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チャニョルとベッキョン


どうしよう
どうしよう、

なぁ、どうしよう
チャニョラ、


ベッキョンが取り乱して泣いている。


「大丈夫だって」
「大丈夫じゃねぇって!」
「大丈夫だから」
「大丈夫じゃねぇよ!!何が大丈夫なんだよ!!」


震えながら叫ぶベッキョンをそっと抱き締めた。


「俺がいるじゃん。俺が、絶対にお前を守るから」
「チャニョラ……」

「だから、ヌナに大丈夫だって連絡しろよ」


言って、しがみつくように肩に伏せられた頭を優しく撫でた。
あぁ、こんなにもベッキョンの匂いがする。


「……うん」


呟くとゆっくりと俺の腕の中から離れ、ポケットから携帯電話を取り出す。
震えながら文字を打つその綺麗な指先を見て、酷く胸が痛んだ。


あぁ、俺の方が泣きそう。



「……送った」


そう言って見上げる瞳は赤く潤んでいて。
堪らずまた抱き締めた。


「よくできました」


あとは大丈夫。ベッキョナが心配しなくても、ちゃんとなるように成るから。


「うん……ごめん」
「俺に任せて、」

親友だろ!


努めて明るく振る舞う。
俺はハッピーウイルスだから。
だから、だからこんなに痛む胸は堪える。

君の力になりたいんだ。
君を守りたいんだ。


そんな偽善に、吐きそうになりながら。

今にも消えてしまいそうなベッキョンを、抱き締めるその腕に力を込めた。


その傷だらけの羽じゃ飛べないと言うのなら、俺がお前の羽になる。
だから、飛ぶんだ。高く真っ直ぐに。



「ほら、いつものベッキョナに戻って?面白いこと言って楽しませてよ」


俺の親友だろ?なんて笑顔を向ければ、ベッキョンも痛々しく笑う。


こんなの、お前らしくないだろ?
もっとバカみたいに笑って、騒いで、うるさいってヒョンたちに怒られて、「お前のせいだ」ってなすり付けあって、そうやってまた笑って。


お前の笑顔はそんなぎこちないもんじゃなかっただろ?
誰よりも輝いていたんはずなんだ。


胸が、痛い。
痛い。
痛い。


なのに、堪え性のない俺の心臓は、ベッキョンをこの腕に抱き締めているということに震え、俺がこいつを助けられるんじゃないかというこの好機に高鳴っていた。

もう何年も親友を想っては跳ねる駄作のような心臓が、いつもよりいっそう稼働している。


泣かないで。
悩まないで。
傷付いたりなんかしないで。

大好きな、俺のベッキョナ。


ずっと俺の腕の中にいればいい。


俺ならこんなふうに、泣かせたりしないのに。


あぁ、駄作のような心臓がまた騒ぎ出す。







おわり
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