青の結晶
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ミザエルが学校に通うようになってから、ナーシャは時々彼と一緒に登校するようになった。
曜日によってミザエルと登校する日があれば、弟のミハエルと登校することもある。
今日はミザエルと一緒に行く日。天城家に居候しているミザエルと合流するため、ナーシャは天城家への道のりをトコトコ歩く。彼の家の方が、学校に近いのだ。
「…………」
歩いていると、くるぶし辺りがじわじわと痛い気がする。
ナーシャは一旦止まり、自身の足元に視線を落とした。
履いているのは、新しいローファー。店で試しに履いた時は感じなかったが、足のサイズに合ってなかったのだろうか。
道端で確認するのは難しいので、学校に着いたら確認しよう。
ミザエルは勘が鋭いから、気づかれないようにしなくては。
ナーシャは痛みを我慢しつつ、再び天城家へ向かった。
いつもより少々時間がかかりつつも彼の家に着き、インターホンを鳴らす。
すると、一分も経たずにミザエルがドアから出てきた。きっと今日も玄関で待機していたのだろう。
ナーシャと登校する時は、早めに支度をして玄関で待っている、と以前こっそりカイトが教えてくれた。
前世ではそもそも学校なんてなかったし、現世でもミザエルと色んなことを共有できて嬉しい。
「それじゃあ、行きましょうか」
「ああ」
ナーシャが迎えに来ると、ミザエルの表情が緩む。だがそれを言葉にすると彼は拗ねてしまうので、胸の中にしまっておいた。
以前カイトが指摘したら、ミザエルが機嫌を損ねてしまったのだとか。
「すまないが、今日は元七皇の集まりがあって、共に帰ることができない。あとカイトは研究が忙しくて、今日は迎えに行けないと言っていた」
「分かった、わ。……あ、でもミザエルとデュエルしたいから、カイトの家で待ってても良いかな」
足の痛みが大きくなったが、なんとか誤魔化す。顔に出ないように気をつけた。
学校までそう遠くないので、もう少しの辛抱だ。
「それは構わないが……なるべく早く帰る」
「私のことは気にせず、のんびりしてきて良いのよ?」
「だが、…………分かった」
思うところがありそうな表情ではあったが、一応は納得したようだ。
それからナーシャがミザエルに、天城家での出来事などを聞いていれば、学校に着いた。
ミザエルと二階の踊り場で別れ、ナーシャは鞄を教室に置いて屋上へ。幸いなことに誰もいなかった。
屋上の隅で、ハイソックスを踵あたりまでおろす。
「やっぱり靴擦れしてる……」
左足のくるぶしの下に真っ赤な点が。皮が捲れていた。道理で痛いはずだ。
ナーシャは絆創膏を持っていないので、代わりにティッシュをあててソックスを履き直す。
保健室が開くのは朝礼が始まる時間と同じなので、絆創膏を貰いに行くなら中休みが狙い目だ。
朝礼終了直後では、凌牙に気付かれるだろう。そうなると凌牙からミザエルに伝わってしまうかもしれない。今日は元七皇の集まりがあるようだし。
ナーシャは朝礼開始のチャイムが鳴る前に、こっそり二階の教室へ戻った。
*
一限、二限が終わり中休み。
休み時間に入ってから、ナーシャはすぐさま教室を後にした。ナーシャの席は教室のドアから近いので、おそらく最前列の凌牙には気付かれていないはず。
歩くと再び足がじわじわと痛み始めたが、嘆いてもしかたがない。
一階の保健室へ行くため、階段を目指す。時々休憩しながら、ゆっくりと進んだ。
いつもより廊下が長く感じたが、凌牙や璃緒たちには遭遇せず、無事保健室に着いた。
ドアをスライドさせ、部屋の中へ。
「先生、靴擦れしたので絆創膏ください」
「あらあら、ナーシャちゃん。ちょっと待っててね」
