青の結晶
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「……ナーシャ、ナーシャ、ナーシャ」
「…………う~ん……」
先ほどからトーマスはナーシャの名前を繰り返し呼びながら揺すぶるが、当の本人は一向に目を覚ます気配がなく夢の中である。気持ちよさそうに寝ているのでこのままにしてやりたいのは山々だが、このままでは彼女が学校に遅刻してしまう。
「ナーシャ、いい加減起きろ! 遅刻するぞ!」
痺れを切らしたトーマスは、掛布団を一気に引きはがした。布団の温もりが消えたからか、ナーシャはようやく目を覚ます。
「……!? 今何時!?」
「……やっと起きたか、8時4分だぞ」
その後、ナーシャの悲鳴があがったのは言うまでもない。
*
「なんで起こされてるのに起きなかったの……!!」
慌てて支度をして走って学校へ向かう。学校まで歩いて15分弱。腕時計をチラリと見れば、長針がⅢとⅣの間を指していた。
HRは8時30分からなので、かっとビングをすればギリギリ間に合いそうである。
曲がり角を通り過ぎようとすると、横から来た人物にぶつかりバランスを崩す。
遅刻しそうで頭がいっぱいだったこともあり、注意力が散漫だった。
このままでは倒れてしまうだろう。私は思わず目を瞑る。しかし、いつまでたっても衝撃は襲い掛かってこなかった。
代わりに、聞き覚えのある声が降ってきた。
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
目をそっと開けると、目の前にはカイトの姿が。尻餅をつかずにすんだのは彼に支えられていたからだった。
どうやらオービタルと散歩をしていたらしい。
「その……、寝坊して遅刻しそうで……」
あまりの恥ずかしさに小声になる。
「昨日は研究がいつもより長引いてしまったからな、すまない」
「それは良いんだけど……、でもカイトは普通に起きてるよね?」
「俺は寝なくても大丈夫だからな。……オービタル!」
「かしこまり!」
「ちゃんと寝、う、うわっ!」
不意に、身体が宙に浮いて、浮遊感を感じた。徐々に建物が小さく見える。
気づいたらオービタルが凧へ変形し、私はカイトにお姫様抱っこされながら空を飛んでいた。
「長引いてしまったのは俺の責任だ。ちゃんと学校まで送る」
「わっ、え、えええ、落ちるってば……!」
「落ちたくなかったら、しっかり俺に掴まってろ」
すぐさまカイトの首に手を回すと素直だな、と上機嫌に言われた。
*
校門前で着地し、カイトに降ろしてもらう。
オービタルで飛行して登校こともあり、8時22分に学校へ着いた。
これなら慌てなくてもHRに間に合いそうだ。
「今日は学校終わるくらいに迎えに行くから、ここで待っていてほしい」
「カイト、寝てないんでしょ? あたなにも、ちゃんと休んでほしいな」
あまり寝てなさそうだから、いつか倒れてしまうのではないかと心配だ。
「俺はナーシャが傍にいないと安心して眠れない。だから迎えに行くのはダメか?」
そんなの殺し文句じゃないかと思ったものの、私も満更でもなかった。
「……ダメ、じゃない。でもそのかわり、家に着いたらしっかり休んでね?」
「分かった、約束する」
「それじゃ、行ってくるね。送ってくれてありがとう!」
「ああ、いってらっしゃい」
感謝の言葉を告げて手を振ると、カイトも微笑んで手を返してくれた。
遅刻して朝からバタバタしたものの、カイトに会えるなら悪くないなと思うのであった。
~おまけ~
「……チッ、朝からイラッとくるぜ」
「あら? 凌牙、妬きもちですの?」
もうすぐ学校へ着くところだったが、突如ナーシャとカイトの姿を捉えた神代兄妹は近くの電柱に隠れ、2人の様子を伺っていた。
「ちげーよ。なんでカイトのやつがここにいるか気になっただけだ! 決してナーシャがお姫様抱っこで登校してきたことが気になったわけではない!」
「ふーん……? そういうことにしといてあげますわ」
カイトがこの場から立ち去ったのを確認し、凌牙は校門をくぐる。
