蝶ノ光
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テニススクールを後にした跡部は、樺地と共に近くに停まっているリムジンに乗り込んだ。
「景吾様、その様子ですと、お探しの人物は見つかったようですね」
「ああ、予想通りテニススクールにいた。……今日はもう学校には寄らないから、自宅へ向かってくれ」
「かしこまりました」
家の使用人である運転手に目的地を告げ、ほくそ笑む跡部。
彼がテニススクールを訪れたのは、数日前、とある男に相談を持ちかけられたからだ。相談というよりは依頼に近いものだったが。
白石時雨がどこへ転校したか調べてほしい。
それが男の相談内容だった。
どうやら時雨は青学から姿を消し、どこかへ引っ越しをしたらしい。
時雨の行方が気になった跡部は、男の相談を快く引き受けた。
早速調査を開始すると、何の巡り合わせか、跡部財閥が経営するテニススクールへ見学予約していることが分かった。
見学日にスクールへ訪れると、予定通りコートに時雨の姿が。隣には青学のルーキー、越前リョーマもいる。
遠くからコートの様子を伺っていると、どうやらトラブルが発生しているようだった。
口出しをせずにそのまま見守っていると、紫のユニフォームを着た連中――木手・平古場ペアとダブルスの試合が始まった。
両者一歩も譲らない中、試合が動いたのは第10ゲーム目。越前が平古場の技――飯匙倩を打ったではないか。
そういえば時雨は、相手の技を分析することが得意だったことを思い出す。そして、彼女はダブルスパートナーをコントロールするのが上手い。さすがダブルスの全国大会で優勝しただけのことはある。
動揺した比嘉の連中をそのまま突き放し、見事勝利を収めた。
「テニスの腕が落ちてないか心配だったが、杞憂だったな」
跡部が勝利を喜んでいる時雨に近づくと、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
青学テニス部に入っていたのではないかと尋ねると、立海に転校したとのこと。
それにしても、まだテニス部に入ってないねぇ……。
青学で何があったかは、相談主からおおよそのことは聞いた。
立海でどう過ごしているかは知らないが、テニス部のマネージャーとして君臨する日も近いなと確信する。
そのとき頭をよぎったのは、相談主の後悔した表情。時雨が何も言わずに青学を去ったのは、自分たちのせいだという。
どうにかして彼らが仲直りできないかと思った跡部は、気づけば時雨に大会を開催するからお前もノミネートしておいてやると言ってしまった。
そこには、ダブルスで時雨に勝ってみたいという気持ちもあった。
元々はシングルスの大会を開催する予定だったが、今からダブルスに変更しても問題はない。試合形式などの詳細は、大会の招待状をばらまくときに知らせよう。
しどろもどろになっている時雨に、倒したいやつがいるのではないかと促せば、彼女の瞳は大きく揺れた。
誘い方がスマートではなかったが、おそらくこれで大会に参加するだろう。彼女はやられればやり返すタイプの人間なのだから。
あとは、こちらでリストアップした選手に大会の招待状を送れば、ショーの幕開けだ。
青学の連中と時雨が仲直りできるかどうかは彼ら次第だが――。
「うかうかしていると、大波に飲み込まれるかもしれないぜ?……なあ、手塚よ」
跡部は窓ガラスの外を眺めながら、相談主に向けて語りかけるかのように呟いた。
「景吾様、その様子ですと、お探しの人物は見つかったようですね」
「ああ、予想通りテニススクールにいた。……今日はもう学校には寄らないから、自宅へ向かってくれ」
「かしこまりました」
家の使用人である運転手に目的地を告げ、ほくそ笑む跡部。
彼がテニススクールを訪れたのは、数日前、とある男に相談を持ちかけられたからだ。相談というよりは依頼に近いものだったが。
白石時雨がどこへ転校したか調べてほしい。
それが男の相談内容だった。
どうやら時雨は青学から姿を消し、どこかへ引っ越しをしたらしい。
時雨の行方が気になった跡部は、男の相談を快く引き受けた。
早速調査を開始すると、何の巡り合わせか、跡部財閥が経営するテニススクールへ見学予約していることが分かった。
見学日にスクールへ訪れると、予定通りコートに時雨の姿が。隣には青学のルーキー、越前リョーマもいる。
遠くからコートの様子を伺っていると、どうやらトラブルが発生しているようだった。
口出しをせずにそのまま見守っていると、紫のユニフォームを着た連中――木手・平古場ペアとダブルスの試合が始まった。
両者一歩も譲らない中、試合が動いたのは第10ゲーム目。越前が平古場の技――飯匙倩を打ったではないか。
そういえば時雨は、相手の技を分析することが得意だったことを思い出す。そして、彼女はダブルスパートナーをコントロールするのが上手い。さすがダブルスの全国大会で優勝しただけのことはある。
動揺した比嘉の連中をそのまま突き放し、見事勝利を収めた。
「テニスの腕が落ちてないか心配だったが、杞憂だったな」
跡部が勝利を喜んでいる時雨に近づくと、彼女は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
青学テニス部に入っていたのではないかと尋ねると、立海に転校したとのこと。
それにしても、まだテニス部に入ってないねぇ……。
青学で何があったかは、相談主からおおよそのことは聞いた。
立海でどう過ごしているかは知らないが、テニス部のマネージャーとして君臨する日も近いなと確信する。
そのとき頭をよぎったのは、相談主の後悔した表情。時雨が何も言わずに青学を去ったのは、自分たちのせいだという。
どうにかして彼らが仲直りできないかと思った跡部は、気づけば時雨に大会を開催するからお前もノミネートしておいてやると言ってしまった。
そこには、ダブルスで時雨に勝ってみたいという気持ちもあった。
元々はシングルスの大会を開催する予定だったが、今からダブルスに変更しても問題はない。試合形式などの詳細は、大会の招待状をばらまくときに知らせよう。
しどろもどろになっている時雨に、倒したいやつがいるのではないかと促せば、彼女の瞳は大きく揺れた。
誘い方がスマートではなかったが、おそらくこれで大会に参加するだろう。彼女はやられればやり返すタイプの人間なのだから。
あとは、こちらでリストアップした選手に大会の招待状を送れば、ショーの幕開けだ。
青学の連中と時雨が仲直りできるかどうかは彼ら次第だが――。
「うかうかしていると、大波に飲み込まれるかもしれないぜ?……なあ、手塚よ」
跡部は窓ガラスの外を眺めながら、相談主に向けて語りかけるかのように呟いた。