蝶ノ光
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立海と同日、青学でも始業式が行われた。
校長の長い話も終わって閉式し、生徒たちは体育館から自分たちの教室へと向かっている。
3年6組に進級した不二たちも例外ではなく、少しひんやりとした風が吹く中、ゆったりと歩いていた。
「ここ数週間時雨と連絡が取れなかったけど、まさか転校してたとはね」
男子テニス部のマネージャーである千夏は、携帯を片手に、ため息まじりに言った。
「でも物が紛失したり、部室が荒らされることはなくなったにゃ! 時雨、裏では俺たちの悪口とか言ってたらしいし」
ここ数ヶ月、テニス部では部室で私物が紛失する、という出来事が多発していた。
マネージャーは部室を掃除することもあることから、時雨が犯人ではないか、という噂が立っていた。
「英二は時雨の仕業だと思ってるの?」
「うーん……。物がなくなったのは事実だし、大石は"この目で時雨が盗んでいるところを見た!"って言うしさ。不二だってサボテンなくなっただろう?」
「それはそうだけど……」
サボテンがなくなったのは事実だが、どうしても不二には彼女がやったとは思えなかった。
「とにかく時雨がいなくなって清々したわ。部活の雰囲気がピリピリしてるのは困るし……」
「……」
そういえば、いつから千夏はこんなに時雨と仲が悪くなったのだろう。
入部してマネージャーを始めた頃は仲が良かったのにな、と不二は思った。
ふと、顔を上げると、青空にポツンと浮かんでいる雲が見える。そのままじっと見ていると、少しずつ風に流されていってしまった。
その雲の様子が、消えてしまった彼女を連想させた。
――時雨、君はどこへ行ってしまったんだい?
その答えを知るものは、ここにはいない。
校長の長い話も終わって閉式し、生徒たちは体育館から自分たちの教室へと向かっている。
3年6組に進級した不二たちも例外ではなく、少しひんやりとした風が吹く中、ゆったりと歩いていた。
「ここ数週間時雨と連絡が取れなかったけど、まさか転校してたとはね」
男子テニス部のマネージャーである千夏は、携帯を片手に、ため息まじりに言った。
「でも物が紛失したり、部室が荒らされることはなくなったにゃ! 時雨、裏では俺たちの悪口とか言ってたらしいし」
ここ数ヶ月、テニス部では部室で私物が紛失する、という出来事が多発していた。
マネージャーは部室を掃除することもあることから、時雨が犯人ではないか、という噂が立っていた。
「英二は時雨の仕業だと思ってるの?」
「うーん……。物がなくなったのは事実だし、大石は"この目で時雨が盗んでいるところを見た!"って言うしさ。不二だってサボテンなくなっただろう?」
「それはそうだけど……」
サボテンがなくなったのは事実だが、どうしても不二には彼女がやったとは思えなかった。
「とにかく時雨がいなくなって清々したわ。部活の雰囲気がピリピリしてるのは困るし……」
「……」
そういえば、いつから千夏はこんなに時雨と仲が悪くなったのだろう。
入部してマネージャーを始めた頃は仲が良かったのにな、と不二は思った。
ふと、顔を上げると、青空にポツンと浮かんでいる雲が見える。そのままじっと見ていると、少しずつ風に流されていってしまった。
その雲の様子が、消えてしまった彼女を連想させた。
――時雨、君はどこへ行ってしまったんだい?
その答えを知るものは、ここにはいない。