※ジャズ視点








「もっと酒持ってこんかーい！」


酔っ払いに絡まれ、宥めつつ遠くを見つめる



はぁーあ。何でこんな事に....と、考えながらフロアを見渡すと、いつ入店したのだろうか。見慣れない女子が視界に入った


何故だか釘付けになり、女子の目線の先を見ると、あからさまにヤバい大人悪魔が居る


....おいおい。待て待て。

自分から絡みに行くとかアイツ頭おかしいんじゃねぇの？


大人悪魔は女子の肩に手を回し、店の出口へ向かう
一瞬歪んだ女子の表情を見た瞬間、体が勝手に動いていた








「何してんすかお客様？」




.......いや、何してんの俺？



自分の言動に自問自答しながら、
ここまで来たら後には引けないと腹を括る

表面では冷静さを保った様に見せかけて、
内心は焦りと後悔が渦巻いていた








マジで怖ぇ









眉をひそめた女子は俺を睨みつけると




「何でもないわ。貴方は仕事に戻りなさい」



.....凛とした声に制され、すっと落ち着きを取り戻す

こいつ、嫌がってたんじゃねぇの？


恐怖を押しのけ、疑問と興味が胸をくすぐる


極め付けは奇妙な魔術


自分と変わらない位の年頃と思った女子は、無口頭魔術で大人の動きを封じる


何だこいつ








飄々とした女子が携帯を耳にした途端固まった





自分の行動が馬鹿げているって解っている






けれど、何かをせずにはいられなかった







だってさ、



此処で何もしない方が格好悪くね？






案の定、自らをキサと名乗った女子こと念子にこれでもかと説教された



厳しい言葉の裏に、何故か温かさを感じたのは気のせいだろうか



キサの言葉は自分の中にスッと入ってきた




『自分の頭で考えろ』






へいへい






如何にも






「残念〜〜〜〜〜〜」




面白がる軍曹のせいで頭に血が上る





やってやろうじゃんよ、


自分の頭で考えてさ



俺らが軍曹を見返した時



キサ、お前はどんな反応を見せるのか気になってしょうがない