田村保乃
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『はいフロントでございます。、、、はい、はい。お部屋番号は、、かしこまりましたすぐ伺わせていただきます。』
ガチャ
夜の23時、フロントにかかってきた電話の内容は金庫が開かないとのこと。
まぁよくある内容で、番号を忘れただの鍵が曲がっただの様々でこういうのはフロントが管理しているマスターキー1本あればすぐ解決するのだが、、。
「なんだって?」
『セキュリティボックスが開かなくなったらしいんですけど、、。』
「そこの鍵持ってきなー。」
『いやそれがキーレスのやつがある部屋で面倒で、、。』
「あちゃー、そりゃ面倒かもな、、どんまい!」
『いってきまーす、、。』
そう、今言った通りキーレスの金庫、つまりはいい金庫で内部システムで全てが管理されてるものでこれがまた時間がかかる。
たまたま個人的に機械系の学校に行ってただけあってなんとなくはわかるんだけど、説明書通りやっても30分はかかるしなかなかに面倒な仕事なんですよね。
いやー、やってくれたなー。
コンコン
「はーい、、あ!ごめんなぁー!こんな遅い時間に。」
『、、、田村様遅くなりましてすみません、入らせていただいてもよろしいですか。』
「もうー誰もいないんだから仕事モードじゃなくてもええやん。」
すごい馴れ馴れしく話してくるこの人は田村保乃。
一応恋人である。
知ってる人だから文句をぶちまけてやりたいところなんだけど、今はお客様なのでそんな事は言わない。
何を入れてるか聞くと財布と身分証明書入れを入れているらしい。
貴重品入れだしそりゃそうかと思いながら作業にかかる時間と、お客様の貴重品ということで立ち会いをしていただくことを説明する。
作業に入り始めて20分、中々に面倒くさい。
『んー、、なんでだろうな。』
田村「なんか飲み物買ってこよか?」
『大丈夫です。』
田村「買ってくるなー。」
余計な時間をかけたくないと言ったら彼女はきっと怒るだろうな。
かといっていない間に作業するなんてありえないから大人しく待つことにする。
田村「はい。」
『いえ、いただけませんよ。』
田村「いつまでそんな堅苦しい喋り方なんよー。」
5分くらいで帰ってきたと思ったら両手に握られていたのは温かいお茶が2本。
隣にしれっと座って肩に頭を預けてくる。
『あのー、、。』
田村「んー?」
『離れていただいてもよろしいですか。』
田村「なんでよー。」
『仕事中ですので。』
田村「、、、。(ジーーッ)」
『はぁ、、集中したいんだけど。』
田村「わかってんねんけど久しぶりやから。」
『それはごめん。』
田村「ううん、仕事はしゃーないもん。」
いつもは都内のホテルだけどヘルプでたまたま1ヶ月だけ名古屋のホテルに勤めている。
たまたまツアーと被ってたまたまこのホテルに宿泊したというなんとも奇跡的な事態がおきた。
『まだかかるから横になってたら?ライブ明日でしょ?』
田村「いやや、ここにおる。」
眠そうな顔をしながら言ってくる彼女の為にも早く終わらせたいのだが、中々思うように進まなくて30分ほどで終わると思っていた作業はかれこれ1時間を過ぎてしまって日付は変わってしまった。
『、、、、、。』
田村「、、、、、。(コクッ)」
『ベッド行きな。』
田村「、、まだ大丈夫。」
なんとか終わって後は初期設定の番号だけ入力してもらえば終わりだ。
1回立ち上がって背筋を伸ばすと背骨はボキボキと音を鳴らして一気に疲労感がやってくる。
疲れたなー。
『保乃番号入れて。』
田村「はーい。」
番号の設定が終わって道具をしまい、一言言って扉から出ようとすると背中に衝撃がくる。
2人しかいない部屋で物理的に考えて衝撃がくる理由は1つしかない。
田村「んーー。」
『保乃?』
田村「まだおってよ、、。」
『無理だよ、仕事中だから。』
荷物を下ろして向き直すと今度はしっかりとホールドされてしまい、身動きが取れなくなってしまう。
田村「名前。」
『ん?』
田村「保乃めんどくさいやんな、、でも寂しかってん。だから後ちょっとだけでいいから。」
好きな人からこんなこと言われて何もできないほど落ちぶれた人間ではない。
両腕を脱出させて片方を背中に回してもう片方を頭に乗せて軽く撫でてあげる。
『あんまり可愛いこと言わないで、仕事ほったらかしにしたくなっちゃうから。』
田村「ごめん、、。」
『ううん、謝らないで。それで一つ提案があるんですけど。』
田村「???」
『明日の夜もし余裕があったら22階の1428番の部屋があるからおいで。』
田村「絶対行く!」
『疲れてたりしたら無理しなくていいから来れる時連絡して。』
田村「わかった!」
『よし、じゃあ戻るね、、、こらダメです。』
顔をグイッと近づけてきて物欲しそうな顔をしてくる。
何がほしいのかなんてわかりきってるけど流石にここではできない、ましてや仕事中だし。
しかもこんな可愛い彼女が可愛い表情で詰め寄ってきたらこっちだって制御が効くかわからない。
自分でも気付かないうちに保乃不足で寂しかったんだろうなと思う。
絶対言わないけどね。
田村「いてっ。」
『寝てください、明日もライブなんだから。』
田村「名前!」
『なに。』
田村「けち!」
『あーもう、、。明日!明日ね!はいおやすみ!』
申し訳ないと思ったけど少しいつもより力を強くして腕を払って部屋から逃げるように出ていく。
素っ気ないと思われるかもしれないけど我慢しなきゃいけないこっちの身にもなってほしい。
部屋の中とはいえ、ただでさえどこで見られているかわからない場所で芸能人である彼女と長く一緒にいることだって危ないのに。
交代をしにフロントに行った後普段着に着替えて従業員用の喫煙ルームでタバコに火をつけた。
『なんであんなに可愛いんだよ、ずるすぎだろ。』
ものの数分前まで会っていたのにもう会いたくなってしまっている自分にイライラと、いつも以上に疲れた忙しさを流すためにタバコの煙と共にため息をついた。
後日保乃ちゃんが知らない人の部屋に入ろうとしたところをホテルの従業員に見られたとか見られてないとか、、。
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