5 専属の騎士
「気に入ったかい?君ならきっと気にいると思ったよ」
黒という色が、武器にも防具にもあまり使われていないのは知っている。人気があるのは騎士なら銀色、魔法使いならえんじ色だったはずで、それは伝説の魔法使いや騎士がその色をまとっているからだ。学園の建物も制服もそれらの色がふんだんに使われている。
なぜ黒が人気がないのかは知らなかったが、アルフレッドは黒が好きだった。弟の目と髪の色だ。
「手にとってみるかい?」
「これも伝説の武器なのですか?」
「そうだよ。呪いはかかっていないから安心したまえ」
理事長はそういうと、ガラスのケースを開いて中からそのシンプルな剣を取り出した。
アルフレッドが受け取ると、それは想像していたよりずっと軽かった。練習で使っていた剣よりは少し長いが、扱うのはそれほど難しくなさそうだ。真っ黒な鞘と真っ黒な刃は吸い込まれるような美しさがあった。
「私はね、君ならこの剣を扱うにふさわしいと思っているんだよ。正式な騎士となった時に、ぜひ受け継いで欲しいと」
「ありがとうございます」
理事長の真意は分からないが、アルフレッドはその剣が気に入ったので、理事長の申し出を受けておく事にした。
「この剣はね、竜殺しの剣と言われているんだ。その名の通り硬い皮膚や鱗を持つ竜を切ることが出来ると言われている」
「竜……」
竜というのはこの世界で最強と言われている生き物だ。だが、個体数が少なく滅多に人前に姿を見せる事はない。もっとも、姿を見た時は死を覚悟しろと言われているような生き物だが。
「竜はもうほとんど滅びたと思っていましたが、竜が切れるのなら、ほかのどんな魔物にも対応出来そうですね」
アルフレッドがそう言うと、理事長はくすりと笑った。
「竜は滅びてはいないよ。人前に姿を見せないだけだ。どこの国も竜に高い賞金をかけていて、王宮にいれば、数年に一度はどこの国が一頭倒したとかいう噂を聞く」
「そうなのですか」
それはアルフレッドには初耳だった。国が賞金をかけていることも知らなかった。
「魔物と違って被害が多い訳でもないのに、なぜ高い賞金を?」
「それは竜の高い魔力に惹かれているからだね。竜は爪や鱗の一つ一つにまで、高い魔力を保持している。それらはあらゆる魔法具に使用できる」
「なるほど」
「それにね、竜の生き血を飲むと、不老不死になれるという噂だ」
「不老不死……ですか」
アルフレッドの頭には、若くなりたい、死にたくないと願う貴族や王族の姿が浮かんだ。自分が永遠に生きたいがために、騎士や魔法使いに、出会うと死ぬと言われている竜を狩らせているのだ。沢山の犠牲者が出ても気にもかけないだろう。いかにも身分の高い人々のやりそうな事だ。
そしてこの理事長は、王族や貴族達のそんな願いを叶えるために、アルフレッドに騎士として命をかけてその命令に従えと言っているのだ。
「アルフレッド君、この剣が授けられると言うのはとても名誉な事なんだよ」
「そうですね。私も学園を卒業して正式な騎士となったあかつきには、父のように王族や理事長のお役に立ちたいと思います」
アルフレッドは笑顔を浮かべて心にもない言葉を吐いた。
「君は父親に似て頭がいい。強くて従順な生徒で本当に助かるよ」
この時、まだアルフレッドは理事長の真意に気づいていなかった。剣を授けると言った本当の意味も。
黒という色が、武器にも防具にもあまり使われていないのは知っている。人気があるのは騎士なら銀色、魔法使いならえんじ色だったはずで、それは伝説の魔法使いや騎士がその色をまとっているからだ。学園の建物も制服もそれらの色がふんだんに使われている。
なぜ黒が人気がないのかは知らなかったが、アルフレッドは黒が好きだった。弟の目と髪の色だ。
「手にとってみるかい?」
「これも伝説の武器なのですか?」
「そうだよ。呪いはかかっていないから安心したまえ」
理事長はそういうと、ガラスのケースを開いて中からそのシンプルな剣を取り出した。
アルフレッドが受け取ると、それは想像していたよりずっと軽かった。練習で使っていた剣よりは少し長いが、扱うのはそれほど難しくなさそうだ。真っ黒な鞘と真っ黒な刃は吸い込まれるような美しさがあった。
「私はね、君ならこの剣を扱うにふさわしいと思っているんだよ。正式な騎士となった時に、ぜひ受け継いで欲しいと」
「ありがとうございます」
理事長の真意は分からないが、アルフレッドはその剣が気に入ったので、理事長の申し出を受けておく事にした。
「この剣はね、竜殺しの剣と言われているんだ。その名の通り硬い皮膚や鱗を持つ竜を切ることが出来ると言われている」
「竜……」
竜というのはこの世界で最強と言われている生き物だ。だが、個体数が少なく滅多に人前に姿を見せる事はない。もっとも、姿を見た時は死を覚悟しろと言われているような生き物だが。
「竜はもうほとんど滅びたと思っていましたが、竜が切れるのなら、ほかのどんな魔物にも対応出来そうですね」
アルフレッドがそう言うと、理事長はくすりと笑った。
「竜は滅びてはいないよ。人前に姿を見せないだけだ。どこの国も竜に高い賞金をかけていて、王宮にいれば、数年に一度はどこの国が一頭倒したとかいう噂を聞く」
「そうなのですか」
それはアルフレッドには初耳だった。国が賞金をかけていることも知らなかった。
「魔物と違って被害が多い訳でもないのに、なぜ高い賞金を?」
「それは竜の高い魔力に惹かれているからだね。竜は爪や鱗の一つ一つにまで、高い魔力を保持している。それらはあらゆる魔法具に使用できる」
「なるほど」
「それにね、竜の生き血を飲むと、不老不死になれるという噂だ」
「不老不死……ですか」
アルフレッドの頭には、若くなりたい、死にたくないと願う貴族や王族の姿が浮かんだ。自分が永遠に生きたいがために、騎士や魔法使いに、出会うと死ぬと言われている竜を狩らせているのだ。沢山の犠牲者が出ても気にもかけないだろう。いかにも身分の高い人々のやりそうな事だ。
そしてこの理事長は、王族や貴族達のそんな願いを叶えるために、アルフレッドに騎士として命をかけてその命令に従えと言っているのだ。
「アルフレッド君、この剣が授けられると言うのはとても名誉な事なんだよ」
「そうですね。私も学園を卒業して正式な騎士となったあかつきには、父のように王族や理事長のお役に立ちたいと思います」
アルフレッドは笑顔を浮かべて心にもない言葉を吐いた。
「君は父親に似て頭がいい。強くて従順な生徒で本当に助かるよ」
この時、まだアルフレッドは理事長の真意に気づいていなかった。剣を授けると言った本当の意味も。