創作のおはなし
ネット小説はたとえブクマがつかなくても更新を止めたり削除したりしてはいけないと自戒した話
2024/01/27 08:405年くらい前の記事の転載です。
*
2016年12月、ニート終了と同時に活動の場をラノベ新人賞からネット投稿サイトへ移したことがあります。
それから約2年半。多少の休止期間はあれど、短いなりの投稿生活の中で、いろいろ考え、感じることがありました。特にネット投稿の先輩である友人・知人たちから聴いていた「ブクマがつかなくて凹む」など、投稿サイトのリアルを肌で感じてきました。
その中でも、最も強く感じたのが、
「ネット小説はどれだけブクマがつかなくても、絶対に更新を止めたり削除したりしてはいけない」
ということです。
*
自分が最初にネットで公開した作品は、異世界転移ものでした。ジャンルのおかげか、公開初日に7ブクマを頂き、その後は1日1〜2ブクマの増減を繰り返しながら、第1章の最終話を公開した時に50ブクマに達しました。
そのため第1作目では、知人が悩んでいた「ブクマがつかなくて凹む」苦しみを味わうことは、正直ありませんでした。
(このような感じで推移しました)
*
続けて投稿した2作目は、帆船による海戦に完全特化したラノベでした。
同作はブクマをほぼ期待していませんでした。帆船というラノベ界隈ではニーズが少ないジャンルであることと、操船についてある程度の知識を持っていることを前提とした作品だったので、よほど趣味の合う方でないと読まない(読めない)内容だったためです。
ですが、いくらそうした理屈があったとしても、そして最初からブクマを期待していなかったとはいっても、やはり気にはなるのが創作者(人間?)の性というものでしょうか。
つかないとつかないなりに、やはり心にチクっと来るものはありました(なお、同作の最終的なブクマ数は11でした)
*
そんな同作の連載は、2017年2月2日から始め、2017年12月31日までかかりました。
更新頻度としては、2月に8話を更新したのに対して、3月は1話、4月は3話、5月は2話。そして6月から8月は、それぞれ1話。8月6日から12月20日までは、まったく更新していませんでした。
なぜ4ヵ月も更新が止まったのか。
理由は「更新する意味があろうのだろうか」と思ったからです。
*
4月ごろから薄々そう考えていました。ブクマもつかない、PVも伸びない、つまり読まれていない=市場から求められていない。
それならば、そもそも更新する必要はあるのだろうかと。プロではないのだから、そこまで気にする必要はなかったのかもしれませんが。
そのような悩みを抱えた状態で作品など書けるはずもなく、更新頻度は少しずつ落ち、夏場に仕事が繁忙期を迎えたタイミングで途絶え、以降は更新しない期間が続きました。
そして、11月くらいだったでしょうか。
こんなことを思いました。
「削除していいのではないだろうか?」
誰にも読まれないのなら、掲載していても意味はない。それならば、削除してもいいのでは。
そう思った理由は、自分にも定かではありませんが、おそらく「誰にも読まれていない惨めなものを、いつまでも晒しておきたくなかった」のかもしれません。
こうして徐々に、同作を削除する方向へ気持ちが傾いていきます。
そして、年末という良いタイミングが近くにあったので、そこで落とそうとリアルに考えていました。
*
そうして迎えた、12月のある日。
ふと、気づきました。
「……誰にも読まれていない? 本当にそう?」
*
その気づきの衝撃は、大きなものでした。
なぜ自分は、いつの間に同作を「誰にも読まれていない作品」と思っていたのか、今となっては不思議でなりません。
そして同時に、自己嫌悪に襲われました。
11ブクマ。
この数字が持つ意味は、何でしょうか?
11ブクマしかついていない?
違います。
11人の方が、読者になってくれているのです。
読者は、確かにいるのです。
*
このような当たり前のことに、なぜ1年間も気がつけなかったのか、本当に不思議でした。
そして、その理由を考えているうちに、ふと思いました。
自分は今まで「読んでくれなかった人たちのことばかりを考えて、読んでくれている人たちのことを考えていなかった」のだと。
これが先の自己嫌悪の正体です。
自分は、読んでくれない人たちを振り向かせることにばかり頭を使い、読んでくれている人たちのことを考えていませんでした。「削除していいのではないか」というのは、まさにそれ故の発想でした。
*
12月21日以降、同作の更新を一気に再開しました。
久しぶりに投稿サイトで小説の情報ページを覗いた時、ブクマ数は11のままでした。それまでずっと更新を放置していたのにも関わらず。
更新を再開すると、PVが11を超えました(20とかだったと思います)
このとき「この11人の方は、ずっと待ってくれていたのかな」と思い、恥ずかしい話ですが、目頭にきました。人の入れ替わりはあったかもしれませんが。
その後、同作は大晦日までに完結させると決意。そして2017年末、最終話をアップしました。
その後、お二人の方が評価をくださり、文章評価・ストーリー評価ともに満点。筆者自身が贔屓目に見ても不出来な作品に、そのような過分な評価を頂けると思っていなかったので、1作目のデイリーPVが10万を超えたときより遥かに嬉しかったです。
*
いまネット投稿をされている書き手の方は、たくさんいらっしゃると思います。
そしてブクマがつかなくて、凹んでしまっている方も。
投稿する意味を見失いかけ、自作を消そうか悩んでいる方も。
ですが、こんな木偶の坊が偉そうに言えた義理ではありませんが、たとえブクマがついていなかったとしても、できれば削除せず、最後まで更新を頑張ってほしいなと、個人的には思います。
もちろん、最終的にどうされるかは、個々人の自由です。
ですが、どこかであなたの作品を読み、続きを楽しみにしてくれている方がいるかもしれない以上、やはり最後まで完走してほしいと、そう思わずにはいられません。
それは、作品で評価を集めるよりも大切なことだと思います。きれいごとですが。
*
2016年12月、ニート終了と同時に活動の場をラノベ新人賞からネット投稿サイトへ移したことがあります。
それから約2年半。多少の休止期間はあれど、短いなりの投稿生活の中で、いろいろ考え、感じることがありました。特にネット投稿の先輩である友人・知人たちから聴いていた「ブクマがつかなくて凹む」など、投稿サイトのリアルを肌で感じてきました。
その中でも、最も強く感じたのが、
