用語解説

今回は「私掠船」についてです。

/////////////////////////

・しりゃく - せん【私掠船】
1. 字面のとおり「私的に」「掠奪」を行う船のこと。
2. ただの海賊と違い、国から略奪行為を公認されていた。
3. 1856年のパリ宣言で完全に廃止された。

/////////////////////////

私掠船(しりゃくせん)は、その名前のとおり「私」=個人で「掠」=掠奪を行う船です。敵船を襲撃して金品を巻き上げる海賊のようなものです。単なる海賊との違いは、国から「私掠行為をしていいよ」という免許をもらっていた点です。

私掠行為は、1856年のパリ宣言で完全に廃止されます。その理由は、一般的には「非人道的な行為だから」と言われていますが、海軍史家のコーベットによれば「戦争の科学化によって、その有効性が明確に否定されたから」とされます(コーベット『海洋戦略の諸原則』参照)。彼によれば、宣言後も私掠行為の権利は否定されませんでした。

そんななか、軍略家のあいだでは「私掠行為は兵士の士気を下げてしまう」「敵に圧力をかける手段としてもあまり効果的ではない」という見解が一般的となり、ゆえに私掠行為が徐々に廃れていったようです。
5/18ページ
スキ