「煙草吸っている人って寂しがり屋なんですって」


お風呂上がりにソファでくつろぎながら雑誌を読んでいるとそんな項目が目につき、隣で煙草を吸っている彼にそう告げた。真島さんは煙草を咥えながら目をぱちくりさせた。


「なんやそれ」

「ほら、ここに書いてあるんですよ」

「ほ〜…」


問題の内容が書かれたページを見せると雑誌に顔を近づけ、疑うように目を細めた。


「煙草を吸っている彼は甘えん坊でワガママな一面がありますぅ…？ブッ…ひゃーっはっはっはっ！」

「ふふっ、笑いすぎじゃ、ないですか…ふっ」

「ヒヒッ、自分もなっ」


20代女子が読む雑誌の内容を読む真島さんが可笑しくてつい笑ってしまった。真島さんは呼吸をするかのように煙草を吸った。


「で、そないな可愛らしい内容見せてきてどないしたんや」

「いや、読んでたらそんな内容があったんで、どうなのかなぁ、と」

「吾郎ちゃん寂しがり屋やからぁ、なまえちゃんがおらんかったら死んでまう〜」


甘い声を出しながら首に腕を絡ませられぎゅうぎゅうと抱き締められた。


「暑苦しいです〜」

「んな冷たいこと言うなや〜」

「ふふっ」


休日の夜にソファでじゃれるようにイチャイチャできて、嬉しさを感じずにはいられなかった。可愛いおじさんだなぁ。


「おじさんやないわ」

「怖いからドスの効いた声出さないでください。あと心の中読まないで」

「にしても、寂しがり屋とか甘えん坊とかワガママとか、ワシに似合わなすぎやろ」

「そうですかね？可愛いじゃないですか」


雑誌を読みながら真島さんの受け答えをしているとソファの背もたれに肘を置いていた真島さんは片手で私の頬を挟み、首を動かされ顔があった。


「そんな可愛い吾郎ちゃんの相手するよりも雑誌読む方が楽しいんか？」


あ、甘えん坊でワガママだ。言うと怒るだろうから言わないけど。


「…私、今下着つけてないん、ですけ、ど」

「は？」

「煙草の相手してたから、待ってたん、ですけど、」


勇気を出して言ってみたが、想像以上にめちゃくちゃ恥ずかしくて目を逸らした。絶対顔赤くなってる。


「わっ！？」


真島さんは煙草の煙を私に思い切り吹きかけてきた。いきなりすぎて肩が飛び跳ね、煙が目に入らないよう強く瞑る。


「ちょ、なにするんで、んむぅ！」

「…」

「ん、ふ…んん…」


煙を吹きかけられてからすぐに噛み付くようにキスをされる。離れたくても顎を掴まれているため諦めざるを得なかった。


「ふ、ひゃっ！」


唇を離したかと思えば唇をひと舐めされてから離された。


「やめや、」

「へ…？」

「せっかくの休みの夜やし時間かけてゆーっくり味わおう思たけど、そないに煽られたら辛抱たまらんわ」


吸っていた途中の煙草を灰皿に押しつぶし、私の持っていた雑誌を床に投げ捨てた。そして私の肩を掴むとソファに押し倒される。


「朝まで甘えさせてもらうからよろしく頼むでぇ？なんせ、寂しがり屋やからのぉ」


朝まで、となるのは計画違いだったが、そんな快楽を待ちかねてゾクゾクとしている私がいた。