「ネット小説はどれだけブクマがつかなくても、絶対に更新を止めたり削除したりしてはいけない」
ということです。
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自分が最初にネットで公開した作品は、異世界転移ものでした。ジャンルのおかげか、公開初日に7ブクマを頂き、その後は1日1〜2ブクマの増減を繰り返しながら、第1章の最終話を公開した時に50ブクマに達しました。
そのため第1作目では、知人が悩んでいた「ブクマがつかなくて凹む」苦しみを味わうことは、正直ありませんでした。
(このような感じで推移しました)
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続けて投稿した2作目は、帆船による海戦に完全特化したラノベでした。
同作はブクマをほぼ期待していませんでした。帆船というラノベ界隈ではニーズが少ないジャンルであることと、操船についてある程度の知識を持っていることを前提とした作品だったので、よほど趣味の合う方でないと読まない(読めない)内容だったためです。
ですが、いくらそうした理屈があったとしても、そして最初からブクマを期待していなかったとはいっても、やはり気にはなるのが創作者(人間?)の性というものでしょうか。
つかないとつかないなりに、やはり心にチクっと来るものはありました(なお、同作の最終的なブクマ数は11でした)
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そんな同作の連載は、2017年2月2日から始め、2017年12月31日までかかりました。
更新頻度としては、2月に8話を更新したのに対して、3月は1話、4月は3話、5月は2話。そして6月から8月は、それぞれ1話。8月6日から12月20日までは、まったく更新していませんでした。
なぜ4ヵ月も更新が止まったのか。
理由は「更新する意味があろうのだろうか」と思ったからです。
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4月ごろから薄々そう考えていました。ブクマもつかない、PVも伸びない、つまり読まれていない=市場から求められていない。
それならば、そもそも更新する必要はあるのだろうかと。プロではないのだから、そこまで気にする必要はなかったのかもしれませんが。
そのような悩みを抱えた状態で作品など書けるはずもなく、更新頻度は少しずつ落ち、夏場に仕事が繁忙期を迎えたタイミングで途絶え、以降は更新しない期間が続きました。
そして、11月くらいだったでしょうか。
こんなことを思いました。
「削除していいのではないだろうか?」
誰にも読まれないのなら、掲載していても意味はない。それならば、削除してもいいのでは。
そう思った理由は、自分にも定かではありませんが、おそらく「誰にも読まれていない惨めなものを、いつまでも晒しておきたくなかった」のかもしれません。
こうして徐々に、同作を削除する方向へ気持ちが傾いていきます。
そして、年末という良いタイミングが近くにあったので、そこで落とそうとリアルに考えていました。
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そうして迎えた、12月のある日。
ふと、気づきました。
「……誰にも読まれていない? 本当にそう?」
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その気づきの衝撃は、大きなものでした。
なぜ自分は、いつの間に同作を「誰にも読まれていない作品」と思っていたのか、今となっては不思議でなりません。
そして同時に、自己嫌悪に襲われました。
11ブクマ。
この数字が持つ意味は、何でしょうか?
11ブクマしかついていない?
違います。
11人の方が、読者になってくれているのです。
読者は、確かにいるのです。
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このような当たり前のことに、なぜ1年間も気がつけなかったのか、本当に不思議でした。
そして、その理由を考えているうちに、ふと思いました。
自分は今まで「読んでくれなかった人たちのことばかりを考えて、読んでくれている人たちのことを考えていなかった」のだと。
これが先の自己嫌悪の正体です。
自分は、読んでくれない人たちを振り向かせることにばかり頭を使い、読んでくれている人たちのことを考えていませんでした。「削除していいのではないか」というのは、まさにそれ故の発想でした。
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12月21日以降、同作の更新を一気に再開しました。
久しぶりに投稿サイトで小説の情報ページを覗いた時、ブクマ数は11のままでした。それまでずっと更新を放置していたのにも関わらず。
更新を再開すると、PVが11を超えました(20とかだったと思います)
このとき「この11人の方は、ずっと待ってくれていたのかな」と思い、恥ずかしい話ですが、目頭にきました。人の入れ替わりはあったかもしれませんが。
その後、同作は大晦日までに完結させると決意。そして2017年末、最終話をアップしました。
その後、お二人の方が評価をくださり、文章評価・ストーリー評価ともに満点。筆者自身が贔屓目に見ても不出来な作品に、そのような過分な評価を頂けると思っていなかったので、1作目のデイリーPVが10万を超えたときより遥かに嬉しかったです。
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いまネット投稿をされている書き手の方は、たくさんいらっしゃると思います。
そしてブクマがつかなくて、凹んでしまっている方も。
投稿する意味を見失いかけ、自作を消そうか悩んでいる方も。
ですが、こんな木偶の坊が偉そうに言えた義理ではありませんが、たとえブクマがついていなかったとしても、できれば削除せず、最後まで更新を頑張ってほしいなと、個人的には思います。
もちろん、最終的にどうされるかは、個々人の自由です。
ですが、どこかであなたの作品を読み、続きを楽しみにしてくれている方がいるかもしれない以上、やはり最後まで完走してほしいと、そう思わずにはいられません。
それは、作品で評価を集めるよりも大切なことだと思います。きれいごとですが。