2 入学試験
***
入学試験の当日。
シンは馬車を降りると、試験会場に向かう受験生達を眺めた。たくさんの魔法使いの卵達。シンよりずっと優秀そうに見える。
「それではシンぼっちゃま、試験が終わる頃に迎えに参ります」
「あ、はいっ。お願いします」
シンは送ってくれた御者のおじさんに頭を下げて、試験会場を目指す。
魔法使いを目指す受験生は三百人近くいるらしい。魔力を持っている人は少ないから、あまり落とされる事もないという話だが、シンは自分に強い魔力があるとはどうしても思えなかった。セラに受験の実技対策で教わった魔法も、苦労してやっと完成したささやかなものだ。
「失敗しないようにしなきゃ……」
自分を育ててくれた父のためにも、騎士になった時サポートして欲しいと言ってくれた兄の為にも、シンは絶対試験に落ちるわけにはいかなかった。
自分に気合いを入れつつ建物の正面玄関にたどり着いた時、ふいに誰かの視線を感じた。
「?」
周りを見てみるけど、誰とも目が合わない。気のせいかと思って部屋に急ぐ。
会場には机が並べられ、大勢の受験生たちがすでに席についていた。
シンも空いている席に座って、最後の復習をするために魔法書を取り出す。
「……」
まただ。誰かの視線。
顔をあげると、斜め前の席に座っていた人が気まずそうに視線をそらした。よく見ると、何人かの受験生がシンの髪をじろじろと見ている。彼の黒い髪の色がよほど珍しいのだろうか。髪の色を見られる事には慣れているが、試験直前のせいで落ち着かない気分になった。
「……見ろよ、あいつの髪、真っ黒だぜ」
「魔法かな?」
「まさか、染めたんだろ?」
「何のアピールだよ」
そんな会話が聞こえてきて、シンは久々にかなりの居心地の悪さを味わった。いつもならアルフレッドがいるから平気なのに、一人だと何だか心細い。幸いすぐに試験監督の先生が部屋に入って来て、噂話も視線もなくなった。
入学試験の当日。
シンは馬車を降りると、試験会場に向かう受験生達を眺めた。たくさんの魔法使いの卵達。シンよりずっと優秀そうに見える。
「それではシンぼっちゃま、試験が終わる頃に迎えに参ります」
「あ、はいっ。お願いします」
シンは送ってくれた御者のおじさんに頭を下げて、試験会場を目指す。
魔法使いを目指す受験生は三百人近くいるらしい。魔力を持っている人は少ないから、あまり落とされる事もないという話だが、シンは自分に強い魔力があるとはどうしても思えなかった。セラに受験の実技対策で教わった魔法も、苦労してやっと完成したささやかなものだ。
「失敗しないようにしなきゃ……」
自分を育ててくれた父のためにも、騎士になった時サポートして欲しいと言ってくれた兄の為にも、シンは絶対試験に落ちるわけにはいかなかった。
自分に気合いを入れつつ建物の正面玄関にたどり着いた時、ふいに誰かの視線を感じた。
「?」
周りを見てみるけど、誰とも目が合わない。気のせいかと思って部屋に急ぐ。
会場には机が並べられ、大勢の受験生たちがすでに席についていた。
シンも空いている席に座って、最後の復習をするために魔法書を取り出す。
「……」
まただ。誰かの視線。
顔をあげると、斜め前の席に座っていた人が気まずそうに視線をそらした。よく見ると、何人かの受験生がシンの髪をじろじろと見ている。彼の黒い髪の色がよほど珍しいのだろうか。髪の色を見られる事には慣れているが、試験直前のせいで落ち着かない気分になった。
「……見ろよ、あいつの髪、真っ黒だぜ」
「魔法かな?」
「まさか、染めたんだろ?」
「何のアピールだよ」
そんな会話が聞こえてきて、シンは久々にかなりの居心地の悪さを味わった。いつもならアルフレッドがいるから平気なのに、一人だと何だか心細い。幸いすぐに試験監督の先生が部屋に入って来て、噂話も視線もなくなった。