仕組まれた恋愛
ナマエ
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"周りに迷惑かけず、人並みの幸せが保てる生活がしたいだけ"
僕の双子の片割れ…妹は昔からそんなことをダルそうな顔してよく言っていた
全てにおいて天才的な実力を持つのに常に次席
神覚者候補選抜試験も有力候補者にも関わらず辞退
「ナマエなんで辞退したんだい?」
「私が出たら圧勝で終わっちゃうし」
「チャージinハチミツしてパワーアップしたハタラキバチサンモードのお兄ちゃんにはかなわないかもしれないよ」
「お兄ちゃん昔から私に勝ったことないじゃん」
「………ハイ」
「神覚者に興味ないし…その肩書にあった仕事量になるの分かってなりにいくとかちょっとどんな思考回路してるかわかんない…」
「軽くディスってない?」
「目立って悪さできなくて生きづらそうだし責任重大な立場になるのはごめんよ」
「悪さするのキミ?」
「悪いけどわたしほどほどにハッピーな時間を過ごしたいからさ」
「そういうことはカルドのほうがあってるじゃんさ」
「そうかい?」
「そうそう、その後ろで私は甘い蜜を吸うんです」
「ハチミツを比喩ってる?」
「そうそう」
こんな感じでいつものらりくらりと生きていている妹がお兄ちゃん的には将来が心配だった
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「お兄ちゃん神覚者というなの社畜奴隷決定おめでとう」
「もう少し言い方あったんじゃないのかい?」
「
「まじ黒炎とか暑苦しい…ほんと出なくてよかった」
「なんで私の家は代々こんな剣が伝統になってるんだか」
「でもカルドにピッタリだったね」
「黒炎の剣と相性抜群じゃん」
本当に興味ないのか彼女はヘラヘラと笑うのだった
結局妹は卒業試験でも次席合格のままで
学校生活最後まで自分のスタイルを一貫して貫きとうしたのだった
ここまでくると家族も感嘆せざる終えなかったが…
流石に就職先はちがうだろうなと皆考えていた
「え、結局魔法局にしたの?」
「うん、指名推薦されたの」
「え、でもキミ魔法局に入れば〇〇しても出られない職場だよ…とかなんとかいってなかったかなぁ」
「うん、だから提示したの…魔法局 魔法人材管理局副局長ならやりますよって」
「ん?」
「魔法局は他よりやっぱ金払いはいいよね」
「でも下っ端だと使いパシリされたり上司の命令どおり業務をこなさないといけない」
「それに今はよくてもある程度の勤務年数になると肩書きがないとやはり世間様の目が厳しくなる」
「でもカルドお兄様の下につけばなにかあっても局長に責任放棄できるしあまり文句とか強制的なことはされないと思うからこのポジションならありかなと」
彼女は自分に利となると分かるや否や異常なほど頭の回転が素早くなり対処するのがうまかった
俗に言う世渡り上手だ
「ナマエほんとすごいよね」
「長く一緒にいるけどキミの頭の中どうなってるんだい」
「褒めてくれてありがとう」
結局職場も同じということで今から探すのはダルいとかなんとかで一人暮らしが始まる僕の家に転がり込んできたのだった
行きも帰りも職場もいっしょ
同じ家でご飯を食べたりお酒を飲んだりといたって普通の生活をしていた
だがそんな日常がガラリとかわったのだった
そう今年の神覚者に選ばれた
オーター・マドルが現れるまでは
「お、お兄ちゃん この人は…」
「つい先日神覚者に選ばれ春から魔法局 魔法魔力管理局局長になる……オーター・マドルだよ」
「たしか今週神覚者授与式だよ」
「カルド絶対出席だよね?」
「そうだね」
「わたしもいく」
「え、急にどうしたの?今まで一度も興味無かったよね」
「彼…どストライクなの…わたしの好みまるっと詰め込んでみましたって容姿なの」
「最推しを拝みにいかないと」
「やばいやばい…心臓持つかな」
彼女がなにかにましてや人に興味を持つのにひどく驚いた
それからはもう恋する乙女のように
身だしなみは元からふつうだが流行に敏感になりおしゃれをするようになった
他の神覚者からはキレイになりキラキラした空気をまといながら生活をし始めたわたしを見て大丈夫?と声をかけてくる始末
もとから自分の仕事はきっちりやっていたが、文句を言われないようカルドの分まで毎回手伝い終わらせてからお気に入りの彼のところに向かった
「ね、ね、オーターくんお昼一緒に食べよう」
"おかまいなく"
"しつこいですよ"
"忙しいからほかをあたれ"
毎回断られたが私はめげなかった
「えー無理です強制です」
「………」
無理やり向かいに座り喋りだす
「そんな顔するオーターくんもかっこいいね!」
案外わたしは鋼の心臓だった
「今日も尊い…生まれてきてくれてありがとう」
「ほんと、オーターくんをこの世に誕生させて下さった神に感謝を」
