胃袋をつかめ!
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街に戻り
様々なお店に立ち寄っては、誰かが買い物をしている姿をひたすら観察した。
『先輩の仕事は目で見て盗め!』
なーんて古臭い先輩社員の指導も役にたつもんだなぁ。
お陰様でお金の使い方が何となくわかった。
自分の財布を開き、いくらあるのか確認する。
理事長が去り際に幾らかお財布に詰め込んでくれたのだ。
......半年は大丈夫だな。
でもこれは理事長のお金だから、きちんと返さないと。
ぎゅるるるる....
腹の虫が限界の音を鳴らしている
.....だけど、この世界の食べ物ってなんか....
「見た目がねぇ.....」
見た事がない色の食材、原型が解らないデロデロのやつ、中には目玉が飛び出している物もある。
味の想像が全くできない.....!!!!
それは辛いの?甘いの?酸っぱいの?
ううん。聞こう。聞けばいいのよ。勇気出せ私!!
「あのー。すみません。それ、どんな味ですか?」
屋台の前で、何かが刺さった串を頬張る男の子に話しかけてみた。
何となく背丈と見た目が同年代ぽいし、怖い雰囲気もない。話しかけても問題ないだろう。......と思っていた。
「ん?食べてみたら?はいっ」
前言撤回。問題ありだった。
その男の子は自分が食べていた何かの残りを無理矢理私の口の中に突っ込んで来たのだ。
「〜〜〜〜!!!??」
「気になるなら食べてみよう!お味はどうかな?」
......あれ?
この味、
「美味しい.....」
この見た目で絶品焼き鳥の味....!!!
私の反応が良かったのか、男の子は嬉しそうに頷いた。
「もっと食べる?」
「....食べる」
よしきた!と意気込んだ男の子は屋台のおじさんに追加の注文をする
「なんだなんだ、ロビン先生。もう直ぐ新学期だってのに女の子とお出かけかい?」
「んー。今日は寮の手続きに来たんですけど、それもいいですね〜」
あははははーって!!
は、恥ずかしいぃぃぃ!!!
ロビン先生もしかしなくとも
「悪魔学校の、先生だったんですか?」
「そうだよ!新学期からね!遠慮なくロビン先生って呼んでいいよ!」
えへんと胸を張るロビン先生。
先生というか、部活の先輩みたい。
思わずふふっと吹き出してしまった。
「そうとは知らずに失礼しました。私も悪魔学校にお世話になる予定のキサと申します。先生、では無いのですがね」
「そうなの!?じゃあ、学校でも会えるんだねキサちゃん!うわぁ!益々楽しみになってきた!」
ロビン先生はぎゅうっと私の手を握ると
「落ち着いたら寮に遊びに来て!僕の手料理食べさせてあげるから!約束だよ!」
じゃあ僕は新学期の準備があるからこれで!!
たくさんの串焼きと、一方的な約束だけを残して、ロビン先生は足早に去っていった。
私はロビン先生の背中を見送り、
屋台のおじさんと目を合わせ、
「...たんと食いな」
「いただきます」
お店の隅で黙々と串焼きをいただいたのだった