どう見たってカイトに嫉妬しているじゃない。
溜息をつきながら後を追う璃緒だった。
「…………う~ん……」
先ほどからトーマスはナーシャの名前を繰り返し呼びながら揺すぶるが、当の本人は一向に目を覚ます気配がなく夢の中である。気持ちよさそうに寝ているのでこのままにしてやりたいのは山々だが、このままでは彼女が学校に遅刻してしまう。
「ナーシャ、いい加減起きろ! 遅刻するぞ!」
痺れを切らしたトーマスは、掛布団を一気に引きはがした。布団の温もりが消えたからか、ナーシャはようやく目を覚ます。
「……!? 今何時!?」
「……やっと起きたか、8時4分だぞ」
その後、ナーシャの悲鳴があがったのは言うまでもない。
*
「なんで起こされてるのに起きなかったの……!!」
慌てて支度をして走って学校へ向かう。学校まで歩いて15分弱。腕時計をチラリと見れば、長針がⅢとⅣの間を指していた。
HRは8時30分からなので、かっとビングをすればギリギリ間に合いそうである。
曲がり角を通り過ぎようとすると、横から来た人物にぶつかりバランスを崩す。
遅刻しそうで頭がいっぱいだったこともあり、注意力が散漫だった。
このままでは倒れてしまうだろう。私は思わず目を瞑る。しかし、いつまでたっても衝撃は襲い掛かってこなかった。
代わりに、聞き覚えのある声が降ってきた。
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
目をそっと開けると、目の前にはカイトの姿が。尻餅をつかずにすんだのは彼に支えられていたからだった。
どうやらオービタルと散歩をしていたらしい。
「その……、寝坊して遅刻しそうで……」
あまりの恥ずかしさに小声になる。
「昨日は研究がいつもより長引いてしまったからな、すまない」
「それは良いんだけど……、でもカイトは普通に起きてるよね?」
「俺は寝なくても大丈夫だからな。……オービタル!」
「かしこまり!」
「ちゃんと寝、う、うわっ!」
不意に、身体が宙に浮いて、浮遊感を感じた。徐々に建物が小さく見える。
気づいたらオービタルが凧へ変形し、私はカイトにお姫様抱っこされながら空を飛んでいた。
「長引いてしまったのは俺の責任だ。ちゃんと学校まで送る」
「わっ、え、えええ、落ちるってば……!」
「落ちたくなかったら、しっかり俺に掴まってろ」
すぐさまカイトの首に手を回すと素直だな、と上機嫌に言われた。
*
校門前で着地し、カイトに降ろしてもらう。
オービタルで飛行して登校こともあり、8時22分に学校へ着いた。
これなら慌てなくてもHRに間に合いそうだ。
「今日は学校終わるくらいに迎えに行くから、ここで待っていてほしい」
「カイト、寝てないんでしょ? あたなにも、ちゃんと休んでほしいな」
あまり寝てなさそうだから、いつか倒れてしまうのではないかと心配だ。
「俺はナーシャが傍にいないと安心して眠れない。だから迎えに行くのはダメか?」
そんなの殺し文句じゃないかと思ったものの、私も満更でもなかった。
「……ダメ、じゃない。でもそのかわり、家に着いたらしっかり休んでね?」
「分かった、約束する」
「それじゃ、行ってくるね。送ってくれてありがとう!」
「ああ、いってらっしゃい」
感謝の言葉を告げて手を振ると、カイトも微笑んで手を返してくれた。
遅刻して朝からバタバタしたものの、カイトに会えるなら悪くないなと思うのであった。
~おまけ~
「……チッ、朝からイラッとくるぜ」
「あら? 凌牙、妬きもちですの?」
もうすぐ学校へ着くところだったが、突如ナーシャとカイトの姿を捉えた神代兄妹は近くの電柱に隠れ、2人の様子を伺っていた。
「ちげーよ。なんでカイトのやつがここにいるか気になっただけだ! 決してナーシャがお姫様抱っこで登校してきたことが気になったわけではない!」
「ふーん……? そういうことにしといてあげますわ」
カイトがこの場から立ち去ったのを確認し、凌牙は校門をくぐる。
どう見たってカイトに嫉妬しているじゃない。
溜息をつきながら後を追う璃緒だった。