犬の吾郎は飼い慣らせない。
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「あの…」
「なんやお嬢ちゃん」
「この状況は一体なんですか…」
「あ?どういうことや?」
「なんで抱きしめられてるのかって聞いてるんです…!」
仕事から帰って来た途端玄関先でニマニマとした顔で出迎えられた。そう、あの人間の姿になれる犬にだ。結局あの後押しに弱い私は押しに押され寝泊まりを許してしまった。そしてこの犬何が問題かというと物凄くスキンシップが激しい。そう、今みたいに。
「なんでって、ワシがそうしたいからしとるだけって理由じゃあかんのか?」
「…ちょっと聞いてください」
私は彼の手を剥がし、向かい合って座るようにした。
「あのですね、人間は無闇矢鱈に触りあったりしないんです」
「ほぉ…そういうもんなんか」
「そういうもんです。恋人じゃないなら尚更です」
「こいびと…?」
彼は初めて聞いたらしい言葉に首を傾げる。厳つい顔をした彼が首を傾げる様は少し可愛く見えた。
「つまり、好きな人って意味です」
「なんや!それなら問題あらへんやないか!ワシ、お嬢ちゃんのことめっちゃ好きやで!」
「やっ!だからちがっ!いちいちくっついてこないでください!」
「お嬢ちゃん…最初に会うたときよりよそよそしいやん…親父んとこの下っ端みたいな口調やし」
「うっ…」
そりゃ見た目が明らかに年上のものだからだ。情景反射で敬語を使ってしまう。というか昨日から気になっていたが、カチコミとか親父の下っ端とか、明らかにあっち系に関係のある犬なのではないか…?
「吾郎って、今いくつなんです…?」
「ワシか?せやなぁ…6、7年は経っとるかのぉ」
6、7年というと人間の歳で言ったら結構な年齢になるのでは?私は携帯で犬、年齢で検索をかけ調べてみた。
「だいたい40代くらいか…」
「あ?なにがや?」
「吾郎が人間だとしたらいくつになるかってこと」
「そないに歳とっとるんかワシ」
「だから、私より年上の人ってことになるんです。私がそういう口調になるのはそのせいであって…」
「でもワシはれっきとした犬やで?お嬢ちゃん見たところ20前半くらいやろ?ワシの年齢なんてお嬢ちゃんからみたらケツの青いガキや」
「それは流石に言い過ぎだし…でもやっぱ…」
「でももかかしもあらへん!ワシが犬んときやったときみたいに接してくれんかったら無視するからな!」
そう言うと私から顔を思い切り背けた。
子供か…
「わかった、わかったから…無視はやめてほしいな」
「…お嬢ちゃん、ワシに無視されるんが嫌なんか?」
「え?まぁ…」
誰だって無視されるのは嫌だと思うけど…
「ふーん、そか」
あ、またニマニマしてる。満足のいく答えを出せれたようで吾郎は嬉しそうだ。
「そういえば、ほんとの名前はなんて言うの?」
「あ?」
「だから、名前。私がつける前に元々あったんじゃないの?」
「あぁ…あるっちゃあるな」
「なんて言うの?」
吾郎は私に顔を近づけてくると人差し指を立てて口に当て、意地の悪そうな顔をした。
「秘密や」
「…」
私は吾郎のお茶目な行動に目をぱちくりとさせた。
「吾郎、なんて安直な名前すぎない?」
「んなことあらへん。ワシはめっちゃ気に入っとるで、吾郎」
「ならいいけど…」
「せやから、これからも吾郎って呼んでな」
「うん」
「呼んでくれたらどこでも駆けつけたるわ」
「ふふ、ほんと?」
「ほんまやほんま」
「ありがと…」
吾郎の言葉が嬉しくて思わず小さく笑みが零れた。
「お嬢ちゃん、笑うとほんまにべっぴんさんやな」
「な、なんですか急に」
「なんや、お嬢ちゃんが笑うとな?ここがあったかぁくなんねん」
そう言うと吾郎は左胸に手を当てた。
「…人間ってほんまに面倒な動物や、ちっちゃなことで争うわ、考えたくもないこと考えなあかんわ」
「……」
「でもな、お嬢ちゃんがくれたこのあったかくて、居心地いいような悪いようなんは、ほんまに気分がええ」
「………、」
「なぁ、お嬢ちゃん…」
「わ!わかったから!もう、ほんとに!」
「あぁ!?なんでや!やっとお嬢ちゃんとお喋りできるようになったんやで!?」
「そうだよね!凄くわかる!でも今はダメ!」
「なんであかんのや!…って、お嬢ちゃんなんか顔赤くなっとるけどどないしたん?」
「大丈夫!だから!」
なんて、なんて素直な犬なのだろうか。このままでは私の体が持たない気がしてきた。この犬はある意味危険だ…!危険すぎる!
