届かないって誰が決めた?
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「じゃあ、僕は行くよ」
プルソンは踵を返し、校内へと姿を消した
「.....不思議」
いつも、頭の中で考えているだけだった
それを、声に出しただけなのに、
不思議と心が軽くなる
誰かに話す、聞いてもらう
それだけで
「ちょっと....見学させてもらおうかな.....」
やりたい事を自覚すると、体が自然と動き出す
普通の学生、普通の生活
まぁ、此処は魔界だから多少の違いはあるだろうけれど.....
コツコツと足音を立てて廊下を歩くが、学生はおろか、誰ともすれ違わない
「今日って休日?」
そのような考えが頭を過った時、ある一室から声が聞こえて来た
「もっと!もっとよ!!そこぉ!華を散らすタイミングがズレてる!!」
恐る恐る、声がする教室を覗くと、
複数の生徒達が声を張り上げ、手作りの模型を掲げ、ある者は衣装を身に纏い、ある者は歌を歌っていた
劇の出し物だろうか
「良いよオロバス君!!はい!そこでポーズ!!」
「こ、こうか?」
「主役がモジモジするなよ!見てるこっちが恥ずかしくなっちゃう!」
「す、すまない」
「オーケーオーケー!!そう!やればできるじゃん!!」
わぁっと歓声が上がり、とても活気付いている
.......楽しそう
羨む様にじいっとその光景を眺めていると
誰かから
肩に手を置かれた
「君、もしかして噂になっていた理事長の客?」
声をかけられ振り向くと、黒白目に長髪の悪魔が其処に居た
噂の......は、解らないが
「多分、そうです」
そう答えると、その悪魔は口に手を当てふっと微笑する
「多分って」
何が可笑しいのか、解らず首を傾げると
「理事長との面談は終わりましたか?」
仮にも来賓だからか、その悪魔は丁寧な言葉を私に投げかけた
「ええ、とても、有意義な時間でした。あの様な方を理事に持つ貴校は素晴らしいですね」
お世辞に作り笑いを浮かべると、
「宜しければ本校を案内致しましょうか?」
と、提案される
1人で自由に見て周りたい私は
「お手を煩わせる訳には参りません。差し支えなければ入ってはならない場所を教えて頂けますか?」
ニコリと笑顔を張り付ける
この手のやり取りは慣れている
主導権は握らせない
「それではご案内しながら説明致しましょう」
白黒目を細めてこちらを見定める様に、一歩も引かない悪魔に口端がひくつく
部外者が勝手に歩き回るなと、遠回しに怒られている様で冷や汗が流れた
「お気遣い無く」
苦し紛れにそう返すも「遠慮は無用です」と直様返ってくる
「...........これ以上言っても無駄な様ですね」
「解れば良いのです」
勝ち誇った様にニコリと笑ったその悪魔は、自分はバビルスの教師、イポス・イチョウと名乗った