6 実技試験
「よろしくお願いします……」
ハンスは自分のチームをやばいと言っていたが、シンも自分のチームはやばい部類に入るような気がしていた。
顔合わせのために部屋に集合したチームメンバーは、怖そうな外見の騎士とやる気のなさそうな騎士、それに一言も口を聞かない魔法使いだ。
「俺が一番順位が上だから、当然オレがリーダーな」
怖そうな騎士がそう言うので順位をみれば、たしかにシンより上の118位だ。
「……偉そうにしやがって」
「なんか言ったか? 順位低いくせに文句があるってのか?」
もう一人の怖そうな騎士がケンカを売り、最初から険悪な空気が広がる。
「あの……協力して頑張りましょう」
「なんだテメェ、変な髪の色だな」
「実技試験なんてやってられねぇよ」
「そもそもなんで女がいないんだよ。魔法使いなら女だろ」
ガラの悪そうな騎士と話すのはあきらめて、シンはもう一人の魔法使いに話しかけた。
「君は治療士?」
口をきかなかった魔法使いは、ちらっとシンを見ると魔法書を取り出した。色は赤で数ページしかない。
「僕が持ってるの、火の玉の魔法だけなんで」
「でも、各チームに一人は治療士がいるって」
「だからアンタが持ってるんじゃないの?」
シンははっとした。確かに簡単な治癒呪文を覚えて本に入れてはいるが、そんなに強い呪文でもない。魔法書の色の系統と違う魔法は覚えにくく、効果も薄い。だからまさか自分が治療役だとは夢にも思わなかったのだ。
だが、治療士の数には限りがあるのでCクラスやDクラス以下のチームには配属できないのかもしれなかった。
***
「僕、自信なくなってきたよ」
「オイラも」
シンとハンスはその日の夜、ハンスの部屋でお互いの愚痴を言い合った。
「オイラのチームの騎士は弱そうな奴ばっかり。魔法使いもオイラと変わらないページ数でさあ。一番弱い魔物一匹倒せばいいか、なんて話してるんだぜ? もうダメだよ」
二人は重いため息を吐き、それから少しでも何か対策を取ろうと、もらった地図を開いた。
実技試験の行われる森は都の外れにある学園の私有地で、魔物の強さによって東西南北にエリア分けされている。シン達が入るのは弱い魔物が生息している東エリアだ。
シンは地図を眺め、生息する魔物の特徴や弱点を事前に出来るだけ調べておく事にした。
シンが部屋に戻ると、サイラス委員長が軽食を作っていた。
シンはほとんど使わないキッチンだが、サイラスはよく利用している。学園内には食材を豊富に取り揃えたお店もあるので、技術とお金があればそこそこの料理も作れるのだ。
シンはサイラスが片手に持っている地図を見て驚いた。
「委員長は北のエリアに入るんですか?」
北のエリアは最も強い魔物が出ると言われている。もちろん入るのはAクラスの人間がほとんどだ。
「そうだ。僕のチームのメンバーはほぼAクラスかBクラスだからな。僕が一番低い順位だ」
「それは大変ですね……」
シンがそう言うと、委員長はメガネをキラリと光らせた。
「大変なものか。いいか、実戦では順位などより頭の良さ、つまり状況判断力が物をいう。僕はCクラスだが、チームの誰よりうまく戦いを組み立てられると自負している。足手まといになるつもりはない」
兄さんといいユーリといい僕の周りは自信たっぷりな人ばかりだ……とシンは思った。だが、戦いを組み立てるという単語に惹かれてつい質問してしまう。
「あの、僕のチームはみんな協力的じゃないし、僕が治療士役みたいなんですけど、どうしたらいいでしょうか?」
ハンスは自分のチームをやばいと言っていたが、シンも自分のチームはやばい部類に入るような気がしていた。
顔合わせのために部屋に集合したチームメンバーは、怖そうな外見の騎士とやる気のなさそうな騎士、それに一言も口を聞かない魔法使いだ。
「俺が一番順位が上だから、当然オレがリーダーな」
怖そうな騎士がそう言うので順位をみれば、たしかにシンより上の118位だ。
「……偉そうにしやがって」
「なんか言ったか? 順位低いくせに文句があるってのか?」
もう一人の怖そうな騎士がケンカを売り、最初から険悪な空気が広がる。
「あの……協力して頑張りましょう」
「なんだテメェ、変な髪の色だな」
「実技試験なんてやってられねぇよ」
「そもそもなんで女がいないんだよ。魔法使いなら女だろ」
ガラの悪そうな騎士と話すのはあきらめて、シンはもう一人の魔法使いに話しかけた。
「君は治療士?」
口をきかなかった魔法使いは、ちらっとシンを見ると魔法書を取り出した。色は赤で数ページしかない。
「僕が持ってるの、火の玉の魔法だけなんで」
「でも、各チームに一人は治療士がいるって」
「だからアンタが持ってるんじゃないの?」
シンははっとした。確かに簡単な治癒呪文を覚えて本に入れてはいるが、そんなに強い呪文でもない。魔法書の色の系統と違う魔法は覚えにくく、効果も薄い。だからまさか自分が治療役だとは夢にも思わなかったのだ。
だが、治療士の数には限りがあるのでCクラスやDクラス以下のチームには配属できないのかもしれなかった。
***
「僕、自信なくなってきたよ」
「オイラも」
シンとハンスはその日の夜、ハンスの部屋でお互いの愚痴を言い合った。
「オイラのチームの騎士は弱そうな奴ばっかり。魔法使いもオイラと変わらないページ数でさあ。一番弱い魔物一匹倒せばいいか、なんて話してるんだぜ? もうダメだよ」
二人は重いため息を吐き、それから少しでも何か対策を取ろうと、もらった地図を開いた。
実技試験の行われる森は都の外れにある学園の私有地で、魔物の強さによって東西南北にエリア分けされている。シン達が入るのは弱い魔物が生息している東エリアだ。
シンは地図を眺め、生息する魔物の特徴や弱点を事前に出来るだけ調べておく事にした。
シンが部屋に戻ると、サイラス委員長が軽食を作っていた。
シンはほとんど使わないキッチンだが、サイラスはよく利用している。学園内には食材を豊富に取り揃えたお店もあるので、技術とお金があればそこそこの料理も作れるのだ。
シンはサイラスが片手に持っている地図を見て驚いた。
「委員長は北のエリアに入るんですか?」
北のエリアは最も強い魔物が出ると言われている。もちろん入るのはAクラスの人間がほとんどだ。
「そうだ。僕のチームのメンバーはほぼAクラスかBクラスだからな。僕が一番低い順位だ」
「それは大変ですね……」
シンがそう言うと、委員長はメガネをキラリと光らせた。
「大変なものか。いいか、実戦では順位などより頭の良さ、つまり状況判断力が物をいう。僕はCクラスだが、チームの誰よりうまく戦いを組み立てられると自負している。足手まといになるつもりはない」
兄さんといいユーリといい僕の周りは自信たっぷりな人ばかりだ……とシンは思った。だが、戦いを組み立てるという単語に惹かれてつい質問してしまう。
「あの、僕のチームはみんな協力的じゃないし、僕が治療士役みたいなんですけど、どうしたらいいでしょうか?」