蝶ノ光
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私も仁王もお弁当を持っていたので、一緒にお昼を食べることになった。
二人でベンチに並んで座る。
仁王曰く、人が少なそうな場所でご飯を食べようと移動していたところ、途中で私を見かけたので慌てて追いかけてきたらしい。
ランチクロスを広げ、お弁当の蓋を開けた。
「美味しそうじゃのう……もしかして白石さんの手作りか?」
「ええ、そうよ」
「その唐揚げ、良ければ俺のおかずと交換してほしいナリ」
「もちろん、いいわよ。どうぞ召し上がれ」
箸を取り出し、唐揚げを摘まんで仁王のお弁当へ入れた。
「ありがとさん。白石さんも好きなの選んでいいぜよ」
仁王のお弁当が目の前に差し出される。
「んー……それじゃあ、卵焼き貰おうかしら」
「了解ナリ」
どれも美味しそうで悩んだが、私は好物を選ぶことにした。
今度は仁王が私のお弁当箱に卵焼きを移す。
「それじゃあ、早速。いただきます」
「いただきます」
私は箸で卵焼きを二等分にし、片方を口に運んだ。
口の中で甘味が広がっていく。ふんわりとした食感でとても美味しい。
あっという間に貰った卵焼きを食べ終えてしまった。
仁王のお弁当を見ると、彼も唐揚げを食べ終えたところだった。
「ん、クッキーも美味しかったけど唐揚げも美味しかったぜよ。優しい味がしたナリ」
仁王が微笑みながら感想を述べる。
どうやら口に合ったようでホッとした。それに、自分の作ったものが褒められると嬉しいものだ。
「ふふ、ありがとう。卵焼き、ふんわりしてたし甘味があって美味しかったわ」
「そうか、姉貴に伝えておくぜよ」
「そのお弁当、仁王くんのお姉さんが作ったのね」
「ああ、練習試合があると伝えたらはりきって作ってくれてのう」
「良いお姉さんだね。きっと仁王くんみたいに顔が整ってて美人なんだろうなぁ……」
「ん?」
しまった。
つい気が緩んで、日頃から思っていたことがポロリと零れた。
しかし、仁王の顔が整っていると感じているのは私だけではないはず。ファンクラブがあるくらいだし。
慌てて話題を変えようと頭をフル回転させる。練習試合の日だしテニスの話――そうだ、試合のオーダーについて聞こう。
「な、なんでもない。ところで仁王くんの試合はいつなの?」
「……。D1ぜよ。相方は……そうじゃ、当ててみんしゃい」
強引に話を変えたが、突っ込まれなかったことに一先ず安心する。
落ち着いてダブルスの仁王の相方を考えよう。
仁王がよく組むダブルスパートナーは柳生のはずだ。しかし柳生はS2に出ると言っていた。つまりD1には出場しない。
私がまだどの試合に出るか把握していない選手は、幸村、真田、柳の三人。
この中で一番仁王とダブルスに向いていそうな選手は――――
「私の予想は蓮二かな」
「理由を聞いてもいいか?」
私は頷き、口を開く。
「現時点で試合を行っていないのは、幸村くん、真田くん、蓮二、柳生くんの四人。柳生くんはS2と本人から聞いたから除外。だからダブルス候補となるのは三強で……
まずは、幸村くん。D2を見た印象からすると、対戦する学校と実力差がありすぎて幸村くんが出るまでもないと思う。おそらく試合に出ないと予想。
次に、真田くん。ダブルスを組ませても強いと思うけど、仁王くんととなると、しっくりこなかったのよね。真っ向勝負で挑みそうな彼が、相手を欺くのを想像できなかったのもあるけど。真田くんはS1に出るんじゃないかしら。
最後に蓮二。ダブルスプレイヤーであるし、仁王くんのプレースタイルに上手く合わせられそう。幸村くんと真田くんが候補から外れるので、蓮二になるわけだけど……相方をコントロールするのが得意なのも、理由の一つかな」
「なるほど。正解ぜよ、お見事ナリ」
予想が的中して嬉しくなる。
柳と仁王のダブルス。
もしかしたら、柳が仁王の姿に変装するかもしれない。
仁王の独特な口調で話す柳を想像してみる。
…………見てみたい。
「……ところでお前さん、俺と柳が入れ替わりすると思ってないか?」
ぎくり。
どうやら私の思考は仁王に読まれやすいらしい。
「そんなことないわ……」
思わず仁王から目を背けてしまった。
これでは嘘をついていると言っているようなものである。
「昼休憩は限られてるし、さっさと食べましょう?」
誤魔化すように、お昼ご飯を再開させようと促す。
「ほーう……? そっちがその気なら」
なぜか仁王との隙間が徐々に縮まり、彼の顔が近づいてくる。
そして、彼は私の耳元でそっと囁いた。
「さっき俺の顔が」
「わ――――!!」
私は仁王の口に右手をあてようとするが、手首を捕まれて阻止された。
さっきは流してくれたのに、蒸し返してくるなんて反則だ。
そして距離が近くて恥ずかしい。
「顔が真っ赤ぜよ」
「誰のせいだと思っているの」
「さて、誰だか」
「もう! 仁王くんなんて知りません!」
右手を捻ると、簡単に手の拘束は外れた。
拗ねるように仁王から視線を外し、お弁当のおかずを摘まむ。
私がこの件に関しては話す気がないことを察したのか、仁王もお弁当を食べ始めた。
