レイとチェン
131015 主役と脇役(レイチェン)
僕はきっと、人生の主役にはなれないタイプ。だからひっそりと誰かの人生の応援役にでもなれたらそれで満足だ。
そんな話をしたら「ダメだよジョンデ。少なくとも僕の人生の中では君は主役なんだから」
そう言ったのはレイヒョンだった。優しいヒョン。
「じゃあ、他のメンバーは?他のメンバーはヒョンの中では脇役ですか?」
「もちろん主役だよ。それに両親も。大事な人はみんな主役」
「ずいぶん主役が多いんですね」
結局は脇役なんじゃないかって苦笑する。
僕はみんなが幸せなら、それが僕の幸せだ。ってわりと本気で思ってる。みんなが笑ってくれるならいくらでもバカになれるし、僕の歌が聞きたいって言ってくれるならいくらでも歌いたいって思う。この声が渇れたって。この喉が潰れたって。誰かが僕を求めてくれるなら、そこに僕の存在意義があるというのなら、いくらでも。
僕はみんなが幸せなら、僕も幸せだから。
「そんなの幸せじゃないよ」
「なんで?」
「僕が幸せじゃないから。僕はジョンデが自分自身で幸せにならないと、嬉しくない」
そう言って今度はレイヒョンが苦笑した。
「もっと我が儘言ったっていいのに。誰もジョンデのこと嫌いになんてならないよ?」
その言葉は、なんだか少し見透かされてるようだった。
「いや、例え誰かが嫌いだって言ったとしても、僕だけは絶対に嫌いにならないから」
だから安心して?って笑う。
ヒョンの笑みは本当に優しくて綺麗だ。
「言ってますよ?言ってるんだけどなぁ」
今日も晩御飯は肉がいいって言ったし。って言ったら、そんなの我が儘のうちに入らないよ!って怒られた。
「もっとジョンデがしたいようにしてよ。じゃないとジョンデの意思はみんなに伝わらないよ?」
「僕の意思なんてないんだけどな。本当に」
最低限、本当に嫌なことは嫌だって言ってるし。あとはみんなが楽しく幸せであれば、僕はその幸せを邪魔しないことだけを考える。昔からそうやって生きてきた。いい子でいるのは得意だから。
「タオみたく我が儘言ったっていいのに」
「タオみたく?」
それはできないです、なんて笑っても、レイヒョンは真顔だった。
「じゃあさ……ひとつだけ、我が儘言ってもいいですか?」
僕がそう言うと、ヒョンは嬉しそうに綺麗な笑みを浮かべた。
「もちろん!」
「じゃあ……ぎゅって、してくれませんか?」
「ぎゅ?」
「うん……ハグを……」
照れながらそう言うと、ヒョンは大袈裟に抱き締めてくれた。
あぁ、幸せ。
僕はもうこれで、幸せ。
「ヒョンが、たまにこうやって甘やかしてくれるだけで……僕は幸せです」
「……安い幸せだね」
「そんなこと、ないです……」
「僕なら、キスしてほしい、くらい言うけどな」
「……え?」
「ジョンデは違うの?」
僕はみんなの人生の脇役で。
みんなが幸せならそれが一番嬉しい。
主役はちょっと慣れてないから、どうしよう……
「僕は、ヒョンの人生の主役に、なれますか?」
「もちろん、今だって」
「僕とヒョンだけが、主役?」
「うん」
「じゃあ……キス、してほしいです」
「よかった」
そう言ってヒョンの唇は触れた。
「ねぇ、ジョンデの人生の主役は?ジョンデじゃないの?」
「え……?」
「主役は幸せにならなくちゃ。それに、」
君が幸せにならないと僕が幸せになれないよ、って。
僕の人生の主役は僕。
それと大好きなレイヒョン。
おわり
僕はきっと、人生の主役にはなれないタイプ。だからひっそりと誰かの人生の応援役にでもなれたらそれで満足だ。
そんな話をしたら「ダメだよジョンデ。少なくとも僕の人生の中では君は主役なんだから」
そう言ったのはレイヒョンだった。優しいヒョン。
「じゃあ、他のメンバーは?他のメンバーはヒョンの中では脇役ですか?」
「もちろん主役だよ。それに両親も。大事な人はみんな主役」
「ずいぶん主役が多いんですね」
結局は脇役なんじゃないかって苦笑する。
僕はみんなが幸せなら、それが僕の幸せだ。ってわりと本気で思ってる。みんなが笑ってくれるならいくらでもバカになれるし、僕の歌が聞きたいって言ってくれるならいくらでも歌いたいって思う。この声が渇れたって。この喉が潰れたって。誰かが僕を求めてくれるなら、そこに僕の存在意義があるというのなら、いくらでも。
僕はみんなが幸せなら、僕も幸せだから。
「そんなの幸せじゃないよ」
「なんで?」
「僕が幸せじゃないから。僕はジョンデが自分自身で幸せにならないと、嬉しくない」
そう言って今度はレイヒョンが苦笑した。
「もっと我が儘言ったっていいのに。誰もジョンデのこと嫌いになんてならないよ?」
その言葉は、なんだか少し見透かされてるようだった。
「いや、例え誰かが嫌いだって言ったとしても、僕だけは絶対に嫌いにならないから」
だから安心して?って笑う。
ヒョンの笑みは本当に優しくて綺麗だ。
「言ってますよ?言ってるんだけどなぁ」
今日も晩御飯は肉がいいって言ったし。って言ったら、そんなの我が儘のうちに入らないよ!って怒られた。
「もっとジョンデがしたいようにしてよ。じゃないとジョンデの意思はみんなに伝わらないよ?」
「僕の意思なんてないんだけどな。本当に」
最低限、本当に嫌なことは嫌だって言ってるし。あとはみんなが楽しく幸せであれば、僕はその幸せを邪魔しないことだけを考える。昔からそうやって生きてきた。いい子でいるのは得意だから。
「タオみたく我が儘言ったっていいのに」
「タオみたく?」
それはできないです、なんて笑っても、レイヒョンは真顔だった。
「じゃあさ……ひとつだけ、我が儘言ってもいいですか?」
僕がそう言うと、ヒョンは嬉しそうに綺麗な笑みを浮かべた。
「もちろん!」
「じゃあ……ぎゅって、してくれませんか?」
「ぎゅ?」
「うん……ハグを……」
照れながらそう言うと、ヒョンは大袈裟に抱き締めてくれた。
あぁ、幸せ。
僕はもうこれで、幸せ。
「ヒョンが、たまにこうやって甘やかしてくれるだけで……僕は幸せです」
「……安い幸せだね」
「そんなこと、ないです……」
「僕なら、キスしてほしい、くらい言うけどな」
「……え?」
「ジョンデは違うの?」
僕はみんなの人生の脇役で。
みんなが幸せならそれが一番嬉しい。
主役はちょっと慣れてないから、どうしよう……
「僕は、ヒョンの人生の主役に、なれますか?」
「もちろん、今だって」
「僕とヒョンだけが、主役?」
「うん」
「じゃあ……キス、してほしいです」
「よかった」
そう言ってヒョンの唇は触れた。
「ねぇ、ジョンデの人生の主役は?ジョンデじゃないの?」
「え……?」
「主役は幸せにならなくちゃ。それに、」
君が幸せにならないと僕が幸せになれないよ、って。
僕の人生の主役は僕。
それと大好きなレイヒョン。
おわり