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カリブー
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…この家の主、鐘の人が出掛けていってしまった。
目隠しを外しちゃいけないので、目は見えないけど体は動かせるので覚えている範囲で建物の中を歩いていく。見えないから、両手をつきながら探り探り。
確かここにドアがあって、こっちにずれると小さめの台所があったはず。棚があって、そこからぐるりと一周してまたベッドに戻る。
見えないだけで結構大変だ。
手は動かせるし鐘の人はいないし、目隠しを取ってしまっても良いんだけど…それがバレたときが正直怖い。あれだけ頑なに見えないようにしてるのを破ろうとしたら、寝ていてもあれだけの力を込めれる相手に勝てる気は、しない。
特にすることもなく適当に体を伸ばしたりしながら時間を潰すものの、そもそも視力に8割頼りきって生きてきた人間に今の状況はいささか退屈が過ぎる。
考えることもなくなるとそういえば喉が渇いたなと思い立つ。台所まで行けばコップは手探りで探せるだろうし、そこに蛇口があることは初めに部屋を見渡したときに見ている。
善は急げと台所まで壁沿いに歩く。
台所の棚の取っ手を見付けたので開ける。中にコップのひとつでもあれば良いけれど、適当に手をさ迷わせていると手に痛みが走った。
「いった」
…見えないけど、これは確実に血が出てるだろうな。痛んだ場所に触るとぬるりとした感触。ほら、やっぱり。棚の中に包丁でも下げてあったみたいだ。この辺りは見ても無かったから本当に手探りするしかないので、必要負傷ということで…痛い。
包丁を避けて探れば底の深い容器、マグカップを発見したのでそれに水をとることにした。
水分を取るのがえらく久しぶりに思える。ほとんど動かなかったのもあって体を壊すこともなかったけど、迎え入れた水分は幸福感を得られるだけのものであった。もう2杯ほど頂戴してマグカップは軽くゆすいで干しておく、正しい場所かはわからないので知らない。
ベッドまで戻ったはいいが、手からまだ血が垂れているままではシーツが汚れてしまう。鐘の人が使っていた椅子がまだあったのでそっちに腰かける。意識を向ける先がないせいでじくじく痛む傷ばかりが気になってしまう。こういうのげんなりするからよくないのだけれど、どうしようもなく、空いている方の手で傷を押さえてやるくらいしかできない。
思っていたより深かったのかなかなか血が止まらない。手で押さえるにも限界があった。幸い鐘の人はまだ帰って来る気配はない、鐘の人に温情があるほうに賭けることにした。
目隠しを取って視界を得る。久しく取り込んでいなかった明るさに少しくらりとしたが慣れてきて見れば、血を流すなりもしなかったせいか思いの外凄惨なことになっている手に驚いた。
今度は見えるので乾きかけの血も合わせて全部流してやる。傷からはまだ血が止まらないようでまた赤々と手に広がろうとする。なんとか傷を塞いでしまおうと思うが、使えそうなのは精々はずした目隠しの布くらい。
見なければいい、見なければいいんだからと言い聞かせて目隠しを傷を塞ぐのに巻き付け結ぶ。鐘の人が戻ってきたとして顔をあげなければ、目を開けなければきっとわかってもらえるはず。わざわざ腕も自由にして出ていってくれてるのだからギリギリ期待させてもらいたい。…殺されるかもしれない。
目隠しを外しちゃいけないので、目は見えないけど体は動かせるので覚えている範囲で建物の中を歩いていく。見えないから、両手をつきながら探り探り。
確かここにドアがあって、こっちにずれると小さめの台所があったはず。棚があって、そこからぐるりと一周してまたベッドに戻る。
見えないだけで結構大変だ。
手は動かせるし鐘の人はいないし、目隠しを取ってしまっても良いんだけど…それがバレたときが正直怖い。あれだけ頑なに見えないようにしてるのを破ろうとしたら、寝ていてもあれだけの力を込めれる相手に勝てる気は、しない。
特にすることもなく適当に体を伸ばしたりしながら時間を潰すものの、そもそも視力に8割頼りきって生きてきた人間に今の状況はいささか退屈が過ぎる。
考えることもなくなるとそういえば喉が渇いたなと思い立つ。台所まで行けばコップは手探りで探せるだろうし、そこに蛇口があることは初めに部屋を見渡したときに見ている。
善は急げと台所まで壁沿いに歩く。
台所の棚の取っ手を見付けたので開ける。中にコップのひとつでもあれば良いけれど、適当に手をさ迷わせていると手に痛みが走った。
「いった」
…見えないけど、これは確実に血が出てるだろうな。痛んだ場所に触るとぬるりとした感触。ほら、やっぱり。棚の中に包丁でも下げてあったみたいだ。この辺りは見ても無かったから本当に手探りするしかないので、必要負傷ということで…痛い。
包丁を避けて探れば底の深い容器、マグカップを発見したのでそれに水をとることにした。
水分を取るのがえらく久しぶりに思える。ほとんど動かなかったのもあって体を壊すこともなかったけど、迎え入れた水分は幸福感を得られるだけのものであった。もう2杯ほど頂戴してマグカップは軽くゆすいで干しておく、正しい場所かはわからないので知らない。
ベッドまで戻ったはいいが、手からまだ血が垂れているままではシーツが汚れてしまう。鐘の人が使っていた椅子がまだあったのでそっちに腰かける。意識を向ける先がないせいでじくじく痛む傷ばかりが気になってしまう。こういうのげんなりするからよくないのだけれど、どうしようもなく、空いている方の手で傷を押さえてやるくらいしかできない。
思っていたより深かったのかなかなか血が止まらない。手で押さえるにも限界があった。幸い鐘の人はまだ帰って来る気配はない、鐘の人に温情があるほうに賭けることにした。
目隠しを取って視界を得る。久しく取り込んでいなかった明るさに少しくらりとしたが慣れてきて見れば、血を流すなりもしなかったせいか思いの外凄惨なことになっている手に驚いた。
今度は見えるので乾きかけの血も合わせて全部流してやる。傷からはまだ血が止まらないようでまた赤々と手に広がろうとする。なんとか傷を塞いでしまおうと思うが、使えそうなのは精々はずした目隠しの布くらい。
見なければいい、見なければいいんだからと言い聞かせて目隠しを傷を塞ぐのに巻き付け結ぶ。鐘の人が戻ってきたとして顔をあげなければ、目を開けなければきっとわかってもらえるはず。わざわざ腕も自由にして出ていってくれてるのだからギリギリ期待させてもらいたい。…殺されるかもしれない。