3 新しい生活
「どうした!?」
部屋に明かりがついて、委員長が入ってきた。
シンの悲鳴を聞きつけたらしい。ベッドの上にいる獏を見て驚愕の表情を浮かべる。
「……ば、獏?何故ここに」
それからシンに責めるような視線を向けてきた。悪夢の余韻に震えていたシンも、委員長の登場で少しだけ現実を思い出す。
「ち、違います。起きたら居たんです……」
委員長は獏から距離を取りながら、シンの部屋の窓を開けた。
「鍵が閉まっていない。ここから入ったんだな」
「でも、ここは二階です。どうやって上ってきたんですか?」
獏は空でも飛べるのだろうか。
「なら、どこから入ったと言うんだ。入口の扉は夜間魔法をかけているから開けば分かるはずだ。君が連れ込んだんじゃなければ、窓から入ったとしか考えられないだろう」
委員長はシンが獏を連れ込んだと思っているらしい。
「とにかく、教師に連絡する。そこにいろ」
「僕が連れて行きます」
シンがそう言ったと同時に、座っていた獏がすくっと立ち上がった。それを見て委員長がびくりと後ずさる。
「おい、そいつをこっちに向けるな」
委員長の態度に、獏が怖いのだろうかとシンは不思議に思った。たしかに獏は無表情だが、鋭い牙も角もなく、この獏は昼に見た獏より小さくて、多分子供だと思うのだが。動物が嫌いなだけかもしれない。
「とにかくここにじっとしていろ」
そう言い捨てて委員長は出て行った。
「……お前、どこから来たんだ?」
胸の上にいる獏にそう問いかけると、鼻をならしてシンの顔をじっと覗き込んできた。再び胸の上にどっしりと座る。重い。
動く気がなさそうなので、結局シンは委員長がジオ先生を連れてくるまでベッドに寝ていることになった。
***
「やあやあ、大丈夫かい?シン君」
ジオ先生がやってくると、子供の獏はあっさりと先生の腕の中に移動した。
「先生、すみません」
時刻はまだ夜明け前だ。
先生を起こしてしまって申し訳ない気持ちになる。それは同室の委員長にも言える事だが。
委員長は不機嫌な顔のまま、シンの部屋の入り口に立っている。
「いや、起きていたから大丈夫だよ。魔力取られなかった?」
魔力を取られる、という不穏な単語にシンの表情が変わる。
「分かりません」
先生はシンの額を撫でて、ほっと息を吐く。
「大丈夫みたいだね。何か変わった事があったら、いつでも言うんだよ」
「ありがとうございます」
「念のため、明日入学式の後で僕の研究室においで」
「分かりました」
ジオ先生は、子供の獏を連れて部屋を出て行った。
「委員長……すみません。起こしてしまって」
「君は初日からやってくれるな。頼むから、僕のクラスで面倒事をあまり起こさないでくれ。それから、獏をただの獣だと侮らない方がいい。触っただけで魔力を無くし、入学して一ヶ月で退学になった奴もいる」
シンは委員長の言葉に絶句した。だからあれほど避けていたのか。
「……じゃあ、ジオ先生は?」
「手袋をしていただろう。まあ、先生ほどの実力なら最低限の装備でなんとかなるという事だ」
自分の少ない魔力が無くなってしまったら大変だから、もう見かけても近寄らないようにしようとシンは決意した。といっても今日は向こうから勝手に近づいて来たのだが。
「……とにかく、ありがとうございました」
委員長は何も言わず、シンの部屋を出て行った。
部屋に明かりがついて、委員長が入ってきた。
シンの悲鳴を聞きつけたらしい。ベッドの上にいる獏を見て驚愕の表情を浮かべる。
「……ば、獏?何故ここに」
それからシンに責めるような視線を向けてきた。悪夢の余韻に震えていたシンも、委員長の登場で少しだけ現実を思い出す。
「ち、違います。起きたら居たんです……」
委員長は獏から距離を取りながら、シンの部屋の窓を開けた。
「鍵が閉まっていない。ここから入ったんだな」
「でも、ここは二階です。どうやって上ってきたんですか?」
獏は空でも飛べるのだろうか。
「なら、どこから入ったと言うんだ。入口の扉は夜間魔法をかけているから開けば分かるはずだ。君が連れ込んだんじゃなければ、窓から入ったとしか考えられないだろう」
委員長はシンが獏を連れ込んだと思っているらしい。
「とにかく、教師に連絡する。そこにいろ」
「僕が連れて行きます」
シンがそう言ったと同時に、座っていた獏がすくっと立ち上がった。それを見て委員長がびくりと後ずさる。
「おい、そいつをこっちに向けるな」
委員長の態度に、獏が怖いのだろうかとシンは不思議に思った。たしかに獏は無表情だが、鋭い牙も角もなく、この獏は昼に見た獏より小さくて、多分子供だと思うのだが。動物が嫌いなだけかもしれない。
「とにかくここにじっとしていろ」
そう言い捨てて委員長は出て行った。
「……お前、どこから来たんだ?」
胸の上にいる獏にそう問いかけると、鼻をならしてシンの顔をじっと覗き込んできた。再び胸の上にどっしりと座る。重い。
動く気がなさそうなので、結局シンは委員長がジオ先生を連れてくるまでベッドに寝ていることになった。
***
「やあやあ、大丈夫かい?シン君」
ジオ先生がやってくると、子供の獏はあっさりと先生の腕の中に移動した。
「先生、すみません」
時刻はまだ夜明け前だ。
先生を起こしてしまって申し訳ない気持ちになる。それは同室の委員長にも言える事だが。
委員長は不機嫌な顔のまま、シンの部屋の入り口に立っている。
「いや、起きていたから大丈夫だよ。魔力取られなかった?」
魔力を取られる、という不穏な単語にシンの表情が変わる。
「分かりません」
先生はシンの額を撫でて、ほっと息を吐く。
「大丈夫みたいだね。何か変わった事があったら、いつでも言うんだよ」
「ありがとうございます」
「念のため、明日入学式の後で僕の研究室においで」
「分かりました」
ジオ先生は、子供の獏を連れて部屋を出て行った。
「委員長……すみません。起こしてしまって」
「君は初日からやってくれるな。頼むから、僕のクラスで面倒事をあまり起こさないでくれ。それから、獏をただの獣だと侮らない方がいい。触っただけで魔力を無くし、入学して一ヶ月で退学になった奴もいる」
シンは委員長の言葉に絶句した。だからあれほど避けていたのか。
「……じゃあ、ジオ先生は?」
「手袋をしていただろう。まあ、先生ほどの実力なら最低限の装備でなんとかなるという事だ」
自分の少ない魔力が無くなってしまったら大変だから、もう見かけても近寄らないようにしようとシンは決意した。といっても今日は向こうから勝手に近づいて来たのだが。
「……とにかく、ありがとうございました」
委員長は何も言わず、シンの部屋を出て行った。