蝶ノ光
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澄み渡る青空。そよそよと風が頬を撫でる。雲一つなく、絶好のテニス日和だ。
「それではペアを作ってもらって、ダブルスの練習試合をしてもらいます」
今日は本来であれば、部活はオフの日。しかしレギュラー陣は、ダブルス大会に向けて午前は学校のコートに集まり、練習することになった。
私もマネージャーであるが大会参加者なので、こうして練習に参加しているわけである。
「時雨先輩はダブルスやらないんスか?」
切原はきょとんと首を傾げながら言った。
「試合やりたいのは山々だけど……」
レギュラーは全員で八人。私を入れると奇数になってしまう。
コートは三面あるので、二試合同時にできるがどうしたものか。
「それなら一試合3ゲームにして、誰が試合するかはくじで決めるのはどうだ?」
「それは良いですね」
「俺もそれで構わないぜ」
どうやら柳の提案にみんな賛成のようだ。セルフジャッジでタイブレークをなしにすれば、二試合できるだろう。
早速紙を切ってくじを作る。A番コート、B番コート、見学の三種類だ。紙で簡易的な箱を折り、作ったくじを入れて、一人一つ引いてもらう。
くじの結果、一試合目のA番コートは白石・柳対仁王・柳生、B番コートは丸井・切原対真田・ジャッカル、見学は幸村となった。
「蓮二とダブルス久しぶりだわ」
「そうだな。スクール以来か」
相手は手強いが、ダブルスパートナーが柳なのは心強い。
私は彼とA番コートへ向かった。
「さて、柳生と仁王が相手な訳だが、作戦はどうする? ちなみに向こうは入れ替わる確率100%だ」
「柳生くんが仁王くんに変装してたところは見たことあるけど、試合でも入れ替わるのね。それならこちらも二人が驚くようなことしたいけど……何か良い案ないかしら?」
紳士である柳生が、試合で相手を欺くなんて意外だ。もしかしたら、仁王に弱味を握られているかもしれない。
「時雨が良ければ、少なくとも仁王が動揺する手ならあるぞ」
「私が良ければ……?」
「それは――――」
私は柳の言葉に、静かに耳を傾けた。
白石・柳ペアが作戦会議している頃、俺と柳生も作戦会議をしていた。
「今回の試合はどういう作戦で行きますか?」
「1ゲーム目は入れ替わったままで様子見。柳がいるし入れ替わりは想定内かもしれんが、最初からとは思わんじゃろう」
俺の姿をした柳生がため息をつく。
今日の練習はダブルスの試合を行うことが予想できたため、練習が始まる前から俺と柳生は入れ替わっていた。
ペアが自由に組めるかは分からなかったが、柳生と組めなかったとしても、その時はその時。入れ替わりが悟られなければ、自信に繋がる。
結果的に柳生と組めることになり、ダブルスの練習も兼ねることになったわけだ。
「試合前半で俺の打つレーザーの速さに慣れてきたところで、真のレーザーを打つんじゃな」
「ええ、彼女たちがどう対処してくるか楽しみです」
ネットの反対側にいる白石たちには声が届かないと思い、一時的に口調を戻す。すると彼らに背を向けているため、口の動きを読み取られないと思ったのか、柳生も普段の口調になった。
「それにしても、仁王くん嬉しそうですね。白石さんと試合できるからでしょうか」
「ペアを組んだことはあるが、ネットを挟んで試合したことはなかったからのう。白石さんがペテンに気づくのか、楽しみってもんよ」
ペテンが早々に見破られた場合、それだけ白石との距離が近くなったということだ。彼女は俺たちに遠慮する傾向があるせいか、ふとした時に壁を感じることがあった。
早くにペテンを見破られるのは問題だが、彼女はいつ気づくのか楽しみだ。
