3 新しい生活

 シンは夕食後ハンスと別れ、部屋に戻ってシャワーを浴びる事にした。寮の敷地内には大きな浴室もいくつかあるみたいだが、予約制でほとんど上級生が使うから一年生は当分使えない。シンは卒業まで部屋のシャワーでも気にならなかったが、サイラス委員会とは共同なので、彼の後の方がいいだろうと思った。彼の方が順位がシンより上だし、後の方が気を使わなくていい。

 部屋に戻ると委員長は先に帰って来ていた。入り口の扉を開けたら、共同のキッチンにいた委員長と目が合う。委員長は簡単な料理を作っていたみたいだ。

「あ、こんばんは。あの、昨日は夜起こしてしまってごめんなさい。シャワー終わったら教えてください」

 委員長は眼鏡の奥からじっとシンを見た。

「食堂に行っていたのか?」
「あ、はい」
「ユーシス……」
「え?」
「いや、理事長に会ったか?」
「スピーチの時に拝見しましたけど」
「そうか。ならいい」
「あの……理事長がどうかしたんですか?」

 シンにとって怖いイメージしかない理事長の事を、委員長は何か知っているのだろうか。

「シャワーならもう浴びた」

 委員長はそれだけ言うと、飲み物と皿を持って自分の部屋に入り、扉をしめてしまった。同い年だが、委員長と話すのは何故か緊張感がある。委員長との間で会話が弾む事はこの先もなさそうだと思いながら、シンはなるべく静かに自分の部屋に戻った。

 今日図書館に行けなかった事がシンは少しだけ気になっていた。さすがに昨日会ったばかりだし、アルフレッドは二日に一回くらい顔を出すと言ってたから今日は来ていないと思うが、もしも待たせていたら兄に申し訳ない。
 それでなくても委員会なんかで忙しいだろうから明日図書館に行ってちゃんと会う曜日を決めておこうと思った。会ったら新しく出来た友達の事も話をして、兄が話題になってることも話そうと決めた。でも獏に触った話や、何故か怖かった理事長の話は止めておこう。心配するだろうから。

シンはなるべく静かにシャワーを浴びて、明日の準備をして眠りについた。
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