蝶ノ光
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「ゲームセット、ウォンバイ白石!」
審判の声がコートに響き渡る。
「勝った……」
最後は無我夢中でボールを打ち返していたため、正直勝利したという実感がない。
ラケットを右手に持ち替え、左手を見つめた。手のひらは真っ赤だし、ジンジンする。
「時雨、強いのね。良い試合だったよ」
「そちらこそ。久しぶりにテニスを楽しめたわ。ありがとう」
「そう言ってもらえると嬉しいな。女テニに入部希望なら、いつでも歓迎してるから言ってね!」
「うん、前向きに検討するね」
百合と握手を交わし、観客席へと走る。切原と柳にお礼を言うためだ。
百合との試合に勝てたのはニ人の声援があったからこそ。だから、感謝の気持ちを伝えたかった。
「切原くん、蓮二。ニ人ともありがとう。一度心が折れかけたけど、あなたたちのおかげで勝利を掴むことができたわ」
「なーに言ってるんすか。試合に勝ったのは先輩の実力っしょ!」
「赤也の言うとおりだ。水澤の実力は本物。まぐれで勝てる相手ではない。日々の努力の結果だろう」
「まるで普段の練習を知っているような言い方ね。……まぁ、蓮二なら知っていてもおかしくないか」
どうやってデータ収集しているのかは分からないが、聞かない方が身のためだろう。
「これから女テニと練習試合あるんすけど、時雨先輩見に来てください!」
「もちろん! 今度は私がニ人を応援するわ」
「あと……俺が勝ったら名前で呼んでください!」
「いいけど、どうしたの藪から棒に」
「俺だって柳先輩みたいに時雨先輩と仲良くなりたいっス!」
予想外の切原の発言に私は目をぱちくりさせ、柳と顔を見合わせる。
柳は少々頬を紅潮させて咳払いをした。
「……赤也。お前は俺が最近時雨と知り合ったと勘違いしているようだが、彼女とは幼馴染だ」
「へ? 幼馴染……?」
「小学生の頃、蓮二と同じテニススクール通っていたの。だから、お互いテニスのプレースタイルとかはよく知っているわ。切原くんのテニスは見たことないから、これからじっくり見させてもらうね」
「ういっす」
*
男女テニス部レギュラー陣の試合が始まってから14分経過。一番早く決着がついたのは切原の試合だった。
柳の情報によると、彼は最速試合時間にこだわっているらしい。
試合が終わり、目を輝かせながら私のところへ戻ってきた。
「俺の試合見てましたか!?」
「ええ、おめでとう赤也君」
「へへっ、時雨先輩の応援のおかげっすよ!」
歯を見せて笑いながら、右手でVサインを作る切原。
「ちなみに今日の試合見て、マネージャーやりたくなったりは……」
「それは内緒」
「ちぇー。これからミーティングあるんで部活戻りますけど、マネージャーの件、考えといてくださいね!」
テニスコートへ走っていく切原に手を振って見送る。
彼には返答をあやふやにしたが、やりたいという気持ちに傾いているのは秘密だ。
レギュラー陣の試合を目の当たりにして、一人一人のレベルが高いと感じた。まるで手塚クラスが八人いるかのよう。
それに先ほどの切原の試合。片足でスプリット・ステップを使う姿がリョーマと重なって見えた。
リョーマのテニスする姿、また見たいなぁ……。
青学でテニスに励む幼馴染を思い浮かべながら、私は帰路に就くのだった。
審判の声がコートに響き渡る。
「勝った……」
最後は無我夢中でボールを打ち返していたため、正直勝利したという実感がない。
ラケットを右手に持ち替え、左手を見つめた。手のひらは真っ赤だし、ジンジンする。
「時雨、強いのね。良い試合だったよ」
「そちらこそ。久しぶりにテニスを楽しめたわ。ありがとう」
「そう言ってもらえると嬉しいな。女テニに入部希望なら、いつでも歓迎してるから言ってね!」
「うん、前向きに検討するね」
百合と握手を交わし、観客席へと走る。切原と柳にお礼を言うためだ。
百合との試合に勝てたのはニ人の声援があったからこそ。だから、感謝の気持ちを伝えたかった。
「切原くん、蓮二。ニ人ともありがとう。一度心が折れかけたけど、あなたたちのおかげで勝利を掴むことができたわ」
「なーに言ってるんすか。試合に勝ったのは先輩の実力っしょ!」
「赤也の言うとおりだ。水澤の実力は本物。まぐれで勝てる相手ではない。日々の努力の結果だろう」
「まるで普段の練習を知っているような言い方ね。……まぁ、蓮二なら知っていてもおかしくないか」
どうやってデータ収集しているのかは分からないが、聞かない方が身のためだろう。
「これから女テニと練習試合あるんすけど、時雨先輩見に来てください!」
「もちろん! 今度は私がニ人を応援するわ」
「あと……俺が勝ったら名前で呼んでください!」
「いいけど、どうしたの藪から棒に」
「俺だって柳先輩みたいに時雨先輩と仲良くなりたいっス!」
予想外の切原の発言に私は目をぱちくりさせ、柳と顔を見合わせる。
柳は少々頬を紅潮させて咳払いをした。
「……赤也。お前は俺が最近時雨と知り合ったと勘違いしているようだが、彼女とは幼馴染だ」
「へ? 幼馴染……?」
「小学生の頃、蓮二と同じテニススクール通っていたの。だから、お互いテニスのプレースタイルとかはよく知っているわ。切原くんのテニスは見たことないから、これからじっくり見させてもらうね」
「ういっす」
*
男女テニス部レギュラー陣の試合が始まってから14分経過。一番早く決着がついたのは切原の試合だった。
柳の情報によると、彼は最速試合時間にこだわっているらしい。
試合が終わり、目を輝かせながら私のところへ戻ってきた。
「俺の試合見てましたか!?」
「ええ、おめでとう赤也君」
「へへっ、時雨先輩の応援のおかげっすよ!」
歯を見せて笑いながら、右手でVサインを作る切原。
「ちなみに今日の試合見て、マネージャーやりたくなったりは……」
「それは内緒」
「ちぇー。これからミーティングあるんで部活戻りますけど、マネージャーの件、考えといてくださいね!」
テニスコートへ走っていく切原に手を振って見送る。
彼には返答をあやふやにしたが、やりたいという気持ちに傾いているのは秘密だ。
レギュラー陣の試合を目の当たりにして、一人一人のレベルが高いと感じた。まるで手塚クラスが八人いるかのよう。
それに先ほどの切原の試合。片足でスプリット・ステップを使う姿がリョーマと重なって見えた。
リョーマのテニスする姿、また見たいなぁ……。
青学でテニスに励む幼馴染を思い浮かべながら、私は帰路に就くのだった。