「なんやお嬢ちゃん」
「この状況は一体なんですか…」
「あ?どういうことや?」
「なんで抱きしめられてるのかって聞いてるんです…!」
仕事から帰って来た途端玄関先でニマニマとした顔で出迎えられた。そう、あの人間の姿になれる犬にだ。結局あの後押しに弱い私は押しに押され寝泊まりを許してしまった。そしてこの犬何が問題かというと物凄くスキンシップが激しい。そう、今みたいに。
「なんでって、ワシがそうしたいからしとるだけって理由じゃあかんのか?」
「…ちょっと聞いてください」
私は彼の手を剥がし、向かい合って座るようにした。
「あのですね、人間は無闇矢鱈に触りあったりしないんです」
「ほぉ…そういうもんなんか」
「そういうもんです。恋人じゃないなら尚更です」
「こいびと…?」
彼は初めて聞いたらしい言葉に首を傾げる。厳つい顔をした彼が首を傾げる様は少し可愛く見えた。
「つまり、好きな人って意味です」
「なんや!それなら問題あらへんやないか!ワシ、お嬢ちゃんのことめっちゃ好きやで!」
「やっ!だからちがっ!いちいちくっついてこないでください!」
「お嬢ちゃん…最初に会うたときよりよそよそしいやん…親父んとこの下っ端みたいな口調やし」
「うっ…」
そりゃ見た目が明らかに年上のものだからだ。情景反射で敬語を使ってしまう。というか昨日から気になっていたが、カチコミとか親父の下っ端とか、明らかにあっち系に関係のある犬なのではないか…?
「吾郎って、今いくつなんです…?」
「ワシか?せやなぁ…6、7年は経っとるかのぉ」
6、7年というと人間の歳で言ったら結構な年齢になるのでは?私は携帯で犬、年齢で検索をかけ調べてみた。
「だいたい40代くらいか…」
「あ?なにがや?」
「吾郎が人間だとしたらいくつになるかってこと」
「そないに歳とっとるんかワシ」
「だから、私より年上の人ってことになるんです。私がそういう口調になるのはそのせいであって…」
「でもワシはれっきとした犬やで?お嬢ちゃん見たところ20前半くらいやろ?ワシの年齢なんてお嬢ちゃんからみたらケツの青いガキや」
「それは流石に言い過ぎだし…でもやっぱ…」
「でももかかしもあらへん!ワシが犬んときやったときみたいに接してくれんかったら無視するからな!」
そう言うと私から顔を思い切り背けた。
子供か…
「わかった、わかったから…無視はやめてほしいな」
「…お嬢ちゃん、ワシに無視されるんが嫌なんか?」
「え?まぁ…」
誰だって無視されるのは嫌だと思うけど…
「ふーん、そか」
あ、またニマニマしてる。満足のいく答えを出せれたようで吾郎は嬉しそうだ。
「そういえば、ほんとの名前はなんて言うの?」
「あ?」
「だから、名前。私がつける前に元々あったんじゃないの?」
「あぁ…あるっちゃあるな」
「なんて言うの?」
吾郎は私に顔を近づけてくると人差し指を立てて口に当て、意地の悪そうな顔をした。
「秘密や」
「…」
私は吾郎のお茶目な行動に目をぱちくりとさせた。
「吾郎、なんて安直な名前すぎない?」
「んなことあらへん。ワシはめっちゃ気に入っとるで、吾郎」
「ならいいけど…」
「せやから、これからも吾郎って呼んでな」
「うん」
「呼んでくれたらどこでも駆けつけたるわ」
「ふふ、ほんと?」
「ほんまやほんま」
「ありがと…」
吾郎の言葉が嬉しくて思わず小さく笑みが零れた。
「お嬢ちゃん、笑うとほんまにべっぴんさんやな」
「な、なんですか急に」
「なんや、お嬢ちゃんが笑うとな?ここがあったかぁくなんねん」
そう言うと吾郎は左胸に手を当てた。
「…人間ってほんまに面倒な動物や、ちっちゃなことで争うわ、考えたくもないこと考えなあかんわ」
「……」
「でもな、お嬢ちゃんがくれたこのあったかくて、居心地いいような悪いようなんは、ほんまに気分がええ」
「………、」
「なぁ、お嬢ちゃん…」
「わ!わかったから!もう、ほんとに!」
「あぁ!?なんでや!やっとお嬢ちゃんとお喋りできるようになったんやで!?」
「そうだよね!凄くわかる!でも今はダメ!」
「なんであかんのや!…って、お嬢ちゃんなんか顔赤くなっとるけどどないしたん?」
「大丈夫!だから!」
なんて、なんて素直な犬なのだろうか。このままでは私の体が持たない気がしてきた。この犬はある意味危険だ…!危険すぎる!