入れ替わりが見破られたら、とっておきを披露しようかのう。
俺と柳生は作戦会議もそこそこにし、コートの中央へ向かった。
仁王・柳生ペアとのダブルスの試合が始まった。
柳によると、仁王と柳生は入れ替わりを行う。しかし、作戦会議中に彼らが変装する様子はなかった。
もちろん柳のデータは信用している。
とすると、既に二人が入れ替わっている可能性を考慮すべきなのか。
試合が始まる前は、入れ替わったような様子は見受けられなかった。
油断は禁物だ。じっくり観察して見極めよう。
「ゲーム仁王・柳生1-0」
1ゲーム目は、あと一歩のところで先取されてしまった。
柳生がレーザービームを打ってきたが、いつもより若干スピードが遅いのが気になった。
わざとスピードを落として打ったのか。それとも柳生の姿をした仁王が打ったのか。
「時雨、次のゲームは攻めていこう。作戦通りで良いな?」
「もちろん。反撃開始よ」
私は柳に微笑んだ後、一つ吐息を吐いて心の窓を閉ざした。
2ゲーム目。サーブは移り、私の番。
1ゲーム目とプレイスタイルを変え、淡々と相手チームの弱点を狙う。
柳にデータを提供してもらったこともあり、返球しづらそうだ。心なしか二人とも表情が硬い。
普段の練習でも、教えてもらったデータを活用しよう。
「レーザービーム!」
ラリーを続けると、柳生から必殺技が放たれた。
「桜吹雪の舞」
返したボールが、相手コートに突き刺さる。
凍てついた眼差しを柳生に送ると、彼の瞳が揺れた。
彼にはいつも仲良くしてもらっているだけに、心が痛い。
同時に見た目は柳生だが、中身は仁王であることを確信する。もう様子見をする必要はない。
心を鬼にして、どんどん攻めていこう。
サーブを打ち、再びラリーが始まった。
「バレてしまっては仕方がありません。これにて遊びは終わりです」
仁王の姿をした柳生がラケットを右手に持ち替え、レーザーを放つ。仁王のレーザーも速かったが、本家のレーザーはさらに速かった。
ボールは前衛の柳の横を突き抜ける。だが――――。
「時雨、右に四歩だ」
「分かったわ」
まるで後ろが見えているかのように、柳はすぐさま指示を出す。
私は右サイドへ移動し、打球を捉えた。
「――夜凪」
ボールの威力、回転を弱めて返す。
ネットを越え、仁王の横へ静かに落ちた。
「ゲーム白石・柳1-1」
これで同点だ。この調子で柳と連携すれば、勝利できるはず。
仁王・柳生のコンビネーションに負けるわけにはいかない。
ネットの向こうへ目を向けると、柳生は髪型を戻していた。私たちが入れ替わりを見破ったからだろう。カツラを取り、手櫛で髪を整えている。
仁王の様子も窺おうとし、自分の目を疑った。彼も変装を解いていると思いきや、ここにはいない人物が立っていた。
「なぜ、あなたがここに……」
「僕に勝つのは、まだ早いよ」
かつてのダブルスパートナーである、不二周助がそこにいた。
立海のテニスコートにレギュラーが集まって練習していたのだから、不二がいるはずがない。しかし脳がそれを拒む。
声、仕草、表情。不二とそっくりだ。
目の前にいるのは、彼にしか思えなかった。
ドクン、ドクンと動悸が激しくなる。
それから私は、自分がどうしたか覚えていない。
「ゲームセット、ウォンバイ白石・柳3-2」
気づいたら試合が終っていた。どうやら私と柳が勝利したらしい。
「はあ……、はあ」
肩で息をするほど、がむしゃらに動いていたようだ。心臓が激しく鼓動している。
「時雨、大丈夫か?」
柳が心配そうに私を見る。
目の前に不二が現れて動揺していたのは、お見通しなのだ。
