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創作 短編集

「ジキル?もう朝ですよ、朝食用意してありますし起きてください」
ハイドの作る食事はおいしい。しかもこの匂い、どうやら和食のようだ。いつもなら飛び起きて食べようとしてハイドに「顔洗って寝癖くらい直してきてください!」と怒られるところだが、今日はどうにも頭が回らない。嫌な予感がして立ち上がると一瞬視界が暗転しかける。嫌な予感が強まった。
「……といれ、いってくる」
ふらついた様子を見ていたハイドが何か言っている気がするが頭に入ってこない。案の定というか嫌な予感は的中していて。
「あっ、ジキル!大丈夫ですか……?ふらついていたようですけど……」
そう声をかけられるが、返事をするのも億劫でとりあえず用意してくれた食事に手をつける。好みに合わせて濃いめにされた味付けが一段と美味しく感じる。
「ジキル?聞こえてます……?さっきから上の空ですし……も、もしかして体調悪いんじゃ!」
「ごちそうサマ」
「ちょ、ジキル!?」
いい加減眠気が酷くてまともに返すこともなくベッドに足を運ぶ。さっきから無視をしてしまって申し訳なく感じはするけれど、そろそろ貧血も相まってこのまま倒れ込みそうだから許して欲しい所だ。
「ジキル!貴方ほんと様子おかしいですよ?大丈夫ですか……?」
どうやら我が一部でもある杖はまだ分かっていないようだった。
「生理、いい加減ブったおレそう」
そう覇気のない声で告げると、呆気にとられた顔でハイドが見つめてくる。どいてくれないとベッドに行けなくて困るのだが。
「……あっ、えと。ご、ごめんなさい!」
ふっと我にかえると顔を真っ赤にし大慌てでどこかへ駆け出してしまった。なんというか、反応がまるでウブな男子にしか見えない。もしやハイドは?と考えかけたが貧血と眠気がそんな思考を断ち切ってくる。諦めて考えることを放棄し、ベッドに倒れ込んだ。恐らく、いつもの如く1週間近くは頭が回らないだろう。身の回りや食事はハイドがやってくれると信じて、ぎりぎり掴んでいた意識は手放すことにした。
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