蝶ノ光
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
幸村と別れたあと、私は教室でのんびり本を読んでいた。青学にいた頃は毎日朝練だったので、こうして寛げるのは新鮮だ。
小説の中盤に差し掛かったところで、教室がいつの間にか賑やかになっていたことに気づく。朝練が終わった運動部の人たちが徐々に教室に集まってきたのだろう。
手元の本から教室の扉に視線を移すと、ちょうど仁王と丸井が入ってきた。どうやら男子テニス部の朝練も終わったらしい。
丸井はガムを噛みながら、仁王は少し眠そうに欠伸をしながら自分の席に着いた。
ガムが膨らんでいるのを見ていると何か忘れているような気がするが、何だっただろうか。
「おはよ! しっかし幸村くんに鬼ごっこ誘われるなんて、時雨も朝から大変だな」
「ほんとだよ~。鬼ごっこはともかく、マネージャーの件はお断りしますって言ってきてよ」
「俺もマネージャーになってほしいから、その頼み事は聞けないぜ」
「それにしても、よく鬼ごっこ引き受けたのう。逃げ切れる自信があるんか?」
「……うん、逃げ切ってみせるよ」
ニヤリと口角を上げ、ハッタリをかます。もし捕まるにしても、最終日までは粘りたいという気持ちがあった。
「時雨!!」
突然、大声とともに勢いよく扉が開いた。クラスの人たちの視線が一気に扉に集中し、私たちも目を向ける。
声の主は百合だった。
彼女は周りの視線を気にせず、そのままこちらへ向かってくる。
「レギュラーと……、鬼ごっこするって、本当……?」
よっぽど急いできたのか、息があがっていた。
「うん。朝練前に幸村くんに勝負を申し込まれたんだ」
「本当だったんだ! ああ~、私も参加したいな……」
「幸村くんに聞いてみたら? きっと大丈夫だよ」
「そうだね! ちょっと精市くんのところに行ってくる!!」
そういって百合はまた教室から出ていってしまった。これが通常運転なのか、クラスの皆は気にした様子はない。
「……なんか嵐みたいだったな」
「同感ナリ」
「ははは……」
思わず苦笑する。どうやら明日から放課後は慌ただしくなりそうだ。
「うーん、……何か忘れているような」
「どうしたんじゃ」
頭を抱える私に、仁王は心配そうに顔を覗く。先ほどから思い出せず、モヤモヤが収まらない。
丸井がガムを噛んでいるのを見てから引っ掛かりを感じたんだっけ。
ガム、食べ物、ランチ……。
「あ! お弁当忘れた」
「俺のガムやるよ」
「気持ちは嬉しいけど、それじゃ放課後までもたない……」
モヤモヤが取れてスッキリしたものの、お弁当を家に置いてきた事実にショックを受ける。
丸井からスッとガムを渡されたが、お腹が満たされるとは思えず気持ちだけ受け取った。
「じゃあ、昼休みに食堂案内しようかの。白石さん行ったことないじゃろ」
「ありがとう!」
こうして食堂に行くことを約束した私は、どんなメニューがあるのだろうと期待を寄せるのであった。
小説の中盤に差し掛かったところで、教室がいつの間にか賑やかになっていたことに気づく。朝練が終わった運動部の人たちが徐々に教室に集まってきたのだろう。
手元の本から教室の扉に視線を移すと、ちょうど仁王と丸井が入ってきた。どうやら男子テニス部の朝練も終わったらしい。
丸井はガムを噛みながら、仁王は少し眠そうに欠伸をしながら自分の席に着いた。
ガムが膨らんでいるのを見ていると何か忘れているような気がするが、何だっただろうか。
「おはよ! しっかし幸村くんに鬼ごっこ誘われるなんて、時雨も朝から大変だな」
「ほんとだよ~。鬼ごっこはともかく、マネージャーの件はお断りしますって言ってきてよ」
「俺もマネージャーになってほしいから、その頼み事は聞けないぜ」
「それにしても、よく鬼ごっこ引き受けたのう。逃げ切れる自信があるんか?」
「……うん、逃げ切ってみせるよ」
ニヤリと口角を上げ、ハッタリをかます。もし捕まるにしても、最終日までは粘りたいという気持ちがあった。
「時雨!!」
突然、大声とともに勢いよく扉が開いた。クラスの人たちの視線が一気に扉に集中し、私たちも目を向ける。
声の主は百合だった。
彼女は周りの視線を気にせず、そのままこちらへ向かってくる。
「レギュラーと……、鬼ごっこするって、本当……?」
よっぽど急いできたのか、息があがっていた。
「うん。朝練前に幸村くんに勝負を申し込まれたんだ」
「本当だったんだ! ああ~、私も参加したいな……」
「幸村くんに聞いてみたら? きっと大丈夫だよ」
「そうだね! ちょっと精市くんのところに行ってくる!!」
そういって百合はまた教室から出ていってしまった。これが通常運転なのか、クラスの皆は気にした様子はない。
「……なんか嵐みたいだったな」
「同感ナリ」
「ははは……」
思わず苦笑する。どうやら明日から放課後は慌ただしくなりそうだ。
「うーん、……何か忘れているような」
「どうしたんじゃ」
頭を抱える私に、仁王は心配そうに顔を覗く。先ほどから思い出せず、モヤモヤが収まらない。
丸井がガムを噛んでいるのを見てから引っ掛かりを感じたんだっけ。
ガム、食べ物、ランチ……。
「あ! お弁当忘れた」
「俺のガムやるよ」
「気持ちは嬉しいけど、それじゃ放課後までもたない……」
モヤモヤが取れてスッキリしたものの、お弁当を家に置いてきた事実にショックを受ける。
丸井からスッとガムを渡されたが、お腹が満たされるとは思えず気持ちだけ受け取った。
「じゃあ、昼休みに食堂案内しようかの。白石さん行ったことないじゃろ」
「ありがとう!」
こうして食堂に行くことを約束した私は、どんなメニューがあるのだろうと期待を寄せるのであった。