不二の名前を出さないでくれた心遣いが嬉しく、少し気持ちが落ち着いてきた。これなら二試合目があっても参加できるだろう。
「ええ、大丈夫よ。ありがとう」
微笑みながら答えると、無理をしているのは気づかれているわけで。
「それなら良いが……。無理はするなよ」
柳に苦笑しながら、頭を撫でられたのだった。
二試合目の組み合わせは、A番コートは真田・赤也対柳生・柳、B番コートは白石・幸村対丸井・ジャッカル、見学は仁王。
またもや対戦相手が、立海のダブルス名コンビとなった。
この試合も勝ってみせると意気込んでいたら、幸村が近づいてきて私の顔を覗いた。
「俺のサポートに回ってもらえないかな。さっき見学だったし、少々暴れたい気分なんだ。それに――」
「それに?」
「肩に力が入っているから、リラックスした方が良いよ。さっきの試合、途中から無茶をしてただろう?」
肩に手を乗せられる。
一試合目をバッチリ見られていたようだ。
あまり記憶に残ってはいないけれど、明らかに普段と動きが違ったものね。
私は素直に頷き、幸村のサポートに徹した。
その結果。
一試合目とは真逆で、あっさり決着がついた。試合結果は3-0で私たちの勝利。
幸村が丸井、ジャッカルの視覚や触覚、聴覚を奪い、鮮やかにスマッシュを決めた。
柳から五感を奪うテニスのことを聞いていたが、圧倒的な強さだった。
私もレギュラー陣に少しでも追いつけるように練習しなくては。たくさん練習すれば、自信もつくだろう。
A番コートを確認すると、あちらも決着がついていた。
向こうは柳生・柳ペアが試合を制したようだ。
コート近くに設置されている電波時計を見ると、もうすぐお昼。片付けの時間だ。
テニス用品を部室に運ぶ間、仁王から視線を感じたが、気づかないふりをしてしまった。彼が不二の姿になったのを目の当たりにして、接し方が分からなくなってしまったからだ。
午後はバッジ集めではなく、テニススクールで練習しようかな、とぼんやり考えるのであった。
「それではペアを作ってもらって、ダブルスの練習試合をしてもらいます」
今日は本来であれば、部活はオフの日。しかしレギュラー陣は、ダブルス大会に向けて午前は学校のコートに集まり、練習することになった。
私もマネージャーであるが大会参加者なので、こうして練習に参加しているわけである。
「時雨先輩はダブルスやらないんスか?」
切原はきょとんと首を傾げながら言った。
「試合やりたいのは山々だけど……」
レギュラーは全員で八人。私を入れると奇数になってしまう。
コートは三面あるので、二試合同時にできるがどうしたものか。
「それなら一試合3ゲームにして、誰が試合するかはくじで決めるのはどうだ?」
「それは良いですね」
「俺もそれで構わないぜ」
どうやら柳の提案にみんな賛成のようだ。セルフジャッジでタイブレークをなしにすれば、二試合できるだろう。
早速紙を切ってくじを作る。A番コート、B番コート、見学の三種類だ。紙で簡易的な箱を折り、作ったくじを入れて、一人一つ引いてもらう。
くじの結果、一試合目のA番コートは白石・柳対仁王・柳生、B番コートは丸井・切原対真田・ジャッカル、見学は幸村となった。
「蓮二とダブルス久しぶりだわ」
「そうだな。スクール以来か」
相手は手強いが、ダブルスパートナーが柳なのは心強い。
私は彼とA番コートへ向かった。
「さて、柳生と仁王が相手な訳だが、作戦はどうする? ちなみに向こうは入れ替わる確率100%だ」
「柳生くんが仁王くんに変装してたところは見たことあるけど、試合でも入れ替わるのね。それならこちらも二人が驚くようなことしたいけど……何か良い案ないかしら?」
