ギブアンドテイク
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暗闇の中で1人立つ
ああ、またこの夢か
『なんて親不孝な子なの?!』
......うるさいなぁ
幾度となく同じ夢を見る
あんなに優しかったはずの母親が
『君は、優秀だね、どうだい?将来は我が国へ来ないか?』
子供に才があると解った瞬間変貌した
『君専用の宮殿を用意しよう』
『いや、私の側で一緒に国を治めようではないか君は良い補佐官になれる』
『素晴らしい能力。流石学長の娘だ』
『私は君のことをかっているのだよ』
うるさい、うるさい、うるさい
『感情を殺した従順な目、学長の教育はやはり一味違うな』
違う、私は
私は........
暗闇の中で蹲る
血が滲む程握った手に痛みは感じない
夢だから当然だ
いつになれば
私の心は自由になるのか
........
誰かが.....額にかかる髪をするりと撫でた感触で現実へ戻ってくる
体の痛みは既に引いていた
「魘されていたな」
「.........勝手に入らないで下さい」
顔だけレイヂへ向けてポツリと呟く
「私は誰の指図も受けない」
.......何処ぞの国王より厄介ね
「起きたなら着替えたまえ」
レイヂは背の高いクローゼットを一瞥すると部屋のドアに手をかけた
「準備が整ったら.....私について来い」
そう言い残し、部屋を出る
ゆっくりと起き上がりクローゼットを開くと、軍服の様な礼服、身軽なワンピース、ドレスまで一通りが並べられていた
......何を着れば良いのだろう
何となく、ベルベット生地で出来たロングワンピースを手に取る
するりと肌馴染みの良いそれは、魔女のローブを連想させた
身だしなみを整え、鏡の前に立つ
「........見た目、気にした方が良いかしら」
軽く髪を纏めて高い所で留める
杖は直ぐに使える様、腕輪に形を変えて身につけた
ガチャリと扉を開くと、入り口脇の壁に、レイヂが立って待っていた
レイヂは私を上から下まで確認すると「行くぞ」と踵を返して歩き出す
..........まぁ、
感想なんて求めていないけれど.....
此処が政界ならお世辞の1つもあるのだろうが、何も無いなら無いでなんだか変な心持ちになった
『相手の機嫌を伺う事』と、徹底的に躾けられたせいだと直ぐに自覚し、小さくため息を吐く
........見返りを求めるばかりの気遣いが何になるというのだ
......返して貰えるのかも解らないのに
その考えこそが独りよがりになっている事を自覚し、拳を額に軽くあてる
『誰の指図も受けない』と言い放ったレイヂを、少し羨ましく感じた