4 魔法書の秘密
***
シンとハンス達候補生は順調に授業を受け、魔法を増やしていった。
数日ごとに廊下や講堂に張り出される講義の内容をノートに書き出して、次に何を受けるか計画を立てる。
シンの魔法書には最初に火花の魔法が、次のページには一番簡単な治癒の魔法が追加されていた。
ハンスは相手を眠らせる魔法を最初のページに加えていた。
「これで弟達や妹達を寝かしつけられるよ」と笑って言ってたけど、シンは彼が相当悩んでその魔法にした事をよく知っていた。
ナタリーも順調に治癒魔法と軽い状態異常を回復する呪文を習得しているみたいだった。
「ついに1回目の合同の実技試験だってさ」
入学してから3ヶ月目、毎年この時期に開催される実技試験の日程が掲示板に張り出されて、候補生達に緊張と興奮が走る。
合同の実技試験は、普段の魔法の練習や体力作り、発声練習の試験とは全く違い、騎士と合同でチームを組み実戦で行われる試験の事だ。
チームはレベルが同じくらいの騎士と魔法使いがランダムに組み、近くにある弱い魔物が生息する森で行われる事になっている。そしてこの1回目の実技試験は進級に大きく関わってくるのだ。
「試験までにあと1つくらいは魔法を覚えたいな」
「オイラも。さすがに1つで実技試験はきついよ」
ハンスの魔法書のページは1ページ増えていたが、残りあと5枚な事に変わりはない。シンのページはまだ余裕があったので、できれば火花よりもう少し強力な攻撃魔法を覚えたいと思っていた。
その日の夕方、シンは久しぶりにカフェで兄と会った。
最近はずっとすれ違いになっていて、日付を決めても会えない事の方が多い。
司書のお姉さんとはすっかり顔見知りになってしまい、シンを見ればいつも
「今日はお待ちですよ」とか
「今日は来られないみたい」とか教えてくれるようになった。
たまに「ユーリさんがいらしてます」と教えてくれるので、そういう時は申し訳ないけど会わずにこっそり帰るようにしている。
今日はシンを見てにっこり微笑んでくれたので、会えると思って急いでカフェに行くと、兄以外に何故か二人も同席している男がいた。
「やあ、シン君」
笑顔で手を振るユーリと、苦虫を噛み潰したような表情の兄、それから初めて会う金髪の男の人。着ている銀の制服で騎士候補生だと分かる。髪の毛が癖毛なのかボリュームがあってフワフワしている。
「噂の弟君に会えて嬉しいよ!」
兄の肩にベタベタとくっついて仲が良さそうなその騎士候補生の名札には
『レオンハルト 25』の文字が記載されていた。
今日は新しくもらった魔法書と、中の魔法を兄に見てもらおうかと思ったけど、それはどうやら無理のようだ。騎士候補生だけならともかく、学年1位のユーリの前でささやかな火花の魔法なんてとても見せられない。それに万が一ページ交換をした事を兄に知られたら困る。別にやましいことでも何でもないのだが。
シンとハンス達候補生は順調に授業を受け、魔法を増やしていった。
数日ごとに廊下や講堂に張り出される講義の内容をノートに書き出して、次に何を受けるか計画を立てる。
シンの魔法書には最初に火花の魔法が、次のページには一番簡単な治癒の魔法が追加されていた。
ハンスは相手を眠らせる魔法を最初のページに加えていた。
「これで弟達や妹達を寝かしつけられるよ」と笑って言ってたけど、シンは彼が相当悩んでその魔法にした事をよく知っていた。
ナタリーも順調に治癒魔法と軽い状態異常を回復する呪文を習得しているみたいだった。
「ついに1回目の合同の実技試験だってさ」
入学してから3ヶ月目、毎年この時期に開催される実技試験の日程が掲示板に張り出されて、候補生達に緊張と興奮が走る。
合同の実技試験は、普段の魔法の練習や体力作り、発声練習の試験とは全く違い、騎士と合同でチームを組み実戦で行われる試験の事だ。
チームはレベルが同じくらいの騎士と魔法使いがランダムに組み、近くにある弱い魔物が生息する森で行われる事になっている。そしてこの1回目の実技試験は進級に大きく関わってくるのだ。
「試験までにあと1つくらいは魔法を覚えたいな」
「オイラも。さすがに1つで実技試験はきついよ」
ハンスの魔法書のページは1ページ増えていたが、残りあと5枚な事に変わりはない。シンのページはまだ余裕があったので、できれば火花よりもう少し強力な攻撃魔法を覚えたいと思っていた。
その日の夕方、シンは久しぶりにカフェで兄と会った。
最近はずっとすれ違いになっていて、日付を決めても会えない事の方が多い。
司書のお姉さんとはすっかり顔見知りになってしまい、シンを見ればいつも
「今日はお待ちですよ」とか
「今日は来られないみたい」とか教えてくれるようになった。
たまに「ユーリさんがいらしてます」と教えてくれるので、そういう時は申し訳ないけど会わずにこっそり帰るようにしている。
今日はシンを見てにっこり微笑んでくれたので、会えると思って急いでカフェに行くと、兄以外に何故か二人も同席している男がいた。
「やあ、シン君」
笑顔で手を振るユーリと、苦虫を噛み潰したような表情の兄、それから初めて会う金髪の男の人。着ている銀の制服で騎士候補生だと分かる。髪の毛が癖毛なのかボリュームがあってフワフワしている。
「噂の弟君に会えて嬉しいよ!」
兄の肩にベタベタとくっついて仲が良さそうなその騎士候補生の名札には
『レオンハルト 25』の文字が記載されていた。
今日は新しくもらった魔法書と、中の魔法を兄に見てもらおうかと思ったけど、それはどうやら無理のようだ。騎士候補生だけならともかく、学年1位のユーリの前でささやかな火花の魔法なんてとても見せられない。それに万が一ページ交換をした事を兄に知られたら困る。別にやましいことでも何でもないのだが。