紳士である柳生が、試合で相手を欺くなんて意外だ。もしかしたら、仁王に弱味を握られているかもしれない。
「時雨が良ければ、少なくとも仁王が動揺する手ならあるぞ」
「私が良ければ……?」
「それは――――」
私は柳の言葉に、静かに耳を傾けた。
白石・柳ペアが作戦会議している頃、俺と柳生も作戦会議をしていた。
「今回の試合はどういう作戦で行きますか?」
「1ゲーム目は入れ替わったままで様子見。柳がいるし入れ替わりは想定内かもしれんが、最初からとは思わんじゃろう」
俺の姿をした柳生がため息をつく。
今日の練習はダブルスの試合を行うことが予想できたため、練習が始まる前から俺と柳生は入れ替わっていた。
ペアが自由に組めるかは分からなかったが、柳生と組めなかったとしても、その時はその時。入れ替わりが悟られなければ、自信に繋がる。
結果的に柳生と組めることになり、ダブルスの練習も兼ねることになったわけだ。
「試合前半で俺の打つレーザーの速さに慣れてきたところで、真のレーザーを打つんじゃな」
「ええ、彼女たちがどう対処してくるか楽しみです」
ネットの反対側にいる白石たちには声が届かないと思い、一時的に口調を戻す。すると彼らに背を向けているため、口の動きを読み取られないと思ったのか、柳生も普段の口調になった。
「それにしても、仁王くん嬉しそうですね。白石さんと試合できるからでしょうか」
「ペアを組んだことはあるが、ネットを挟んで試合したことはなかったからのう。白石さんがペテンに気づくのか、楽しみってもんよ」
ペテンが早々に見破られた場合、それだけ白石との距離が近くなったということだ。彼女は俺たちに遠慮する傾向があるせいか、ふとした時に壁を感じることがあった。
早くにペテンを見破られるのは問題だが、彼女はいつ気づくのか楽しみだ。
入れ替わりが見破られたら、とっておきを披露しようかのう。
俺と柳生は作戦会議もそこそこにし、コートの中央へ向かった。
仁王・柳生ペアとのダブルスの試合が始まった。
柳によると、仁王と柳生は入れ替わりを行う。しかし、作戦会議中に彼らが変装する様子はなかった。
もちろん柳のデータは信用している。
とすると、既に二人が入れ替わっている可能性を考慮すべきなのか。
試合が始まる前は、入れ替わったような様子は見受けられなかった。
油断は禁物だ。じっくり観察して見極めよう。
「ゲーム仁王・柳生1-0」
1ゲーム目は、あと一歩のところで先取されてしまった。
柳生がレーザービームを打ってきたが、いつもより若干スピードが遅いのが気になった。
わざとスピードを落として打ったのか。それとも柳生の姿をした仁王が打ったのか。
「時雨、次のゲームは攻めていこう。作戦通りで良いな?」
「もちろん。反撃開始よ」
私は柳に微笑んだ後、一つ吐息を吐いて心の窓を閉ざした。
2ゲーム目。サーブは移り、私の番。
1ゲーム目とプレイスタイルを変え、淡々と相手チームの弱点を狙う。
柳にデータを提供してもらったこともあり、返球しづらそうだ。心なしか二人とも表情が硬い。
普段の練習でも、教えてもらったデータを活用しよう。
「レーザービーム!」
ラリーを続けると、柳生から必殺技が放たれた。
「桜吹雪の舞」
返したボールが、相手コートに突き刺さる。
凍てついた眼差しを柳生に送ると、彼の瞳が揺れた。
彼にはいつも仲良くしてもらっているだけに、心が痛い。
同時に見た目は柳生だが、中身は仁王であることを確信する。もう様子見をする必要はない。
心を鬼にして、どんどん攻めていこう。
サーブを打ち、再びラリーが始まった。
「バレてしまっては仕方がありません。これにて遊びは終わりです」