「はじめて魔法が使えるこの身体のありがたみを知った」
「それはよかったですね」
「魔法不全者でしたらあなた極刑でしたよ」
「オーターくんになら裁かれてもいいかも」
「………」
最初はゴミクズでも見るかのように冷たくあしらわれていたが、休憩時間や昼休みなどちょっとしたタイミングに会ったらめげずに話しかけにいった
"心残りなのは神覚者にならなかったことくらいかな"
"あー今から部署替えしようかな"
"でも毎日オーターくんと一緒の空間とか仕事が手につかなくなりそう"
"いやいや同じ部屋で同じ空気を何時間も吸ってるとか過呼吸になるかも"
露骨に不愉快そうな顔をされた
こんな私だが相手に合わせることもしっかり忘れなかった
彼の趣味にあわせるため本をたくさん読んだ
「この前教えてくれたオススメの本読んだよ!」
「そうですか」
「このあとディベートする?」
「…かまいませんよ」
「結婚しよう?」
「………」
何いってんだこいつって顔もステキだ
オーターくんは次第に押し負けたのかあきらめたのか無表情のままだがよほどのことがなければ断られるようなことはなくなった
一緒にいるいることを許してもらえるようになったらしい
なんやかんや彼は優しい
それからは職場だけでなく
非番の日に
一緒に本屋にいったり
帰りに
たまにお酒を飲みに行ったり
廊下ですれ違うと一言二言はなすくらいには成長した
これだけしていれば好意がありますと言っているもので
告白したときはいまさらですね
とまんざらでもない顔をしてすんなり承諾を頂いたから
わたしは懐疑心を抱いたくらいだった
晴れて恋人同士になったため二人で同棲するようになった
引っ越しする為荷物を整理していたらカルドがお嫁にいく娘を送っていくパパみたいな顔して泣いていた
「オーターまだ終わらないのー?」
『もう少しかかるから座って待っていなさい』
「えーかまってよー」
と後ろから座っているオーターに抱きつく
いい匂い…落ち着く
『………』
襟足あたりを触る
『邪魔をするな』
「オーター」
スリスリと肩のあたりで頬ずりする
『いつまでそうしている…仕事の邪魔だ離れろ』
「やだやだやだ」
『はぁー』
一向にこちらを見ず書類にペンを走らせている音がする
そんな彼を見て意地悪がしたくなった
"ちゅっ"
項にキスをする
腕をガシッと掴まれる
と同時に視界が低くなる
彼の膝の上に横座りさせられた
「お、オーターさん?」
『ナマエ』
ヤバいこれはやってしまったと思ったのもつかの間
オーターの手が太ももをなでていく
反対側の手はがっしり腰を掴まれて身動きができない
就業時間はとっくに過ぎている
残業をしていたはずの書類はハンコまで押された完璧な状態で仕上がっている
本日の彼の仕事が終わったことを告げていた
『毎晩、その淫らな身体に教え込んでいたのだが』
『どうやらあなたには物足りなかったようだ』
『躾し直さないといけないな』
耳下で彼の声が響く
フェザータッチするように手が這う
身体がすぐ反応してしまうのが悔しい
「ご、ごめんなさい私が悪かったです」
『もう遅い』
「ひぃん」
脇に抱えられ逃げられないようにがっちりホールドされた
「お兄ちゃん助けてー」
『俺の前で他の男の名前をだすとは』
「余程あなたは自分の立場を理解していないようだ」
あぁしまったしまった
やらかしてしまった
半ば諦めながら
チラリとオーターの顔を盗み見れば
バチッと目が合う
至極愉快そうな顔をしてこちらを見ているのだった
こんなときでもこんな顔するオーターも好きとなるのは惚れた弱みなのだろう
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後日談
「オーター僕のことお義兄さんってよんでもいいんだよ!」
『……』
「ごめんよ僕が悪かったから杖をしまって」
『カルド…一体何のようだ』
「妹のこといつから好きだったんだい?」
『………こういったコトにまで鋭くなくていいのだが』
「フフッ、これでも大事な妹だからね」
『ハァ………一目惚れですよ』
「え、え…オーターそれほんとのことだよね」
ぼくの眼力でさえもそこまでは見破れなかったかぁ〜
『質問には答えたので私は戻ります』
『貴様も油を売ってないではやく仕事に戻れ』
そんなまさか最初から両思いだったってこととはね
"あぁ…お義兄さん"
「サボった分の仕事くれぐれもナマエに押し付けるなよ…」
僕の可愛い可愛いナマエはとんでもないところに嫁いでしまったね
まあでも僕も流石にお尻に砂を流しこまれるのは嫌だからね…
「そんなことはしないから大丈夫だよ」
「オーターできればもう一度お義兄さんってよんでほしいなぁ〜?」
「え、ハチミツがけ刺身が拷問器具に正式採用された…って………」
ズーーーーン
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