第3話 赤い目
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出会った当時、花緒は優しくて世話焼きなだけの平凡な人間だった。
もちろん妖怪も見えていない。
けれど、ある時妖怪に襲われた夏目を助けようとして、その毒牙を目に受けてしまったのだ。
花緒からしたら、突風に吹かれて崖から落ちそうになった夏目を庇っただけだったのだが、運が悪かった。
夏目の命を奪うために奮われた、妖力の込められた爪は、花緒の両眼を抉った。
いや、物理的には害はない。
それだけは幸いだった。
それでも崖から落ちたのだから、花緒は病院へ運ばれたのだが、そこで目覚めた花緒の目は、赤く変色していたのだ。
検査の結果視力などに異常はなかったのだが、今まで見えなかったものが見えるようになっていると気づくのに、そう時間はかからなかった。
夏目はただ、謝ることしかできなかった。
自分のせいで、花緒の「普通の人生」を奪ってしまった。
幼いながらにそれを理解して、その重さに絶望した。
自分に泣く資格などない。
そう思っているのに、溢れてくる涙が止まらなかったのを覚えている。
そしてそんな夏目を見て、花緒はただ優しく笑って言うのだ。
「大丈夫。大丈夫だよ、貴志。」
その優しい声が、笑顔が、尚更悲しかった。
もちろん妖怪も見えていない。
けれど、ある時妖怪に襲われた夏目を助けようとして、その毒牙を目に受けてしまったのだ。
花緒からしたら、突風に吹かれて崖から落ちそうになった夏目を庇っただけだったのだが、運が悪かった。
夏目の命を奪うために奮われた、妖力の込められた爪は、花緒の両眼を抉った。
いや、物理的には害はない。
それだけは幸いだった。
それでも崖から落ちたのだから、花緒は病院へ運ばれたのだが、そこで目覚めた花緒の目は、赤く変色していたのだ。
検査の結果視力などに異常はなかったのだが、今まで見えなかったものが見えるようになっていると気づくのに、そう時間はかからなかった。
夏目はただ、謝ることしかできなかった。
自分のせいで、花緒の「普通の人生」を奪ってしまった。
幼いながらにそれを理解して、その重さに絶望した。
自分に泣く資格などない。
そう思っているのに、溢れてくる涙が止まらなかったのを覚えている。
そしてそんな夏目を見て、花緒はただ優しく笑って言うのだ。
「大丈夫。大丈夫だよ、貴志。」
その優しい声が、笑顔が、尚更悲しかった。