第6夜 〜銀世界〜
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神田が、おれのことをあまり好きではないのはなんとなくわかっている。
いやまあ神田が好きな人間なんてそもそもいないんじゃないかとは思うけど、たぶんおれのことは「苦手」なんだろうなと思う。
漫画でラビやアレンに突っかかっていた感じとは違う。
どちらかというと、時折見せるリナリーへのたじたじ感に似ている。
原因はわからないけれど、おそらくおれの扱いに困っているところがあるのだろう。
おれとしては主要な登場人物たちと仲良くしておきたい気持ちは大アリなわけだけど、かといって彼にぐいぐい踏み込んでいけるほど無神経にもなれないし、メンタルも若くない。
前世から数えたらおれはもう50歳、神田なんて半分以下の年齢だ。
そんな子供相手に大人気なく立ち入っていく勇気は、おれにはないのである。
だから程よい距離感を保っているつもりなんだけど、それでも苦手意識を持たれているのだからどうしようもない。
諦めて今後も、ビジネスライクに関わっていけるよう気をつけていこう。
そう心に決めながら、おれは目の前に広げられた資料を流し見していく。
おれたちは今、予定通り街役場に来ていた。
街の入り口では、ジャンというファインダーが待機していて、彼の案内で役場までやって来たのである。
そこには確かに、雪が降り始めてからの記録が事細かにまとめられていた。
まず雪の降る範囲について。
この街を中心とした、およそ半径3kmほど。
さっき神田と待ち合わせをした最寄り駅が、ここから2kmくらい離れていて、あの駅から線路沿いに10分ほど歩くと、雪の降る範囲を抜けるらしい。
この辺りは森に囲まれていて、この街以外に人の住むところはほとんどない。
そのため、そこそこ範囲は広いが、被害を受けているのはこの街くらいということだ。
次に雪の降る量。
正確なところはわからないが、ずっと10〜30cmほどの雪が積もり続けているらしい。
四六時中雪の勢いは変わらず、吹雪くことはないが収まることもない。
それがこの2週間続いているのだという。
「確かに報告にあった通り、降ってる量に対して積もってる量が少ないな……。まあ、積もり続けて家屋の倒壊や自宅への閉じ込めが起きるよりマシか。その点は幸いかな。」
おれとは別の資料を見ている神田も、「ああ」と短く相槌をくれる。
粗方こちらの資料を見終えていたおれは、神田の手元へ目線を投げる。
「そっちは?」
神田はおれをチラッと見ると、無言で資料を寄越してくる。
「ありがとう」と言ってそれを受け取り、ざっと目を通す。
どうやら、雪が降るようになった前後に、この町付近で起きた出来事をまとめた資料らしい。
なるほど、イノセンスによる奇怪が原因なら、前後に何かしら変事が起きていてもおかしくない。
おそらくファインダーの計らいでまとめてもらった資料なのだろう。
アクマがいる可能性も考慮したのか、ここ最近亡くなった人の情報なんかもまとめてある。
なかなか有能だ。
けれど、ざっと見たところめぼしいと言える情報はない。
(となると、やっぱり足で稼がなきゃかな。)
神田も同じことを思ったらしく、ため息をつきつつ資料を机に放った。
一応頑張ってまとめてくれた資料なんだから、もう少し丁重に扱ってあげてほしい。
そんなおれの思いなどつゆ知らず、神田はいつもの仏頂面でおれに言う。
「俺は東から見て回る。テメェは西から回れ。」
早速の別行動宣言に内心苦笑する。
けどまあ足で稼ぐとなれば、それが効率的なのも事実。
おれが素直に「わかった」と返すと、神田はひとつ舌打ちをして、さっさと部屋から出ていってしまった。
どうやら今のやり取りでも、何かが気に障ったらしい。
(若者、わかんねえなあ……。)
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