仁王の姿をした柳生がラケットを右手に持ち替え、レーザーを放つ。仁王のレーザーも速かったが、本家のレーザーはさらに速かった。
ボールは前衛の柳の横を突き抜ける。だが――――。
「時雨、右に四歩だ」
「分かったわ」
まるで後ろが見えているかのように、柳はすぐさま指示を出す。
私は右サイドへ移動し、打球を捉えた。
「――夜凪」
ボールの威力、回転を弱めて返す。
ネットを越え、仁王の横へ静かに落ちた。
「ゲーム白石・柳1-1」
これで同点だ。この調子で柳と連携すれば、勝利できるはず。
仁王・柳生のコンビネーションに負けるわけにはいかない。
ネットの向こうへ目を向けると、柳生は髪型を戻していた。私たちが入れ替わりを見破ったからだろう。カツラを取り、手櫛で髪を整えている。
仁王の様子も窺おうとし、自分の目を疑った。彼も変装を解いていると思いきや、ここにはいない人物が立っていた。
「なぜ、あなたがここに……」
「僕に勝つのは、まだ早いよ」
かつてのダブルスパートナーである、不二周助がそこにいた。
立海のテニスコートにレギュラーが集まって練習していたのだから、不二がいるはずがない。しかし脳がそれを拒む。
声、仕草、表情。不二とそっくりだ。
目の前にいるのは、彼にしか思えなかった。
ドクン、ドクンと動悸が激しくなる。
それから私は、自分がどうしたか覚えていない。
「ゲームセット、ウォンバイ白石・柳3-2」
気づいたら試合が終っていた。どうやら私と柳が勝利したらしい。
「はあ……、はあ」
肩で息をするほど、がむしゃらに動いていたようだ。心臓が激しく鼓動している。
「時雨、大丈夫か?」
柳が心配そうに私を見る。
目の前に不二が現れて動揺していたのは、お見通しなのだ。
不二の名前を出さないでくれた心遣いが嬉しく、少し気持ちが落ち着いてきた。これなら二試合目があっても参加できるだろう。
「ええ、大丈夫よ。ありがとう」
微笑みながら答えると、無理をしているのは気づかれているわけで。
「それなら良いが……。無理はするなよ」
柳に苦笑しながら、頭を撫でられたのだった。
二試合目の組み合わせは、A番コートは真田・赤也対柳生・柳、B番コートは白石・幸村対丸井・ジャッカル、見学は仁王。
またもや対戦相手が、立海のダブルス名コンビとなった。
この試合も勝ってみせると意気込んでいたら、幸村が近づいてきて私の顔を覗いた。
「俺のサポートに回ってもらえないかな。さっき見学だったし、少々暴れたい気分なんだ。それに――」
「それに?」
「肩に力が入っているから、リラックスした方が良いよ。さっきの試合、途中から無茶をしてただろう?」
肩に手を乗せられる。
一試合目をバッチリ見られていたようだ。
あまり記憶に残ってはいないけれど、明らかに普段と動きが違ったものね。
私は素直に頷き、幸村のサポートに徹した。
その結果。
一試合目とは真逆で、あっさり決着がついた。試合結果は3-0で私たちの勝利。
幸村が丸井、ジャッカルの視覚や触覚、聴覚を奪い、鮮やかにスマッシュを決めた。
柳から五感を奪うテニスのことを聞いていたが、圧倒的な強さだった。
私もレギュラー陣に少しでも追いつけるように練習しなくては。たくさん練習すれば、自信もつくだろう。
A番コートを確認すると、あちらも決着がついていた。
向こうは柳生・柳ペアが試合を制したようだ。
コート近くに設置されている電波時計を見ると、もうすぐお昼。片付けの時間だ。
テニス用品を部室に運ぶ間、仁王から視線を感じたが、気づかないふりをしてしまった。彼が不二の姿になったのを目の当たりにして、接し方が分からなくなってしまったからだ。
午後はバッジ集めではなく、テニススクールで練習しようかな、とぼんやり考えるのであった。