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カリブー
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レイス視点
少し家を空けて戻れば彼女はまたベッドに伏して寝息をたてていた。本当によく寝ている様はまるで幼子のそれで、ベッド横に椅子を持っていって腰かける。しばらく眺めていれば目を覚ましたのか上半身を起こして見回している。椅子から背を浮かすとギシ、と音をたてる。
それに気が付いたのか彼女はこちらに顔を向ける。椅子という目印があるのもあって今度はそこそこ視線があっている気がする。起きたなら早く抱き枕にしよう。彼女に触れるのには一旦透明化を解除しなくてはいけない、それでも抱き枕になる彼女にボクが見える必要は無く、それらをたてるために彼女に替えのシーツを投げつけた。
「あの、なんで、私を…」なんて聞こえてきたが答える道理はないのでそのまま透明化を解いて腕をまとめて組伏せる。
そうまですれば流石に大人しく黙りこんでしまったので、これ幸いと女王にもらった布紐で腕をまとめあげる。これで下手に索敵されたりはしないだろう。
目隠しもしてしまいたかったけど、シーツで見えてないだろうし、なにより彼女が起きるまでずっと座って待っていて疲れた。ボクだってもう寝てしまいたい。シーツにくるまれたままのそれを取り込む形で抱き締める。
柔らかい、温かい。
動かないでそのままで、今の君はボクの抱き枕なんだ。
ボクはそのまま目を閉じた。
とても、幸せな夢だった。誰かが嬉しそうにボクに駆け寄ってきて、生前の、まだまともだったボクの名前を呼んでくる。何度も、何度も、至極幸せそうに。飛び込まれた胸はあたたかい、人間の生はそもそもこういったものだったはずだ。
ジワリと脳がしびれ始めた頃、戻ってくる思考を巡らせる。そうだ、抱き枕。これほどまでに心地好い睡眠を得られるとは抱き枕様々ではなかろうか。
いつまでもシーツに捲られてしまっているのも見た目がよくない。視界を奪うための布を取りにベッドから離れる。
目当てを手に戻るとシーツの中でモゴモゴと動いている。シーツから抜け出したいんだろうな、もう少しまって、すぐ取れるようにするから。
手にした布ごとシーツに手を突っ込み抱き枕の目線を探す。こちらに向いていた目線を見つけると布で覆い頭を一周、端を結んでやればもうシーツはお役ごめんだ。
この布は取らないでね、そう喉を鳴らしながらちょうどまぶたの辺りを撫でてやると「これ取らないでってことですか?」と。言葉なんかなくても通じるもんだ、そのあと言葉をつまらせはしたけど合ってるよと鐘をひとつと頭に軽く触ってやる。見えなくても聞こえるならボクと認識するのはこれで十分だと思った。
またしばらく抱き心地を堪能していたけれど、そろそろ儀式の時間だ。女王を待たせるとこの身にまた何をされるかわかったもんじゃない。流石に不自由だろうと腕は解放してやる。多分この子は理解が早い、目隠しを外してしまうことはないだろう。
ドアを開けると後ろから声がかかる。
「どこか行くんですね」
そうだね。返事のかわりに鐘を鳴らして出ていった。
少し家を空けて戻れば彼女はまたベッドに伏して寝息をたてていた。本当によく寝ている様はまるで幼子のそれで、ベッド横に椅子を持っていって腰かける。しばらく眺めていれば目を覚ましたのか上半身を起こして見回している。椅子から背を浮かすとギシ、と音をたてる。
それに気が付いたのか彼女はこちらに顔を向ける。椅子という目印があるのもあって今度はそこそこ視線があっている気がする。起きたなら早く抱き枕にしよう。彼女に触れるのには一旦透明化を解除しなくてはいけない、それでも抱き枕になる彼女にボクが見える必要は無く、それらをたてるために彼女に替えのシーツを投げつけた。
「あの、なんで、私を…」なんて聞こえてきたが答える道理はないのでそのまま透明化を解いて腕をまとめて組伏せる。
そうまですれば流石に大人しく黙りこんでしまったので、これ幸いと女王にもらった布紐で腕をまとめあげる。これで下手に索敵されたりはしないだろう。
目隠しもしてしまいたかったけど、シーツで見えてないだろうし、なにより彼女が起きるまでずっと座って待っていて疲れた。ボクだってもう寝てしまいたい。シーツにくるまれたままのそれを取り込む形で抱き締める。
柔らかい、温かい。
動かないでそのままで、今の君はボクの抱き枕なんだ。
ボクはそのまま目を閉じた。
とても、幸せな夢だった。誰かが嬉しそうにボクに駆け寄ってきて、生前の、まだまともだったボクの名前を呼んでくる。何度も、何度も、至極幸せそうに。飛び込まれた胸はあたたかい、人間の生はそもそもこういったものだったはずだ。
ジワリと脳がしびれ始めた頃、戻ってくる思考を巡らせる。そうだ、抱き枕。これほどまでに心地好い睡眠を得られるとは抱き枕様々ではなかろうか。
いつまでもシーツに捲られてしまっているのも見た目がよくない。視界を奪うための布を取りにベッドから離れる。
目当てを手に戻るとシーツの中でモゴモゴと動いている。シーツから抜け出したいんだろうな、もう少しまって、すぐ取れるようにするから。
手にした布ごとシーツに手を突っ込み抱き枕の目線を探す。こちらに向いていた目線を見つけると布で覆い頭を一周、端を結んでやればもうシーツはお役ごめんだ。
この布は取らないでね、そう喉を鳴らしながらちょうどまぶたの辺りを撫でてやると「これ取らないでってことですか?」と。言葉なんかなくても通じるもんだ、そのあと言葉をつまらせはしたけど合ってるよと鐘をひとつと頭に軽く触ってやる。見えなくても聞こえるならボクと認識するのはこれで十分だと思った。
またしばらく抱き心地を堪能していたけれど、そろそろ儀式の時間だ。女王を待たせるとこの身にまた何をされるかわかったもんじゃない。流石に不自由だろうと腕は解放してやる。多分この子は理解が早い、目隠しを外してしまうことはないだろう。
ドアを開けると後ろから声がかかる。
「どこか行くんですね」
そうだね。返事のかわりに鐘を鳴らして出ていった。