3 新しい生活

***

 冷や汗ばかりかいていた入学式がようやく終わった。アルフレッドが自分の事を話すと思わなくて、シンはずっとドキドキしていた。
 教室に戻った後も、ナタリー達女の子が噂話をしてる。

「アルフレッド様の弟って、やっぱりAクラスなのかな」
「赤い髪の男の人、Aクラスにはいなかったわよ」
「BとEにはいたけど、あんまり顔が似てなかったわ」

 いつの間にかアルフレッドは皆に様付けで呼ばれてる。そして弟が魔法使いクラスにいるという事がかなり話題になっていた。

 弟を探してどうするつもりなんだろうとシンは不安になった。顔が見たいだけなのか、それとも兄を紹介して欲しいのだろうか。
ただ、名札には名前しか書かれていないから、血縁関係や家柄は自分から名乗らない限り分からない。
 確かに父親は王宮で騎士をやっていると聞いた事があったが、そんなに有名な家だとは思ってもみなかった。

「赤い髪とは限らないんじゃない?」
「双子じゃないのかも。ほら……妾に生ませた子とか」
「だから魔法使いなのかな」
「似てなかったら探しようがないじゃない。聞いて回る訳にもいかないし」

 シンはだんだん噂話を聞くことが苦痛になってきた。でも嫌でも耳に入ってくる。

「みんな好き勝手な事言うよな」
「うん……」

 ハンスが呆れてる。
 シンはこの空気の中、とても名乗る勇気が無かったので黙っていたが、幸い担任の先生が戻ってきて教室はすぐに静かになった。

***

 明日の時間割を聞いた後は解散になった。
 といってもみんな寮生活だから、寮に戻るしかない。ナタリー達女の子は弟と将来有望な候補生を探す為に各クラスを回る事にしたらしい。
 シンはハンスに部屋に誘われたけど、ジオ先生に警備室に呼ばれていた事を思い出して、ハンスと夕食に行く約束をして別れた。

 いろいろ考える事はあるけど、初日から友達が出来るなんて思わなかったからシンにはそこがとても嬉しい。ずっと一人で食事をとらないといけないと思っていたのだ。

 シンが警備室兼研究室をノックすると、勝手にドアが開いた。

「失礼します。ジオ先生いますか?……うっ」

 室内には先生はおらず、黒と白の獏が長椅子に寝そべっていた。触ると魔力をなくすという噂の。
 警戒して距離を保っていると、いきなり背後から声がして、背筋がぞわりとした。

「入学おめでとう……新入生のシン・バージェス君」

 ぽんと肩に手を置かれ、恐る恐る振り向くと、さっき姿を見たばかりの白髪の男性……ユーシス理事長が立っていた。
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