レイとチェン
ほぼ会話文です。
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「じゃー、もしメンバーの中で付き合うなら、誰がいいですか!?」
「チェンさん」
「えー!いないですよ僕!」
「例えば、の話ですよ!例えば、の!」
「うーん、例えばの話ですかぁ……じゃあー、どうしてもこの中の誰かと付き合わなきゃいけないとしたら……」
「したら……?」
「セフン!セフンにします」
「お?なんでですか!?」
「僕、最近セフンと何となく気が合うんですよ。リズムっていうか、雰囲気っていうか……だからセフンにします!」
「おっと、なるほど。意味深ですねぇ~」
こんな時、前までなら迷うことなくレイヒョンの名前をあげていた。
それは御約束のようでもあったし、嘘偽りのない僕の答えのでもあった。
だけど最近の僕らは、大人の事情で公にレイヒョンの名前を出すことを差し控えている。『大人の事情』とは、色々複雑で奥が深いのだ。
レイヒョン元気かな。
ふとそんな風に思い出したのは、もうすぐ日付を跨げばヒョンの誕生日が来るからだ。
チャニョルやセフンのように筆マメではない僕は、滅多なことでもない限り自分からヒョンへ連絡することはほとんどない。普段レイヒョンのことはマネージャーやチャニョルたちから伝え聞くばっかりだ。
だけど今日だけはメッセージを送らなきゃとトーク画面を開いた。
テキストボックスには『誕生日おめでとうございます』の文字。
あとは送信を押すだけの状態。
机の上に二つ並んだ時計の片方を見る。
一時間遅れた時計。
いつかの飛行機の中のように、僕はその一時間遅れた時計が0時を回ると同時に、テキストの送信ボタンを押した。
ヒョン、気づいてくれるかな。って、こんな風にワクワクとした気持ちはとても久しぶりだ。
綿菓子のようにふわふわできらきらな笑顔ではにかむヒョンを思い浮かべる。
喜んでくれるかな。
伝わってくれるかな。
大好きな僕のヒョン……
けれど僕のその文字は5分経っても10分経っても既読がつくことはなかった。
画面を眺めながら、そのうちに僕のスマートフォンのデジタル表示も0時を示して。それからまた一時間経ってもやっぱり既読がつかなくて。
きっと向こうのスタッフに祝ってもらってるんだろうなぁ、って。
少しだけ切なくなった。
僕もそんな風に近くで祝いたかった。
そのうちに眠っていたのか、手に握ったままだったスマートフォンが振動をして。僕は寝ぼけたまま通話に出た。
『もしもし?』
「はーい……?」
『ジョンデ?ごめん、もしかして寝てた?』
「……レイヒョン……?」
『うん、分かる?』
「……あ!ヒョン!!」
『ごめんね、寝てたよね?さっきまでスタッフたちがお祝いしてくれてて、見るの遅くなっちゃったんだ。メッセージありがとうね』
「ふふ、どういたしまして。ヒョン、」
『ん?』
「改めて、おめでとうございます」
『ありがとう』
「ヒョン、みんなで一緒にお祝いしてあげられなくてごめんね」
『ううん、大丈夫。仕方ないことだから。それに、こっちのスタッフがお祝いしてくれたし』
「ちゃんとみんなに祝ってもらえたならよかったけど、でも僕もお祝いしたかったな……」
ねぇ、ヒョン!と僕は電話口で弾んだ声をあげた。
「プレゼント、何がいいですか?去年贈れなかったから、今年はなにか贈りたいです」
『いいよ、別に。ジョンデが美味しいもの食べるために使って?』
「え~、何かもらってくださいよ~」
『うーん……じゃあ、僕のために歌って』
「歌ですか?そんなの誕生日じゃなくたっていつでもヒョンのために歌ってあげますよ」
『ふふ、ずいぶん甘い言葉だね』
「え……?もー、恥ずかしいこと言わないで下さいよ」
『でもジョンデの歌が聴きたいのは本当。歌って?』
「今ですか?」
『うん』
じゃあ、と言って僕が口ずさんだのは、オーソドックスな誕生日を祝う歌。
随分と簡単で、短い歌だ。
そんな歌でも喜んでくれるヒョンは、本当に純粋でキラキラと透明な結晶玉みたいな人だと思う。
「ヒョン、今度ちゃんと歌います。ヒョンのために」
『うん、楽しみにしてるね』
「あ!次にテレビとかラジオとかで歌う機会があったら、その時はヒョンのために歌いますよ!」
そしたらヒョンも見れるでしょ?と言うと、ヒョンはケタケタと笑った。
『そんな個人的なことに使っていいの?』
「いいんですよ。だって誰にも分からないじゃないですか。僕とヒョンしか分からないことですから」
『う~ん、そっか。そうだね!じゃあ楽しみに待ってる』
「ヒョン、」
『なぁに?』
「これからもずーっと僕のヒョンでいてくださいね!」
Happy Birthday Dear Lay!!!
