primavera
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その日は植物園にいた。
親の言われるがままに出かけたので、あまり気乗りはしていなかった。だけど、綺麗な花がいっぱいで割と満足していた。
そして道は温室へと繋がっていた。
入った瞬間から空気が少しぽかぽかとしたものに変わった。目の前には鮮やかな色の緑が広がっている。サボテンだ。不思議な形をしたものから、生き物みたいにくねくねしたものまで、色んなものがずらりと並んでいた。
そして、しばらく進んだ時だった。
特段目立っていたわけでもなく、緑のアーチのような場所にぽつりと咲いていた。
なのに、きらきらと輝いているようで、凛と美しい貴方を、私は見つけてしまった。
「可愛い…」
いつでも写真を撮れるように、と握りしめていたスマホを構え、その姿をレンズに写す。
綺麗な淡桃色の花。よく見ると細かい星のようなものがたくさんついている。
無我夢中で眺めていると、「もう行くよー」と母親の声が聞こえた。
今行くから、と返して、止めていた足を動かす。
またね、と言う代わりに花の方をもう一度向いた。すると、
「またおいで」
周りを見渡す。私以外に人はいない。
聞き間違いか、と思い踵を返して、待っている家族の元へ向かった。
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「ふふ、また会えるかな」
「あら、蘭さんえらく上機嫌だね」
「あんなに熱心に見られたんだもの」
遠ざかっていく君の姿を、見えなくなるまで目に焼き付けた。
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