しばらく彼の肩が揺れていたので、軽く肘で何度かつついた私は悪くない。
二人でベンチに並んで座る。
仁王曰く、人が少なそうな場所でご飯を食べようと移動していたところ、途中で私を見かけたので慌てて追いかけてきたらしい。
ランチクロスを広げ、お弁当の蓋を開けた。
「美味しそうじゃのう……もしかして白石さんの手作りか?」
「ええ、そうよ」
「その唐揚げ、良ければ俺のおかずと交換してほしいナリ」
「もちろん、いいわよ。どうぞ召し上がれ」
箸を取り出し、唐揚げを摘まんで仁王のお弁当へ入れた。
「ありがとさん。白石さんも好きなの選んでいいぜよ」
仁王のお弁当が目の前に差し出される。
「んー……それじゃあ、卵焼き貰おうかしら」
「了解ナリ」
どれも美味しそうで悩んだが、私は好物を選ぶことにした。
今度は仁王が私のお弁当箱に卵焼きを移す。
「それじゃあ、早速。いただきます」
「いただきます」
私は箸で卵焼きを二等分にし、片方を口に運んだ。
口の中で甘味が広がっていく。ふんわりとした食感でとても美味しい。
あっという間に貰った卵焼きを食べ終えてしまった。
仁王のお弁当を見ると、彼も唐揚げを食べ終えたところだった。
「ん、クッキーも美味しかったけど唐揚げも美味しかったぜよ。優しい味がしたナリ」
仁王が微笑みながら感想を述べる。
どうやら口に合ったようでホッとした。それに、自分の作ったものが褒められると嬉しいものだ。
「ふふ、ありがとう。卵焼き、ふんわりしてたし甘味があって美味しかったわ」
「そうか、姉貴に伝えておくぜよ」
「そのお弁当、仁王くんのお姉さんが作ったのね」
「ああ、練習試合があると伝えたらはりきって作ってくれてのう」
「良いお姉さんだね。きっと仁王くんみたいに顔が整ってて美人なんだろうなぁ……」
「ん?」
しまった。
つい気が緩んで、日頃から思っていたことがポロリと零れた。
しかし、仁王の顔が整っていると感じているのは私だけではないはず。ファンクラブがあるくらいだし。
慌てて話題を変えようと頭をフル回転させる。練習試合の日だしテニスの話――そうだ、試合のオーダーについて聞こう。
「な、なんでもない。ところで仁王くんの試合はいつなの?」
「……。D1ぜよ。相方は……そうじゃ、当ててみんしゃい」
強引に話を変えたが、突っ込まれなかったことに一先ず安心する。
落ち着いてダブルスの仁王の相方を考えよう。
仁王がよく組むダブルスパートナーは柳生のはずだ。しかし柳生はS2に出ると言っていた。つまりD1には出場しない。
私がまだどの試合に出るか把握していない選手は、幸村、真田、柳の三人。
この中で一番仁王とダブルスに向いていそうな選手は――――
「私の予想は蓮二かな」
「理由を聞いてもいいか?」
私は頷き、口を開く。
「現時点で試合を行っていないのは、幸村くん、真田くん、蓮二、柳生くんの四人。柳生くんはS2と本人から聞いたから除外。だからダブルス候補となるのは三強で……
まずは、幸村くん。D2を見た印象からすると、対戦する学校と実力差がありすぎて幸村くんが出るまでもないと思う。おそらく試合に出ないと予想。
次に、真田くん。ダブルスを組ませても強いと思うけど、仁王くんととなると、しっくりこなかったのよね。真っ向勝負で挑みそうな彼が、相手を欺くのを想像できなかったのもあるけど。真田くんはS1に出るんじゃないかしら。
最後に蓮二。ダブルスプレイヤーであるし、仁王くんのプレースタイルに上手く合わせられそう。幸村くんと真田くんが候補から外れるので、蓮二になるわけだけど……相方をコントロールするのが得意なのも、理由の一つかな」
「なるほど。正解ぜよ、お見事ナリ」
予想が的中して嬉しくなる。
柳と仁王のダブルス。
もしかしたら、柳が仁王の姿に変装するかもしれない。
仁王の独特な口調で話す柳を想像してみる。
…………見てみたい。
「……ところでお前さん、俺と柳が入れ替わりすると思ってないか?」
ぎくり。
どうやら私の思考は仁王に読まれやすいらしい。
「そんなことないわ……」
思わず仁王から目を背けてしまった。
これでは嘘をついていると言っているようなものである。
「昼休憩は限られてるし、さっさと食べましょう?」
誤魔化すように、お昼ご飯を再開させようと促す。
「ほーう……? そっちがその気なら」
なぜか仁王との隙間が徐々に縮まり、彼の顔が近づいてくる。
そして、彼は私の耳元でそっと囁いた。
「さっき俺の顔が」
「わ――――!!」
私は仁王の口に右手をあてようとするが、手首を捕まれて阻止された。
さっきは流してくれたのに、蒸し返してくるなんて反則だ。
そして距離が近くて恥ずかしい。
「顔が真っ赤ぜよ」
「誰のせいだと思っているの」
「さて、誰だか」
「もう! 仁王くんなんて知りません!」
右手を捻ると、簡単に手の拘束は外れた。
拗ねるように仁王から視線を外し、お弁当のおかずを摘まむ。
私がこの件に関しては話す気がないことを察したのか、仁王もお弁当を食べ始めた。
しばらく彼の肩が揺れていたので、軽く肘で何度かつついた私は悪くない。