4 魔法書の秘密

「それじゃあね、兄さん。怪我しないでね」

 手を振るシンと別れて、アルフレッドはバンブーカフェを後にした。
 図書館を出た途端、よく知った男に飛びつかれる。

「よっ、アルフ!見たぞお前、あれが噂の弟か」
「騒ぐな。まとわりつくな」

 飛びついてきたのは金髪爆発ヘアーの男、幼なじみのレオンハルトだ。
そもそもアルフレッドに気軽に飛びついてくる男は彼くらいしかいない。

 レオンハルトはアルフレッドと同じAクラスで、名前の横のナンバーは25。この順位に関して、アルフレッドは入学後からずっと疑問に思っていた。そして何度も

「お前が25なんて信じられないな」
「何でだよ」
「お前みたいな馬鹿が、25って。親の権力で順位を操作しただろ」
「知らねーよ。でも親父ならやりかねないな。アハハ。結局、騎士に頭の良さは必要ないって事なんじゃねえの?」
「そう……なのかもな」
という会話を交わしていた。

「お前、何でここにいるんだよ」
「いや、アルフが大好き~~な弟の顔が一度見たくてさ。でも全然似てないんだなー。髪の色、真っ黒だぜ? お前の赤も強烈だけど、黒もすげえな。魔法に失敗したのか?」

 レオンハルトが言うと、アルフレッドが蹴りを入れてきたので、咄嗟にかわす。

「何怒ってんだよ。怖っ」
「お前にだって妹がいるから分かるだろう。あのませた妹を侮辱されたらキレるだろ?」

 アルフレッドの言う通り、レオンハルトには妹がいた。口が悪くてませた妹だが、年が離れているためレオンハルト含め家族全員で溺愛している。

「確かに……そう言われると嫌だな。俺が悪かったよ、アルフ」

 素直に謝ると、アルフレッドはため息をついた。

「弟が……会う回数を減らしてもいいと言ってきた。兄の俺が邪魔なんだろうか」
「え? もしかしてショックなのか?」
「シンは今まで俺のことが一番好きで、どこにいくにもついてきてたのに、魔法使いの友達もできて楽しそうにしてた。もう俺は必要ないんじゃないかと思うと寂しいんだよ」

 いつでも自信に溢れている学年一位の男が、弟の兄離れで落ち込んでいる姿がおかしくてレオンハルトは必死に笑いをこらえた。

「元気出せって。お前が忙しいから気を使ってんじゃないのか? 友達できたんなら良かったじゃないか」

 慰めてはみたけど、アルフレッドにはあまり響いてなさそうだった。
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