2017.10.06
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「じゃー、もしメンバーの中で付き合うなら、誰がいいですか!?」
「チェンさん」
「えー!いないですよ僕!」
「例えば、の話ですよ!例えば、の!」
「うーん、例えばの話ですかぁ……じゃあー、どうしてもこの中の誰かと付き合わなきゃいけないとしたら……」
「したら……?」
「セフン!セフンにします」
「お?なんでですか!?」
「僕、最近セフンと何となく気が合うんですよ。リズムっていうか、雰囲気っていうか……だからセフンにします!」
「おっと、なるほど。意味深ですねぇ~」
こんな時、前までなら迷うことなくレイヒョンの名前をあげていた。
それは御約束のようでもあったし、嘘偽りのない僕の答えのでもあった。
だけど最近の僕らは、大人の事情で公にレイヒョンの名前を出すことを差し控えている。『大人の事情』とは、色々複雑で奥が深いのだ。
レイヒョン元気かな。
ふとそんな風に思い出したのは、もうすぐ日付を跨げばヒョンの誕生日が来るからだ。
チャニョルやセフンのように筆マメではない僕は、滅多なことでもない限り自分からヒョンへ連絡することはほとんどない。普段レイヒョンのことはマネージャーやチャニョルたちから伝え聞くばっかりだ。
だけど今日だけはメッセージを送らなきゃとトーク画面を開いた。
テキストボックスには『誕生日おめでとうございます』の文字。
あとは送信を押すだけの状態。
机の上に二つ並んだ時計の片方を見る。
一時間遅れた時計。
いつかの飛行機の中のように、僕はその一時間遅れた時計が0時を回ると同時に、テキストの送信ボタンを押した。
ヒョン、気づいてくれるかな。って、こんな風にワクワクとした気持ちはとても久しぶりだ。
綿菓子のようにふわふわできらきらな笑顔ではにかむヒョンを思い浮かべる。
喜んでくれるかな。
伝わってくれるかな。
大好きな僕のヒョン……
けれど僕のその文字は5分経っても10分経っても既読がつくことはなかった。
画面を眺めながら、そのうちに僕のスマートフォンのデジタル表示も0時を示して。それからまた一時間経ってもやっぱり既読がつかなくて。
きっと向こうのスタッフに祝ってもらってるんだろうなぁ、って。
少しだけ切なくなった。
僕もそんな風に近くで祝いたかった。
そのうちに眠っていたのか、手に握ったままだったスマートフォンが振動をして。僕は寝ぼけたまま通話に出た。
『もしもし?』
「はーい……?」
『ジョンデ?ごめん、もしかして寝てた?』
「……レイヒョン……?」
『うん、分かる?』
「……あ!ヒョン!!」
『ごめんね、寝てたよね?さっきまでスタッフたちがお祝いしてくれてて、見るの遅くなっちゃったんだ。メッセージありがとうね』
「ふふ、どういたしまして。ヒョン、」
『ん?』
「改めて、おめでとうございます」
『ありがとう』
「ヒョン、みんなで一緒にお祝いしてあげられなくてごめんね」
『ううん、大丈夫。仕方ないことだから。それに、こっちのスタッフがお祝いしてくれたし』
「ちゃんとみんなに祝ってもらえたならよかったけど、でも僕もお祝いしたかったな……」
ねぇ、ヒョン!と僕は電話口で弾んだ声をあげた。
「プレゼント、何がいいですか?去年贈れなかったから、今年はなにか贈りたいです」
『いいよ、別に。ジョンデが美味しいもの食べるために使って?』
「え~、何かもらってくださいよ~」
『うーん……じゃあ、僕のために歌って』
「歌ですか?そんなの誕生日じゃなくたっていつでもヒョンのために歌ってあげますよ」
『ふふ、ずいぶん甘い言葉だね』
「え……?もー、恥ずかしいこと言わないで下さいよ」
『でもジョンデの歌が聴きたいのは本当。歌って?』
「今ですか?」
『うん』
じゃあ、と言って僕が口ずさんだのは、オーソドックスな誕生日を祝う歌。
随分と簡単で、短い歌だ。
そんな歌でも喜んでくれるヒョンは、本当に純粋でキラキラと透明な結晶玉みたいな人だと思う。
「ヒョン、今度ちゃんと歌います。ヒョンのために」
『うん、楽しみにしてるね』
「あ!次にテレビとかラジオとかで歌う機会があったら、その時はヒョンのために歌いますよ!」
そしたらヒョンも見れるでしょ?と言うと、ヒョンはケタケタと笑った。
『そんな個人的なことに使っていいの?』
「いいんですよ。だって誰にも分からないじゃないですか。僕とヒョンしか分からないことですから」
『う~ん、そっか。そうだね!じゃあ楽しみに待ってる』
「ヒョン、」
『なぁに?』
「これからもずーっと僕のヒョンでいてくださいね!」
Happy Birthday Dear Lay!!!
2017.10.06