保健室の先生はすぐさま絆創膏を用意し、ナーシャへ渡す。そこには予備の分も含まれていた。もし靴下の中で絆創膏がずれてしまっても安心だ。
ナーシャは先生にお礼を言い、絆創膏を靴擦れした部分に貼った。
そして何事もなかったかのように、教室へ戻るのだった。
*
「帰りの支度はできたか?」
放課後となり、教科書や筆箱を鞄の中に纏めていると、頭上から声が降ってきた。
顔を上げると、目の前にはミザエルが。
今日は一緒に帰れないと言っていたのに、どうしたのだろう。
「あれ? 今日は元七皇の集まりじゃなかったっけ」
「ナーシャの方が大事だからな。それより私に隠していることはないか」
「隠していること……?」
「朝から様子がおかしかった。私が気づかなかったと思っているのか。足を怪我しているのだろう?」
挙動不審に思われていたどころか、何故か足を痛めていることがバレている。
「ええと……実は靴擦れしてしまって。よく気づいたわね」
「お前の兄だったからな。隠し事をする時の妹の癖は熟知している」
「隠し事をしても、いつも兄さんにはバレてたっけ」
ナーシャがくすりと笑うと、ミザエルは照れ臭そうに目を逸らした。
詳しく聞いてみれば、ミザエルは中休みにナーシャの教室を訪れていたらしい。しかし教室に彼女がいなかったので、廊下をうろうろしてみれば、保健室へ向かっている姿が。ゆっくり歩いていれば、時々立ち止まって眉間にシワを寄せていたので、ハラハラしていたとか。
ナーシャは見守られていたことに、全然気づいていなかった。
「今日は寄り道せずに、まっすぐ家に帰るか?」
「うーん……でも天城家に寄りたいな」
「分かった。それなら昨日、クッキー買ってきたから一緒に食べよう。のんびり寛いでいれば、カイトも来るだろう」
きっとミザエルは、ナーシャが少しの時間でもカイトに会いたいことに気づいているのだろう。
「うん!」
元気に返事をすれば、ミザエルの顔がほころんだ。
ナーシャはミザエルに手を貸してもらいながら、天城家へ向かうのだった。
曜日によってミザエルと登校する日があれば、弟のミハエルと登校することもある。
今日はミザエルと一緒に行く日。天城家に居候しているミザエルと合流するため、ナーシャは天城家への道のりをトコトコ歩く。彼の家の方が、学校に近いのだ。
「…………」
歩いていると、くるぶし辺りがじわじわと痛い気がする。
ナーシャは一旦止まり、自身の足元に視線を落とした。
履いているのは、新しいローファー。店で試しに履いた時は感じなかったが、足のサイズに合ってなかったのだろうか。
道端で確認するのは難しいので、学校に着いたら確認しよう。
ミザエルは勘が鋭いから、気づかれないようにしなくては。
ナーシャは痛みを我慢しつつ、再び天城家へ向かった。
いつもより少々時間がかかりつつも彼の家に着き、インターホンを鳴らす。
すると、一分も経たずにミザエルがドアから出てきた。きっと今日も玄関で待機していたのだろう。
ナーシャと登校する時は、早めに支度をして玄関で待っている、と以前こっそりカイトが教えてくれた。
前世ではそもそも学校なんてなかったし、現世でもミザエルと色んなことを共有できて嬉しい。
「それじゃあ、行きましょうか」
「ああ」
ナーシャが迎えに来ると、ミザエルの表情が緩む。だがそれを言葉にすると彼は拗ねてしまうので、胸の中にしまっておいた。
以前カイトが指摘したら、ミザエルが機嫌を損ねてしまったのだとか。
「すまないが、今日は元七皇の集まりがあって、共に帰ることができない。あとカイトは研究が忙しくて、今日は迎えに行けないと言っていた」
「分かった、わ。……あ、でもミザエルとデュエルしたいから、カイトの家で待ってても良いかな」
足の痛みが大きくなったが、なんとか誤魔化す。顔に出ないように気をつけた。
