4 魔法書の秘密
魔法書を貰ってから、どうしても兄に報告したくなったシンは、約束したわけでもないのにバンブーカフェに向かった。
いつもなら何か本を借りたり勉強したりするけど今日は落ち着かなくて何も借りていない。魔法書を貰えただけで一流の魔法使いになれた気がした。
最初にページに載せるのは、火花の魔法にしようと決める。兄さんが綺麗だと言ってくれたあの魔法。そしていつでも見せてあげるんだ。
わくわくしながら待っていたけど、約束していないから当然アルフレッドは来なかった。シンは知らなかったが、この時アルフレッドは王宮のパーティーに呼ばれる関係で教師や上級生と事前に衣装や挨拶の打ち合わせをしていた。
カフェで紅茶を二杯飲み、お腹がいっぱいになって仕方なく今日会う事は諦める。
明日も来てみようか、でも明日はハンスと勉強の日だし……。
少しがっかりして席を立とうとすると、隣に誰かが座った。
「にい……」
「やあ」
兄ではなかった。
隣にいたのはサラサラの髪に印象的な紫色の目をした整った顔の男の人。学年1位のユーリだ。
「……あの」
「シン=バージェス君だよね?」
「はい」
「僕はユーリ=ブライシスだよ。よろしくね」
相手は覚えていないかも知れないが、シンは一度図書館でユーリに会ったことを覚えていた。もちろん試験の時に鮮やかな魔法を使ったことも知っている。なぜ彼が声をかけてきたのかは分からなかった。
「もしかして、お兄さんを待っているのかな。今日は来ないよ」
「……」
1位の人間の迫力とでもいうのだろうか、ユーリの雰囲気がシンには少し苦手だった。余裕や自信に溢れているように見える。
「そんなに警戒しないでよ。僕、君のお兄さんとは親しいから、君のことも知ってるんだ」
「そう、なんですか?」
接点が見当たらなかったが、よく考えたらユーリはアルフレッドと同じ順位だから話すこともあるのだろう。この調子でいけば、当然兄とユーリは同じチームになる事が予想される。
「君とあまり会えなくて、お兄さん悲しんでたよ」
そこでユーリはシンが持っていた魔法書に目をとめた。
「Cクラスも今日貰ったんだね。見てもいい?」
魔法書は魔法使いの財産だ。あまり他人に渡したくは無かったけど、学年1位に逆らえる気がしない。しぶしぶ表紙を見せるとユーリは笑った。
「僕と同じだ。綺麗な赤色だね」
ユーリはベルトに付いている小さな鞄から赤い魔法書を取り出した。一流になれば魔法書自体を召喚できるらしいが、候補生にはまだ無理だから魔法書を入れておく鞄や付属のベルトが売られている。女の子達が鞄のデザインを真剣に悩んでいるのをシンも知っていた。
「ページ数も同じくらいじゃない? すごいね、君。なかなかいないよ?」
「え?」
確かにユーリの魔法書もシンの魔法書ととても似た色で、ページ数も同じくらいだった。金色の縁取りが入っているのも同じだ。
「新入生なら10ページあれば優秀な方だよ。増え方にもよるけど」
「そうなんですか」
「ねえ、僕とページ交換しようよ」
この申し出にシンは面食らった。
ページ交換というのは、とても親しい魔法使いや恋人同士の魔法使いがする儀式みたいなものだ。相手のページを持っていれば、遠く離れていてもいざという時に場所を追跡出来るし、万が一相手が命を落とした場合そのページが消えて無くなる事でそれを知る事が出来る。
「あの、先生がページ交換はするなって……」
「僕たちくらいページ数があれば問題ないよ」
言うなりユーリは自分の魔法書からペリッと最後のページを破りとった。そしてシンに差し出す。
「貰ってよ。そして君のページも貰えると嬉しいな」
いつもなら何か本を借りたり勉強したりするけど今日は落ち着かなくて何も借りていない。魔法書を貰えただけで一流の魔法使いになれた気がした。
最初にページに載せるのは、火花の魔法にしようと決める。兄さんが綺麗だと言ってくれたあの魔法。そしていつでも見せてあげるんだ。
わくわくしながら待っていたけど、約束していないから当然アルフレッドは来なかった。シンは知らなかったが、この時アルフレッドは王宮のパーティーに呼ばれる関係で教師や上級生と事前に衣装や挨拶の打ち合わせをしていた。
カフェで紅茶を二杯飲み、お腹がいっぱいになって仕方なく今日会う事は諦める。
明日も来てみようか、でも明日はハンスと勉強の日だし……。
少しがっかりして席を立とうとすると、隣に誰かが座った。
「にい……」
「やあ」
兄ではなかった。
隣にいたのはサラサラの髪に印象的な紫色の目をした整った顔の男の人。学年1位のユーリだ。
「……あの」
「シン=バージェス君だよね?」
「はい」
「僕はユーリ=ブライシスだよ。よろしくね」
相手は覚えていないかも知れないが、シンは一度図書館でユーリに会ったことを覚えていた。もちろん試験の時に鮮やかな魔法を使ったことも知っている。なぜ彼が声をかけてきたのかは分からなかった。
「もしかして、お兄さんを待っているのかな。今日は来ないよ」
「……」
1位の人間の迫力とでもいうのだろうか、ユーリの雰囲気がシンには少し苦手だった。余裕や自信に溢れているように見える。
「そんなに警戒しないでよ。僕、君のお兄さんとは親しいから、君のことも知ってるんだ」
「そう、なんですか?」
接点が見当たらなかったが、よく考えたらユーリはアルフレッドと同じ順位だから話すこともあるのだろう。この調子でいけば、当然兄とユーリは同じチームになる事が予想される。
「君とあまり会えなくて、お兄さん悲しんでたよ」
そこでユーリはシンが持っていた魔法書に目をとめた。
「Cクラスも今日貰ったんだね。見てもいい?」
魔法書は魔法使いの財産だ。あまり他人に渡したくは無かったけど、学年1位に逆らえる気がしない。しぶしぶ表紙を見せるとユーリは笑った。
「僕と同じだ。綺麗な赤色だね」
ユーリはベルトに付いている小さな鞄から赤い魔法書を取り出した。一流になれば魔法書自体を召喚できるらしいが、候補生にはまだ無理だから魔法書を入れておく鞄や付属のベルトが売られている。女の子達が鞄のデザインを真剣に悩んでいるのをシンも知っていた。
「ページ数も同じくらいじゃない? すごいね、君。なかなかいないよ?」
「え?」
確かにユーリの魔法書もシンの魔法書ととても似た色で、ページ数も同じくらいだった。金色の縁取りが入っているのも同じだ。
「新入生なら10ページあれば優秀な方だよ。増え方にもよるけど」
「そうなんですか」
「ねえ、僕とページ交換しようよ」
この申し出にシンは面食らった。
ページ交換というのは、とても親しい魔法使いや恋人同士の魔法使いがする儀式みたいなものだ。相手のページを持っていれば、遠く離れていてもいざという時に場所を追跡出来るし、万が一相手が命を落とした場合そのページが消えて無くなる事でそれを知る事が出来る。
「あの、先生がページ交換はするなって……」
「僕たちくらいページ数があれば問題ないよ」
言うなりユーリは自分の魔法書からペリッと最後のページを破りとった。そしてシンに差し出す。
「貰ってよ。そして君のページも貰えると嬉しいな」