そうだ、営業企画部のタオ。ルハンの後輩だった気がする。


「下の本屋に本見に来まして……」


本?と尋ねると、今度はそのタオが「ボーナス出たら旅行に行くのでガイドブック見にきたんです~」と上機嫌に説明した。


「へぇ~いいね。どこに行くの?」
「いえ、まだ決めてないんですけど……先輩は何の本見に来たんですか?」
「あぁ僕は仕事で使う法律関係の本探してて」
「あ……はは……真面目ですね」
「セフナも見習ってね」


笑顔で言えばセフンは、はははと苦笑した。
苛々していた僕の前に面白い玩具が現れたのだ。これは遊ばない手はないと思う。


「そうだ!これからこのクリスがランチ奢ってくれるっていうから二人も行かない?」
「え、いいんですか!?」

「……おい」


呆れたように溜め息を吐いたクリスに、タオは顔色を伺うように口を開く。


「あの……クリスさんって、海外戦略部のクリスさんですよね?」
「ん?あぁ」
「すごーい!フン、有名人に会っちゃったね!」
「有名人?」
「だって海外戦略部のクリスさんっていったら、ファンクラブまであるじゃないですか!」
「ん?そうなのか?」


お前知ってた?とクリスに問われて、僕は「知らなーい」とニコチンをまた吸い込んだ。

クリスが女子社員にモテるとか、僕にはまったく関係がない。本当に心底どうでもいいことだ。

なのに苛々するのはブラインドの隙間から射している日差しがちょうど目元に突き刺さるからで。

噛み付いたフィルターがぐにゃりと潰れて、また苛々が増した。


僕は小さく舌打ちをした。




-----------------------
ギョンス×スホ+カイ



「ジョンイナー!」



明るい声で呼ぶのは元の部署の先輩、ジュンミョニヒョンだ。久々にみんなでランチでもしようと誘われて、洋食店に集合した。


「あはは!ジョンイナやっぱり黒くなってる!」
「はい……?」


開口一番そんなことを言われて、気分がいいわけがない。だって俺はこのヒョンたちがクーラーの下にいるとき、汗水滴ながら営業先をまわっているのだから。そりゃ、日焼けだってするに決まってる。


「営業部はどう?」


楽しそうに笑っているジュンミョニヒョンを横目にギョンスヒョンが、口を開いた。


「まだ慣れないですけど、それなりにやってます」
「ミンソクさんに付いてるんでしょ?」


持ち出された名前に、心臓がどくりと跳ねた。


「あの人優秀だし、面倒見いいって聞くけど……」
「あぁ、えぇまぁ。よくしてもらってます……」


確かに仕事はできるし面倒見もいいけど、それだけじゃないことを俺は先日知ることになった。

あんな昼間の公園でキスなんかしといて平然と次の営業先へ向かうミンソク先輩なんて、俺は知らなかった。それは……何が起こったのかも分からなくなるような、一瞬の出来事で。そして、そのあとも何も無かったかのような態度。本当にあれは夢だったんじゃないかと思ったりもした。いや、今も思っている。だけど……あの獣のような目が瞼の裏から離れないんだ。


「どうかした?」


あのキスを思い出してトリップしていると、ジュンミョニヒョンが不思議そうに尋ねるので「別に」と視線を向けた。


向けた……



あれ?



向けた先。
自分のことで手一杯だった俺は、二人の様子がおかしいことに、このとき初めて気がついた。


「ヒョンたちどうかしたんですか?」
「え……?なにが?」
「なんか様子おかしいですよ」
「そ、そんなことないよ!」


この二人は総務では有名なほど仲がいい。デコボコな性格は周りからネタにされるほどで、なぜだか知らないが、暇さえあればこうして休みの日でも当然のように一緒にいるらしい話は良く聞いていた。それに俺もそこにたまに呼ばれていた。だからもちろん二人の仲の良さは知っている。なのに……
営業に移ってから何かあったんだろうか、心配顔で尋ねた。


「なんか、よそよそしいですね」
「そ……そうかなぁ!?そんなことないよ!ねぇ、ギョンス?」
「あぁー、こないだちょっとからかったから」


ギョンスヒョンは可笑しそうに笑いを噛み締めて言った。
俺は意味がわからず、「は……?」と言うと、それと同時にジュンミョニヒョンが「え……からかったの?」と呟いた。


「そうですよ」
「ホントに!?」
「はい」


ギョンスヒョンが答えると、ジュンミョニヒョンはがっくりと肩を落とした。


「ショックなんですか?」
「いや……!そういうわけじゃないけど!」
「じゃあどういう訳ですか」
「別に訳なんて……」


込み入った話をしているようで、俺はとにかく傍観に努めることにした。


「何でもいいですけど、どのみち僕は辞める予定はないですから、あの木が枯れる予定も僕が持ち帰る予定もありませんから」
「そっ、か……」
「なので貴方ももう少し綺麗に咲いていてください」

「きっ……!」



こんなに顔を赤くするジュンミョニヒョンは初めてで、思わずこちらまで赤くなりそうなほど、真っ白な肌は、みるみると赤くなった。
どういう理由だか知らないけど、結局みんな暑さで脳みそがやられてるんだと思う。


俺もそう。そうだと願いたい。


窓の向こうでは太陽が益々高度を増し、俺たちの理性をジリジリと焼き焦がしていた。






おわり
-------
なんか色々すみません……
記念企画と言いつつ完全に自己満なシャッフル企画になってしまいましたw
そして最後、全員と言いつつシウちゃん出せなかったのが何よりも後悔……(´;ω;`)うぅ

とにかく、いつも来てくださってる皆さま、ありがとうございますm(__)m
これからも頑張ります☆


Thank-you 50000hits\(^o^)/

From Mido.
7/7ページ
スキ