※オペラ視点









理事長からキサさんへの言付けを頼まれて街に来た。この家に来るのも何度目でしょうか。

最近のキサさんは、以前と比べて積極的に魔界に順応しようと努力されていた。
元の世界へ帰る事を諦めたのでしょうか。
それはそれで、自分にとっては好都合。

ですが、そうなるに至った要因が気になりますね。

学校業務にも邁進されている様ですし、


.....まさか、学校で何かあったのでは？


学校でのキサさんの立ち振る舞いや交友関係はある程度理解している。教師達との関係性も。

心のどこかでキサさんに近しい悪魔は自分であり、他の悪魔と比べて優勢だという考えでいた。


「.......宜しくありませんね」


若干の焦りを感じ、キサさんの家を訪れると、


「.....これは」



家の前に散らばった荷物に気付き、急ぎ駆け寄る。

キサさんが身につけていた指輪を拾い上げ家の中へ駆け込んだが、そこにキサさんの姿は無かった


「キサさん！？、キサさんいらっしゃいますか？」


気配も無ければ返事も無い


一体どこへ.....


理事長に報告しなければ。


屋敷へ戻り、理事長へ事の次第を報告する。





「元の世界に帰った可能性は？」




理事長の言葉に目を見開いた




考えにも及ばなかったが、こんな唐突に消える物なのでしょうか



私に、一言も無く？




身体中の血が沸騰しそうになったが、理事長に制された。



「消えた理由は他にもあるかもしれない。念の為調査させよう」



くれぐれも内密に。