HAPPY ENDを迎えるための法則
ナマエ
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歯車は何処で狂ってしまったのか
伝言ウザギで連絡をもらって急いでオーターのところに向かった
嫌な予感がする
あんな声のオーターは初めて聞いた
「……どうやら私は間違っていたみたいだ」
お互いなぜかいつどこにいるかわかるようにと位置情報アプリを登録していたお陰で電話が来たところの住所を確認することができた
外は土砂降りの雨が降っていた
この当たりはあちこち崩壊した建物やら瓦礫で悲惨な状態だった
あたりを見渡すとすぐに彼を見つけた
「オー………ター?」
彼が佇んていた場所には血の塊がベットリとついていた
「え、なにかあったの?大丈夫なの?」
私はオーターの身の安全を確認した
見るからに傷一つない
ではこの血は一体誰のだというのか
まさか⁉
「あいつが……アレックスがしんだ」
「…………」
絶句した
お調子者のようでしっかり己の正義感をもっている彼が……とてもじゃないが死ぬようには見えなかった
今の私にはこの場を好転させる為の力も経験も圧倒的に足りなかった
なんて非力なんだろう
この状態に手をこまねいてるしかない自分に嫌気がさした
それでも自分の婚約者が雨の中うなだれてる姿が心配でオーターの顔をつい覗いてしまった
それがイケなかった
視線が交わった
その瞬間ブアッと全身に鳥肌がたったのだ
そこには深い深淵みたいな目をした別な誰かが佇んでいた
私はオーターを後ろから抱きしめた
わたしは見てはいけないものを見てしまった自分を戒めると
同時にいつものオーターが早く戻って来てと懇願する
「………ナマエ」
その声は先程より冷たく生気が感じれなかった
顔を上げ名前が呼ばれた方をみる
琥珀色の瞳の中に漆黒が渦巻いていた
捕食される
頬に触れた彼の手からは意外にもぬくもりを感じた
はじめての口付けはしょっぱかった
あんなに待ち望んでいたはずなのに
一体どこで綻びが生じたんだろうか
その夜私達はいとも簡単に一線を越えた
甘酸っぱさの欠片もないそれは
お互いに何かを補うような依存し合うような
なんとも儀式めいた行為に近かった
もう後戻りができなくなってしまったなぁ
ぼんやりと薄暗い部屋でそんなことを考えているとチクリと首あたりに痛みが走った
痛みがした方を見るとギラリと光る熱を帯びた猛獣が組み敷いた上から覗き込んでいた
あちこちに痛々しいくらいの紅い華が散っている
「 ずいぶん余裕そうだな 」
そう言うと同時に律動がまた再開する
何度も何度も抱かれ
やがて空が白み始めたくらいに意識がプツリと消えた
私のハジメテはもう二度と戻ってこないのだった…