6 実技試験
四匹目の魔物になかなか遭遇することが出来ず、自称リーダーの指示によりシン達は移動する事になった。
「三匹で充分じゃねえの?」
というEクラスの騎士の言葉は黙殺され、もう一人の魔法使いは試験が始まってから一言も喋っていない。
「森の中の方が魔物が強いって話だ」
「強いっていっても大したことないだろ」
話しながら移動する騎士に、シンはついていくのが精一杯だった。騎士達はみんな体格が良く、それなりに筋肉が付いている。歩き回ることに慣れていて歩くのも速い。魔法の呪文や種類を覚えたり、勉強ばかりしている魔法使いとは体力が違う。
シンは実技試験が終わったら体力トレーニングもしようと心に決めた。
森に入ってしばらく歩くと、岩肌とフェンスが見えてきた。大きな岩がごつごつと並んでいて、間はフェンスで区切られている。
「もしかして、エリアの境界じゃないのか?」
シンももらった地図を開いてみた。自分たちはどうも北エリアとの境界にいるみたいだ。行き止まりだったので戻るしかないと思ったのは何故かシンだけだった。
「ちょっと柵を超えてみようぜ」
自称リーダーの言葉にシンは耳を疑う。
「いいな。東エリアの魔物弱すぎるしな」
「面倒くせえよ。ここでずっと休憩しようぜ」
騎士達が言い争っている。シンはおずおずと口論に参加した。
「あの……エリアは超えない方がいいと思います。地図もないし、怪我をしても僕の魔法じゃ……」
「うるせえな。臆病者は黙ってろ。リーダーは俺だって言っただろうが」
「でも、治療するのは僕だから……」
勇気を出して言うと、自称リーダーに襟首を掴まれた。Aクラスの魔法使い達に魔法書をボロボロにされた時の事を思い出して身体がすくむ。
「俺だって本当は北エリアに行ける実力があるんだよ。入学試験じゃ体調が悪かっただけだ。本当ならAかBクラスなんだよ」
それだけ言うと、騎士は岩を登り始めた。
「確かに北エリア、ちょっと興味あるよな」ともう一人の騎士がそれに続く。
「待ってください!」
シンが引き止めようと声をかけると、魔法使いに肩を叩かれた。
「放っておけば? 付き合う必要ないと思うね」
「そうだよ。俺たちの迷惑も顧みずに行ったんだ。そのうち痛い目にあって戻ってくるさ」
「でも……」
サイラスに、どんなに嫌いな相手でもチームはバラバラに行動するなと言われた事を思い出した。こんな事では絶対にいい成績は貰えない。嫌いな騎士二人でも放っておけなかった。
シンは二人を追って岩を登り始めた。
岩の上から眺めた北エリアは、東エリアとさほど風景が変わらないように見えた。高い柵で区切ってあるだけだ。
岩の下の離れたところに騎士二人がいるのが見えて、シンはほっと息をついた。
「えっ?」
騎士二人の前に何か生き物がいる。それに気づいて再び身体がこわばる。
それは黒と白の模様をした野生の獏だった。
「三匹で充分じゃねえの?」
というEクラスの騎士の言葉は黙殺され、もう一人の魔法使いは試験が始まってから一言も喋っていない。
「森の中の方が魔物が強いって話だ」
「強いっていっても大したことないだろ」
話しながら移動する騎士に、シンはついていくのが精一杯だった。騎士達はみんな体格が良く、それなりに筋肉が付いている。歩き回ることに慣れていて歩くのも速い。魔法の呪文や種類を覚えたり、勉強ばかりしている魔法使いとは体力が違う。
シンは実技試験が終わったら体力トレーニングもしようと心に決めた。
森に入ってしばらく歩くと、岩肌とフェンスが見えてきた。大きな岩がごつごつと並んでいて、間はフェンスで区切られている。
「もしかして、エリアの境界じゃないのか?」
シンももらった地図を開いてみた。自分たちはどうも北エリアとの境界にいるみたいだ。行き止まりだったので戻るしかないと思ったのは何故かシンだけだった。
「ちょっと柵を超えてみようぜ」
自称リーダーの言葉にシンは耳を疑う。
「いいな。東エリアの魔物弱すぎるしな」
「面倒くせえよ。ここでずっと休憩しようぜ」
騎士達が言い争っている。シンはおずおずと口論に参加した。
「あの……エリアは超えない方がいいと思います。地図もないし、怪我をしても僕の魔法じゃ……」
「うるせえな。臆病者は黙ってろ。リーダーは俺だって言っただろうが」
「でも、治療するのは僕だから……」
勇気を出して言うと、自称リーダーに襟首を掴まれた。Aクラスの魔法使い達に魔法書をボロボロにされた時の事を思い出して身体がすくむ。
「俺だって本当は北エリアに行ける実力があるんだよ。入学試験じゃ体調が悪かっただけだ。本当ならAかBクラスなんだよ」
それだけ言うと、騎士は岩を登り始めた。
「確かに北エリア、ちょっと興味あるよな」ともう一人の騎士がそれに続く。
「待ってください!」
シンが引き止めようと声をかけると、魔法使いに肩を叩かれた。
「放っておけば? 付き合う必要ないと思うね」
「そうだよ。俺たちの迷惑も顧みずに行ったんだ。そのうち痛い目にあって戻ってくるさ」
「でも……」
サイラスに、どんなに嫌いな相手でもチームはバラバラに行動するなと言われた事を思い出した。こんな事では絶対にいい成績は貰えない。嫌いな騎士二人でも放っておけなかった。
シンは二人を追って岩を登り始めた。
岩の上から眺めた北エリアは、東エリアとさほど風景が変わらないように見えた。高い柵で区切ってあるだけだ。
岩の下の離れたところに騎士二人がいるのが見えて、シンはほっと息をついた。
「えっ?」
騎士二人の前に何か生き物がいる。それに気づいて再び身体がこわばる。
それは黒と白の模様をした野生の獏だった。