学校までそう遠くないので、もう少しの辛抱だ。
「それは構わないが……なるべく早く帰る」
「私のことは気にせず、のんびりしてきて良いのよ?」
「だが、…………分かった」
思うところがありそうな表情ではあったが、一応は納得したようだ。
それからナーシャがミザエルに、天城家での出来事などを聞いていれば、学校に着いた。
ミザエルと二階の踊り場で別れ、ナーシャは鞄を教室に置いて屋上へ。幸いなことに誰もいなかった。
屋上の隅で、ハイソックスを踵あたりまでおろす。
「やっぱり靴擦れしてる……」
左足のくるぶしの下に真っ赤な点が。皮が捲れていた。道理で痛いはずだ。
ナーシャは絆創膏を持っていないので、代わりにティッシュをあててソックスを履き直す。
保健室が開くのは朝礼が始まる時間と同じなので、絆創膏を貰いに行くなら中休みが狙い目だ。
朝礼終了直後では、凌牙に気付かれるだろう。そうなると凌牙からミザエルに伝わってしまうかもしれない。今日は元七皇の集まりがあるようだし。
ナーシャは朝礼開始のチャイムが鳴る前に、こっそり二階の教室へ戻った。
*
一限、二限が終わり中休み。
休み時間に入ってから、ナーシャはすぐさま教室を後にした。ナーシャの席は教室のドアから近いので、おそらく最前列の凌牙には気付かれていないはず。
歩くと再び足がじわじわと痛み始めたが、嘆いてもしかたがない。
一階の保健室へ行くため、階段を目指す。時々休憩しながら、ゆっくりと進んだ。
いつもより廊下が長く感じたが、凌牙や璃緒たちには遭遇せず、無事保健室に着いた。
ドアをスライドさせ、部屋の中へ。
「先生、靴擦れしたので絆創膏ください」
「あらあら、ナーシャちゃん。ちょっと待っててね」
保健室の先生はすぐさま絆創膏を用意し、ナーシャへ渡す。そこには予備の分も含まれていた。もし靴下の中で絆創膏がずれてしまっても安心だ。
ナーシャは先生にお礼を言い、絆創膏を靴擦れした部分に貼った。
そして何事もなかったかのように、教室へ戻るのだった。
*
「帰りの支度はできたか?」
放課後となり、教科書や筆箱を鞄の中に纏めていると、頭上から声が降ってきた。
顔を上げると、目の前にはミザエルが。
今日は一緒に帰れないと言っていたのに、どうしたのだろう。
「あれ? 今日は元七皇の集まりじゃなかったっけ」
「ナーシャの方が大事だからな。それより私に隠していることはないか」
「隠していること……?」
「朝から様子がおかしかった。私が気づかなかったと思っているのか。足を怪我しているのだろう?」
挙動不審に思われていたどころか、何故か足を痛めていることがバレている。
「ええと……実は靴擦れしてしまって。よく気づいたわね」
「お前の兄だったからな。隠し事をする時の妹の癖は熟知している」
「隠し事をしても、いつも兄さんにはバレてたっけ」
ナーシャがくすりと笑うと、ミザエルは照れ臭そうに目を逸らした。
詳しく聞いてみれば、ミザエルは中休みにナーシャの教室を訪れていたらしい。しかし教室に彼女がいなかったので、廊下をうろうろしてみれば、保健室へ向かっている姿が。ゆっくり歩いていれば、時々立ち止まって眉間にシワを寄せていたので、ハラハラしていたとか。
ナーシャは見守られていたことに、全然気づいていなかった。
「今日は寄り道せずに、まっすぐ家に帰るか?」
「うーん……でも天城家に寄りたいな」
「分かった。それなら昨日、クッキー買ってきたから一緒に食べよう。のんびり寛いでいれば、カイトも来るだろう」
きっとミザエルは、ナーシャが少しの時間でもカイトに会いたいことに気づいているのだろう。
「うん!」
元気に返事をすれば、ミザエルの顔がほころんだ。
ナーシャはミザエルに手を貸してもらいながら、天城家へ向かうのだった。