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創作 短編集

テンムと出会ってしばらくしてから、屋敷の近くに妙な気配が増えた。この辺りで誰が死んだのだろうか。最初は気にも止めなかった。

……最近、妙な気配がこの周囲へ来る頻度が高くなったように思う。
「お腹が空いたので薪切ってきますね!!」
嘘ではないが本当でもない。鎖に繋がれていた時は栄養が足りず成長していなかった体がここに来てからというものかなりのスピードで成長している。だからかやけにお腹が空くのだ。けれど面倒なことに偏食をこじらせてしまったから普通の食事ではどうにも物足りない。鎖に噛み付くなんて馬鹿なことをしてたことが幸いしたのか大体のものは食べれるようになっていたから最近は薪を食べるようにしていた。

妙な気配が近くなった。ふっとその方へ向くとフワフワと浮く少年と血色の悪い少女に目が合った。
どことなく、彼に似ている気がする。けれど彼の様な嘘くささがない。むしろ純粋すぎるくらいなのではないか。
とりあえずはいつものように笑みを返しその場を去った。それからというもの、森へ行くと度々彼らを見かけた。

彼には弟がいることを知った。弟のことで正気を失った彼を見るのは初めてだった。
そしてふと彼らの事を思い出した。もしかして、彼と似ている幽霊は、彼の弟なのではないか。

彼の感情を、あれほどまで引き出す弟は一体どんな人物なのか

そして、あの少年達と会うことを決めた。


少年達からは自分の知らない彼の話をたくさん聞くことができた。何度も話に行くうち、彼らとはなかよくなった。それと同時にジャックという少年が彼とは真逆であることがすぐにわかった。なるほど、彼が嫌うのも当然なのかもしれない。



あぁ、彼は自分の嫌う弟と私がこれ程までに親しいことを知ったらどう思うのだろうか。
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